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製造業はなぜ弱くなったのか
みなさんこんにちは。


ここ数年でしょうか・・・

私も確かに日本の製造業の競争力は、落ちてきている
ように思います。

かつて日本のお家芸であったエレクトロニクス、造船、
鉄鋼、半導体などの基幹産業で、韓国や台湾、中国など
近隣諸国との技術力の差は、年々縮まってきて
いるのではないでしょうか。

今のところまだ過去に蓄えた遺産で、なんとか
食いつないではいますが、仮にこのままの速度で技術力の
差が縮まってゆくとどうでしょうか。

企業は海外にモノが売れず、外貨を稼げない・・・

逆に海外からモノを買うため、国民は長年溜め込んだ
資産を取り崩しつつ生きてゆく・・・

つまり企業や個人が保有する金融資産のストックが、
徐々にフローとなって海外に流出してゆくわけです。

一方でいまの我が国の財政赤字は、ある意味個人が保有する
巨大な金融資産が裏付けとなっています。

仮にこの金融ストックが上記のように取り崩され、海外へ
流出して行けばどういうことがおきるのでしょうか。


このように製造業が競争力を高め、海外から外貨を稼いでくる
作業は、単に個別の企業の存否のみにとどまらず、我が国経済
全体からみて非常に大きな意味合いがあるわけです。


ではなぜ我が日本の製造業は、今のような苦境に
立たされているのでしょうか。

法人税が高いからでしょうか、
円が高すぎるからでしょうか、
それとも政治にリーダーシップがないからでしょうか。

確かにどれもこれも原因の一つだと思いますが、
私はもっと根本的な問題を我が国は抱えているような
気が致します。


『真面目なる技術者の技能を最高度に発揮せしむべき
自由闊達にして愉快なる理想工場の建設』


これ戦後間もなく創立された、ソニーの設立趣意書の冒頭に
記載された一文で、同社の設立目的をうたったものです。


あるいは松下幸之助さんはよく『やってみなはれ』と
若手社員のチャレンジ精神を鼓舞したそうですね。

パナソニックにしてもソニーにしても、残念ながら
このようなチャレンジ精神というか、ハングリー精神というか、
両社の美風であった創立当初のみずみずしい気質を、徐々に
失いつつあるのではないでしょうか。

これは両社に限ったことではないでしょう。

従業員は保守的になり、淡々とルーチン・ワークをこなす
毎日を送る。

技術者はリスクをとってまで新しい技術にチャレンジ
しようとしない。

経営者はサラリーマン化し、自らの責任で大きな
投資を行えない。

つまりは会社という組織を構成する一人ひとりが保守化し、
その積み重ねが「技術力の低下」ではないでしょうか。

たとえ法人税や円高問題を解決できたとしても、
製造業が往年の競争力を取り戻すとは私は思えません。


日本人全体のマインドに根ざしているだけに、
この問題の根は深いのではないでしょうか。



では、今回はこのへんで。

(2010年11月16日)





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