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祭りの後で・・・
みなさんこんにちは。

私はいまでも時々あのバブルの頃を思い出すことがあります・・・

当時私は20歳代の後半。職場ではまだまだ駆け出しの若造でした、
もちろん体力もありましたしいくらでも無理がききました。

その頃私はある電機メーカーの関西支社に勤めていたのですが、
年に何回かある展示会では、きまって搬入係りでした。

時には百キロ以上の巨大なテレビを、同寮の若手社員一同でよって
たかって搬入したものです。

今考えればやたらお祭り騒ぎのようなイベントが多く、
そのたびに皆で力をあわせ、時には連日徹夜でイベントの成功に
向けて遮二無二頑張ったものでした・・・

もちろん当時はそれなりに苦しかったのでしょうが、
いまから考えればそんな苦労の一つ一つが本当にいい思い出に
なっています。

当時1980年代後半の我が国は、私や同寮だけでなく社会全体がなにやら
お祭り騒ぎだっだのかもしれません。

仕事はきついが頑張れば頑張っただけ収入は増える、
特に資産運用などというややこしいことを考えなくても、
会社の自社株買いプランで積み立てる株の価値が徐々に増えてゆく、
さらには住んでいるマンションの価格もどんどん上がってゆく・・・

一時の高度成長期のような熱気こそありませんでしたが、
それでも明るい未来を予想するには十分でした。

いま考えれば本当によい時代でした。

あれからはや20年・・・

日本はどこかで道を間違ってしまったのでしょうか。

それとも国の盛衰には一定のリズムがあり、急速な成長のあとには
必ず長い衰退が待ち受けているものなのでしょうか。

人は徐々に子を産まなくなり、人口構成が高齢化する。
若者はパラサイト化し、若年失業率が増えてゆく。
サラリーマンは将来に希望を持てず、会社に対する忠誠心を失う。

一方で日本を囲むアジアの国々は急速に豊かになり、
時々テレビでみる隣人たちは、着る服、持ち物、そして表情すらも
みるみる垢ぬけてゆく・・・

人間にはそもそも絶対的な豊かさなどはなく、周りの人間との
比較感で初めて豊かさを感じるものなのかもしれませんね。

確かに私たちの生活は、例えばあの1980年後半のバブルの時代より
格段に便利になっているはずなのに、なんとなくその豊かさを感じる
ことができない。

むしろ中国や香港、シンガポールに住む人たちの豊かさとバイタリティ
に羨ましさを感じることがあります。

世界の先進地域は、常に新たな成長国にとって代わられるという意味に
おいて、私はこの20年間で私たちが経験してきたことは、
あるいみ歴史の必然だと思いますが、一方であまりに早いその衰退の
速度に大きな戸惑いを感じてしまいます。

人間は努力や変革を止めた瞬間から後退し始めますが、もしかすると
いま日本という国全体が、そのような状態になってはいない
でしょうか。

思えば数年前『国家の品格』などという本が出版され、
「金銭的な豊かさより、精神的な豊かさを」という考えに脚光が
当たった時期もありましたが、いまにして思えば『品格』などと
いう言葉を、私たちは努力や変革を放棄する言い訳に使っては
いなかったでしょうか。

反対に小泉さんと竹中さんを格差の元凶と決めつけ、
集中非難する薄っぺらい論調・・・私はそこに変革放棄組の
強い意図を感じます。

それらをみていると、国全体といっしょに自分も沈んでしまうほうが、
むしろ大半の日本人にとって、ずっと楽な選択なのかもしれないと
すら思えてしまいます。

もしかすると私たちは、この20年間何の変革も行わず痛みを
避け続けたツケを、いま払わされているのかもしれませんね。

そして払いきれないツケは次の世代へと回される・・・

自らの姿形を変えるのは、なかなか辛い作業かもしれませんが、
私たちにはもうその選択肢しか残されていないという現実を、
直視するべきではないでしょうか。



では、今回はこのへんで。
(2010年2月23日)




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