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2011年型ポートフォリオを考える
みなさん明けましておめでとうございます、
今年も本コラムをご愛読頂けますようお願い申し上げます。

今回は新年恒例の「今年の世界経済予想と推奨ポートフォリオ」
についてお話しいたします。

ではまず私が考える今年の世界経済からです。



□私が考える今年の世界経済


一言で申し上げますと、今年も昨年同様「先進国の低成長と
新興国の高成長」の組み合わせは続くのではないでしょうか。

ただ昨年の今頃と比べますと、少々その様相に変化がみられる
かもしれません。


・米国経済

私は今年の米国経済は、年間を通してまずまずの成長が見込めると
思っています、前半より後半の方がいいでしょう。けん引役は政府と
FRBの経済政策、それに一昨年から続く景気回復の慣性も働くでしょう。

今年は大統領選挙の前年、しかも上下院のねじれ状態ですので、
オバマさんは共和党の「小さな政府」路線に引っ張られざるを
得ないと思います。昨年末決まった「ブッシュ減税延長」とあわせ、
これらは短期的には、いずれも経済にとってプラスに働くことに
なるのではないでしょうか。

一方FRBはどうでしょうか、FRBは昨年末に第二弾の金融緩和策を
導入しましたが、これはさなざまなルートを通じ、既に米国の実体経済
に好影響をもたらしつつあります。

たとえば株価の上昇です、米国民は株式保有の割合が高く、
株価の上昇は個人消費に対し即効性を持ちます。

昨年末の個人消費は予想以上の盛り上がりをみせましたが、
やがて企業業績の拡大から雇用の増加へと、順次波及する可能性が
高くなってきたといえるでしょう。

さらにFRBの緩和政策は、農産物や非鉄金属、エネルギーなど
コモディティ相場の上昇も後押ししましたね、商品相場の上昇は
消費する側からみるとマイナス要因ですが、生産者の立場
からみればプラスに働きます。米国は商品の輸出大国でも
あり、国民経済全体でみれば恩恵を受ける側にまわるのでは
ないでしょうか。

米国全体でみると、あいかわらず住宅分野や雇用などで弱い部分も
残ってはいますが、上記でみましたように当局の政策の後押しをうける
かたちで、今年は尻上がりに経済は足取りを強めてゆくのでは
ないかと思います。

米国が先進国の代表選手なら、新興国の代表選手は中国です。


・中国経済

中国は昨年末、2011年の金融政策の基本方針を「適度に緩和的」
から「穏健」に改めました、ちょっと読みづらい表現ですが、簡単に
いえば「経済に対して中立な程度まで金融政策を引き締める」といった
ところでしょう。

中国では昨年後半は経済の過熱感もみられ、特に物価上昇が
警戒水域に近づきました、当局が最も懸念をもっているのは
やはりこの点ではないでしょうか、中国は一党独裁で議会もなく、
一見政府は思い通りの政策を実行できるようにも見えますが、
決してそのようなことはありません。確かに彼らは我が国のように
議会対策に苦しめられることはありませんが、代わりに常に直接人民と、
緊張感をもって向き合わざるをえないわけです。

中国四千年の歴史をみますと、歴代の王朝の交替や
大規模な動乱の大半は、民心の離反によって起きているようですね、
いま共産党政府が最も恐れているのは「民意の喪失」の一点に
絞られるはずです。

一方で成長率が8%を下回るようなことになれば、農村で
恒常的に発生する過剰な労働力の吸収が危うくなり、この場合もまた
社会の不満が蓄積される要因となるでしょう。

つまり結局今年中国は「穏健」な金融スタンスを継続せざるを
得ないというわけです。

そしてクレバーな今の中国の当局者は、経済の上ブレと下ブレの間で、
今年もうまくチューニングを続けられる可能性が高いのでは
ないでしょうか・・・逆に言えばこのチューニングに失敗した時が、
中国凋落の始まりといってよいのかもしれませんね。

ただし上記の理由で今年の中国経済は、昨年よりやや弱めの
成長とみております、9%台の後半ではないでしょうか。

さて続いて欧州の問題です。


・欧州の信用不安問題

ギリシャ、アイルランドに続き、今年はポルトガルから
スペインへ延焼するのか・・・この欧州問題は、間違いなく2011年の
世界経済の焦点の一つといえるでしょう。

ただ世界経済に与えるインパクトという点ではどうでしょうか。

この問題は既に2009年末から一年以上にわたり世界経済の足かせで
あり続け、決して十分ではないにしても、欧州を中心にそれなりの
セーフティネットが構築されてきたと言えるのではないでしょうか。

