硬いお話し
皆さん、こんにちは。

みなさんのお財布に入っている10円玉、何からできて
いるかご存知でしょうか?

答えは95%の銅、3~4%程度の亜鉛、ほかに僅かの錫(すず)
です。

では次に、仮にこの10円を金属回収業者に持ち込んで(もちろん違法ですよ)、
買い取ってもらったらいくらになると思われますか?

答えはおよそ4円です。

10円の額面の通貨が4円でしか売却できないとすれば、だれも
回収業者には持ち込まないですが、仮に回収業者の買取値が
14円になればどういう事が起きるでしょうか。

幸い4円と14円の間にはまだ随分と開きがありますが、将来に
わたってそのような事が起こらないとは限りません。

現に米国では、1セント硬貨の鋳造量が急増しているそうですね・・・
ちなみに米国の1セント硬貨の製造コストは現在1.5セントほど
だそうです。

10円玉の主原料である銅の価格推移を見ますと、2003年を
境に急騰し、現在の価格は4年前の約4.5倍に達しています。

この傾向は何も10円玉に限ったことではなく、貴金属、レアメタルなど
金属全般で同様の傾向を見ることができます。

例えば下記は2003年に対し、各金属の価格がどの程度上昇したか、
本日(2007年5月22日)の日経新聞記事を元に、私が多少データを
付け加えたものです。

・モリブデン(9.2倍)
・インジウム(7.5倍)
・ニッケル(6.7倍)
・タングステン(5倍)
・コバルト(4.5倍)
・銅(4.5倍)
・銀(2.6倍)
・プラチナ(2.2倍)
・チタン(1.8倍)
・金(1.8倍)

金やプラチナなどはよくニュースで取り上げられますので、
皆さんもご存知だと思うのですが、モリブデンやインジウムなどの
レア・メタルの価格上昇をこうやって改めて見ますと、ちょっと
驚かされます。

では、この金属価格の上昇はいつまで続くのでしょうか、
1980年のオイルショック時と同様、どこかでピークをむかえ、
その後急落するのでしょうか。

今回の相場上昇の原因を上げてみますと。

1.中国をはじめとした新興諸国の実需の拡大
2.年金を中心とした長期マネーの流入
3.ヘッジファンドを中心とした短期の投機マネーの流入

主にこの3つの要因が考えられますが、1980年当時と違うのは
1と2ではないでしょうか。

当時は、中国をはじめとした新興国の購買力といっても高々しれており、
世界の総需要に占める、新興国の需要はわずかなものでした。

ところが現在では、これら新興国の需要爆発に伴い、世界全体
でみた実需レベルは、当時と比べ飛躍的に拡大しています。

具体的に言いますと、意外と知られていませんが、例えば電子機器
の中には金・銀などの貴金属やインジウム(私もつい最近知ったのですが、
薄型ディスプレーには必須の金属だそうです)などのレア・メタル
が微量に使用されています、携帯電話をはじめ、携帯オーディオなどの
普及率が新興国で高まりますと、これらの金属の消費量は新しい
ステージを迎えることになります。

また、1980年当時は貴金属を長期の投資対象として、機関投資家や
年金基金がポートフォリオに組み入れるという事はまだありません
でした、これらの動きが本格化したのは、貴金属を対象にしたETF
の開発や、カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)などが、
正式にコモディティの組み入れを決定した2006年以降の
おはなしです。

このように考えを進めてまいりますと、金属はもう2003年以前の
ような価格水準には戻らないのではないかと思いますが、一方で
これら金属類の価格がここまで上昇してきますと、例えば現在使用
されている金属に代わる原材料の開発や、リサイクル技術の進歩
という形で、どこかの水準で金属価格も安定期を迎えるのでは
ないかという気もするわけです・・・

新興諸国の経済力が強まり、その国に住む人たちの生活水準は
益々高くなっているようですね、ここ数年新興国といえばBRICsでしたが、
BRICsの次にはベトナムがあり、タイがあり、その他のアジア諸国も
当面の成長領域であると同時に多くの人口を抱えています。

中南米に目を転ずれば、メキシコ、アルゼンチン、ペルーなども
目を離せませんし、アフリカに至っては経済的なレベルさえ上がれば、
人口拡大と生活水準向上は、これからが本番という気が致します。

さてさて、今の金属相場、一体どの水準で安定期を迎えるのか・・・

なかなか予想は難しいと思うのですが、仮に新興国の経済成長が
金属相場を支えるという今の構図に変化がなければ、早々に安定期を
迎えると楽観はできないように思います・・・

いずれにしても、私はこれからもこの問題を注視して
ゆきたいと思っています。



では 今回はこのへんで。





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