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LTCMの破綻に何を学ぶか
みなさんこんにちは。

金融商品の歴史を振り返ってみますと、17世紀のチューリップバブル、
南海泡沫事件にはじまりLTCM破綻、日本のバブル崩壊、そして今回の
サブプライム・ショックに至るまで、世界の金融史は組織の暴走と破綻
の歴史だったといえるかもしれません。

そして常に組織を暴走させるのは、規律とモラルを欠いた
人間が持つ欲望の集合体です。

人間がこの欲望を制御する能力を自ら獲得しないかぎり、
何らかの外的な規律でその欲望を矯正するしかないのでしょう。

現在世界の金融当局は、あらためて金融業に関する規制を
検討していますが、仮に眼の前にある危機に対応できたとしても、
人間はいずれ100年に一度といわれる危機を、今後も繰り返して
ゆくにちがいありません。

その意味でこれからも欲望と規制のはざまで金融史は綴られてゆく
ことでしょう。

一方で人間の欲望は悪いことばかりではありません。

そもそも欲望こそが人類をここまで進化させてきたともいえるわけで、
もし仮に人間に欲望がなければ、我々はこれほどまでに精緻で効率の
高い社会システムを築くことはできなかったでしょうし、これほどの
豊かさを手に入れることもできなかったでしょう。

実体経済と金融システムは車の両輪です。

人間はモノを作り、それを消費することでしか生きてゆけませんが、
いくら大量のモノを生産できたとしても、それを世界中に効率よく
分配するシステムがなければ、世界の幸福の総量は増えたとは
いえません。

そういう意味でモノを効率よく作る行為と同じくらい、
金融システムは重要な役割を担っているといえるのではないでしょうか。

ただ残念ながら人間には欲望という厄介なものがあります、
欲望はものづくりを環境破壊の道具に変える一方で、
金融システムを危険な賭博場に変えてしまうことがあります。

人間が自らの意志で欲望を制御できるようになるまで、
何世代にもわたる進歩や進化が必要でしょう・・・

いやあるいはそれすら幻想にすぎず、我々は永遠に欲望を
制御できない存在なのかもしれません。

であれば我々は自らの欲望にタガをはめるため、
自らが作る規制によって欲望を制御してゆくしかないのでは
ないでしょうか。

ヘッジファンドは、元来相場の下落をヘッジするために考案された
運用手法です。

それそのものは、決して度を過ぎた儲けを狙うために作られた手法
ではありません。

いやむしろ相場のサイクルに合わせて自らの資産が大きく
減ったり増えたりすること、そのような現象による精神的苦痛から
逃れたいという人間の切なる願いから生まれたものだったはずです。

もし現在に生きる我々が60年前のアルフレッド・ジョーンズ(注)
と同様に、このような切実な目的からヘッジファンドを利用するなら、
そのことは決して、11年前にLTCMが発した警告を無視したことには
ならないのではないでしょうか。

(注)ヘッジファンドを世界で最初に考案したといわれる人です

私たちは常に私たち自身が強欲な存在であることを意識し、
過度な利益を追求しないという節度を持って資産運用に
取り組むべきではないでしょうか。

組成する側も、投資する側も・・・

そしてアドバイスを行う私自身も。



では、今回はこのへんで。
(2009年12月15日)




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