またこの一年間、既に市場は断続的にこの問題を織り込み続け、
株にしろ通貨にしろ、少なくともポルトガルへの波及までは、
市場は織り込んでしまっているのではないでしょうか。

逆に言えばポルトガルで延焼が止まるなら、、世界経済にとって
この「欧州問題」がプラス要因に転じる可能性すらあるわけです。

一方でスペインから本丸のイタリアに連鎖するようなことがあれば、
それは世界経済下振れの新たなリスク要因といえるでしょう。

もっとも昨年来のユーロ安や米中経済の好調は、イタリア経済
にとっては追い風で、今のところイタリアへの連鎖の可能性は低いとみて
おくべきでしょう。

従って私はこの欧州問題をさほど深刻には捉えておりません。


・総括

以上米中欧を中心にみて参りまししたが、総括いたしますと
米国は緩やかな回復、中国は好調を維持、欧州の信用危機は回避される
というのが私の見立てです。

従って「先進国の低成長と新興国の高成長」の組み合わせは、
昨年同様ことしも続きますが、先進国の成長は昨年より改善がみらる一方で、
新興国の成長はやや減速し、結果的に両者のかい離は縮小の方向とみております。

では引き続き相場について考えてみたいと思います。


□今年の相場について


・株式

先進国側、特に米FRBによるマネーの供給は、少なくとも今年前半は
維持され、その結果世界の株価は順調に推移するとみております、
先進国では経済がいよいよ自律的な回復期に入る米国、そして
円高から解放される(であろう)日本もまずまずではないでしょうか。

一方で新興国に関して私はさほど強気にはなれません、先ほど申し
上げたように、今年の新興国は通貨高や利上げの影響から成長力は
鈍化し、株価についても昨年ほどの期待は出来ないのではないでしょうか。

ただし個別にみれば面白いエリアもあります、例えば中国株は
既に金融引き締めによる悪影響を相当織り込み済み、逆張りが有効
ではないかと思います。昨年南米で取り残される形になったブラジルも
今年はよさそうです、2009年の金融取引税導入以来、同国の株価は
いまいちさえませんが、既にPERは10倍強まで下げており、少なくとも
下値の不安は小さいのではないでしょうか。

一方でASEANとインドは、昨年やや買われ過ぎた反動を意識して
おいたほうがよいかもしれません。

穴狙いなら中東、私の予想どおり原油価格が順調に推移するなら、
ここ数年蚊帳の外に置かれてきた中東の株にチャンスがあるでしょう。


・為替

昨年のこの予想で私が唯一外したのが為替でした。

昨年の当予想で私はドル高を予想しましたが、その根拠として挙げた
「米国経済の緩やかな回復傾向」そのものはなんら変わらず、今年も
継続するとみております。背景が変わらない限り、いずれ市場は
そこに収れんするという信念を私は持っていますので・・・

為替のトレンドを変えるのはほんのちょっとした心理の転換である場合
が多く、その時期を言い当てるのは至難の業です、ただ私は昨年の
予想を変えるつもりはなく、今年はドル高・円安に転じるとみています、
ちょっと頑固ですかね・・・

一方でユーロは先進国通貨の中で最弱の状態がしばらく続いていますが、
先ほど申しましたような理由で、そろそろユーロの逆張りもアリかな
と思います、もちろんスペインからイタリアへの危機の延焼リスクは
無視できません・・ただしある程度リスクをとれる方にとっては、面白い
逆バリではないでしょうか。


・コモディティ

上記のように私は今年も「先進国の低成長と新興国の高成長」の
組み合わせが続くと考えていますが、これはコモディティ相場に
とって理想的な組み合わせといえるでしょう。先進国側は景気の
二番底懸念から金融緩和を(少なくとも年の前半は)継続せざるを得ず、
余剰なマネーの一部はコモディティ市場に流れ続けるのでは
ないでしょうか。

