ホーム > T's資産運用コラム > ドル建て資産の減らし方 その1
ドル建て資産の減らし方 その1
みなさんこんにちは。

ここのところ徐々にドル安が進んでいますね。

長らく続いた米国覇権の時代もどうやら先が見えはじめ、
米ドルは今後も減価してゆきそうな気配・・・おそらく
これが皆さんの共通した認識ではないでしょうか。

私のお客様も大半の方が同様のお考えで、最近特に
「米ドル比率の下げ方」について、ご相談を受ける
ケースが増えてきました。

「米ドル比率を下げる」には、さまざまなご提案が可能です。

例えばカナダの不動産やカナダの国債など、現地の金融商品を
現地通貨建てで購入するのは最も簡単な方法でしょう。

また例えば豪ドルに為替ヘッジされたマネージド・フューチャーズ、
これもまたとても解りやすいですね。

マネージド・フューチャーズの場合、基軸通貨(注)が仮に
米ドルであっても、必ずクラスごとの通貨(例えば豪ドル建て、
ユーロ建てといった)に為替がヘッジされていますから、
米ドルの下落不安から解放されることになります。

注)そのファンドが運用に際して用いる通貨

では例えば新興国の株式指数に連動するETFで、米ドル建てで
値付けされている商品の場合はどう考えるとよいのでしょうか。

一例をあげるなら
i Shares MSCI Emerging Markets Index Fund(EEM)

という、世界新興国株インデック連動型の代表的な
ETFがあります。

このETFは表面的には米ドル建てで値付けされてはいますが、
仮に皆さんがこのETFを購入した場合、米ドル建て資産と
考えるべきなのでしょうか。

確かにこの商品がインデックスとして使っている、MSCI Emerging
Markets Index は米ドル建てで計算されていますが、実際に
組み入れている株式は、インドや中国、ブラジル、ロシアなど
新興各国の現地通貨建てで、しかも現地通貨と表示上の通貨で
ある米ドルとの間で、為替ヘッジはかけていません。

従って皆さんがこのETFを資産に組み入れた場合、
新興国通貨が米ドルに対して強くなりますと、それが
ストレートにこのETFの米ドル建て価格に反映されることに
なります、『為替のヘッジ』を行っていないということは、
そういう意味です。

要するに表面的には米ドル建て資産ではありますが、実際には
(為替ヘッジをかけていないという意味で)、新興国通貨を
まんべんなく組み入れたのと同じ効果があるわけです。

ではもう一歩進めて、下記のETFはどうでしょうか。
Lyxsor ETF MSCI Emerging Markets

このETFはソシエテ・ジェネラル系のLyxorが運用する
MSCI Emerging Markets Index連動型のETFで、米ドルクラスに
加え、ユーロクラスと英国ポンドクラスがあります。

参照するインデックスは、先ほどのEEMと同じく、
MSCI Emerging Markets Indexなのですが、こちらはユーロ建て、
ポンド建てがあるわけです。

では仮に皆さんがこのETFのユーロ建てクラスに投資した場合、
皆さんはどの通貨を保有したことになるのでしょうか。

このETFの目論見書を読んでみますと、下記のように書かれて
います。

1.MSCI Emerging Markets Indexは米ドル建てで設定されて
いるが、実際には組み入れ対象株の現地通貨と、米ドルの
間の為替変動のリスクを受ける。

これは上記EEMと同じ仕組みですね、現地通貨と米ドルの間に
為替ヘッジが行われていないということ、つまりは実際には
現地通貨を保有するのと同じ効果があるということです。

2.MSCI Emerging Markets Indexが計算される米ドルと、
ユーロの間の為替変動リスクを受ける。

これはどういう意味か解りますか・・・


要するに上記1のようにして計算されたMSCI Emerging Markets Index
に対して、このユーロ建てクラスは為替ヘッジされていないという
こと、つまりは米ドル・ユーロ間での為替ヘッジが行われていない
という意味です。

ちょっと頭が混乱してしまいますが、上記1と2をまとめますと
以下のようになります。

このETFは、

1)まず現地通貨(中国やインドなどの新興国通貨)建てで運用
2)1)を合成して米ドルに換算し、米ドル建てクラスを組成
3)さらに2)をユーロに換算してユーロ建てクラスを組成
簡単に申し上げるとこのような仕組みになっています。

2)と3)の過程で為替ヘッジは行いません、つまりは
米ドル建てクラスであろうとユーロ建てクラスであろうと
関係なく、実際には新興国通貨をまんべんなく組み入れるのと
同じ効果があるわけです。


では続いてコモディティについてお話しましょう。

例えばコモディティ・インデックス・ファンド(ETFを含む)
で米ドルで値付けされている商品はどうでしょうか。

大方のコモディティは、市場において米ドル建てで取引されて
います。

従って米ドルが減価すると、これらファンドの価値も下がると
考えるのが一般的で、教科書にはそのように書かれているはず
です。

でもコモディティの特質をよく考えてみますと、米ドルの減価
はストレートにコモディティ・インデックス・ファンドに
結びつかないことが解ります。

例えば金(Gold)を例にとりましょう、金ももちろん世界的には
米ドルで値付けされているわけですが、米ドルが減価しますと
金に割安感が生まれ、逆に金そのものは買われやすくなります。

このように金価格と米ドル相場は逆相関の関係にあるわけですが、
これは金ほどではないにしても、他のコモディティでも広く
見られる現象です。

要するに金そのものに絶対価値があるように、多くのコモディティ
も絶対的価値を持っていて、米ドル相場に対して逆に動くことに
よって価値の補正を行っているも言えるわけです。

このように見てまいりますと、米ドル建ての
コモディテイ・インデックス・ファンドは、確かに表面的には
米ドル建ての資産ではありますが、その性格は決して米ドル建て
とは言えないことが解ります。

ではさらに一歩進めて、例えばユーロ建ての
コモディテイ・インデックス・ファンドはどうでしょうか。

少し長くなってきましたので、この続きは次回に
お話しします。


では、今回はこのへんで。
(2009年11月17日)




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。

totop