一方で高い成長を持続する新興国経済に後押しされ、実需の面でも
コモディティ相場は追い風をうけるはずです。

このように実需・仮需の両面で商品相場は買われ、特に年の前半は
コモディティへの投資は報われるのではないでしょうか。

ただしセクター別にみるとややバラつきがでるかもしれません、
例えば原油を始めエネルギーは、米国や中国の実需に引っ張られ
好ましい環境が続くでしょう。一方で金(Gold)に関していえば、やや
期待外れにおわるかもしれません。リーマン・ショック以降の金高は、
米ドルへの不信の裏返しでもありますが、逆に米国経済の回復は
金からみればネガティブな材料ですので。

同じ貴金属の仲間でも、プラチナ、パラジウム、銀など産業金属
としての性格を持つグループと金では多少事情が異なります、
米国の自動車販売の立ち直りや新興国での自動車販売の好調維持
などにより、今年のプラチナ・パラジウムは期待がもてそうです。
ただし電気自動車が立ち上がるまでの期間限定相場ですが・・・

・ヘッジファンド

ヘッジファンドに関しては、本来さまざまな戦略ごと見ておくべき
ですが、おしなべて申し上げれば「ヘンジファンドが収益源とする
”適度な歪み”が市場に散見できる状態」がしばらく続くのではない
でしょうか。

2010年はヘッジファンド復調の年でもありましたが、
リーマン・ショックから2年がたち、そろそろ市場には『適度な欲望と
適度な恐怖心』が戻ってきたのではないでしょうか、これらは
いずれも市場の歪みの源泉、おしなべてヘッジファンドにとって
実り多い年になると思います。


以上少し長くなりましたが私の相場見通しでした、最後に今年の
ポートフォリオについてまとめさせて頂きます。

毎年申し上げていますように、これは一つのサンプルで、
実際にはお一人お一人の経済状況やライフプランによって異なります、
あくまで一つの考え方としてご理解ください


□2011年型ポートフォリオ


・先進国株(15%)

1.鉱山株ファンド
2.米国株ETF
3.日本株ETF

・新興国株(25%)

1.中国株ETF
2.ラテン・アメリカ株ETF
3.世界新興国株分散型ETF
4.中東株ファンド

・コモディティ関連資産(30%)

1.原油ETF
2.農産物ETF
3.プラチナ・パラジウムETF
4.コモディティ分散型ETF

・債券(5%)

1.新興国通貨建て債券
2.外貨MMF

・不動産系資産(5%)

1.豪州REIT
2.米国ランドバンキング
3.日本REIT

・オルタナティブ(20%)

1.トレンド・フォロー型ヘッジファンド
2.中国/日本美術品


まず株のウエイトは昨年同様40%とさせて頂きました、ただし
新興国株は30%→25%に下げ、逆に先進国株を10%→15%に上げさせて
頂きました、先進国株では昨年に引き続き鉱山株ファンド、これに
加え米国株と日本株を新規に挙げさせて頂きました。

新興国株に関しては上記のようにややウエイトを下げさせて頂きま
した、今年は中国A株とブラジル株をメインにする一方、昨年高騰した
ASEANは外させて頂きました。

コモディティに関しても、私は冒頭ご説明したように昨年同様強気で
30%の配分と致しました、セクターとしては今年の本命のエネルギー、
自動車販売の好調を先取りして白金族、農産物に関しては昨年既に
随分上昇しましたが、それでも私はまだ富士の六合目程度だと考えて
おります。

今年は先進国を中心に金利は上昇傾向、従って先進国の債券は
は昨年に続き除外し、新興国債券のみとさせて頂きました。

ただし円安方向に動くとみて、MMFは組み込ませて頂きました、
これは為替のゲイン狙いです。

不動産は米国不動産市場回復の兆しが見え始めると読み、
米国のランドバンキングや日本、豪州のREITを組み入れておきました、
ただし配分は5%までです。


オルタナティブは昨年と同じく20%を配分、ただし安全性を重視し、
ヘッジファンドはトレンド・フォロー型のみです。日本の株は回復期
に入るとみておりますので、今年は日本の美術品も挙げさせて頂きました、
リーマン・ショック以降、我が国の美術品市場は惨憺たるものですが、
美術品と高い相関性を持つ株価の上昇により、美術品相場も回復傾向
に入ると読みました。従って仕込むのであれば今年は好機でしょう。


以上少し長くなりましたが、新年恒例の2011年型ポートフォリオに
ついて書かせて頂きました、少しでも皆さまのご参考になれば
幸いです。


ご参考までに昨年の年頭ポートフォリオに関するコラムは以下
です、興味がある方は覗いてみてください。(手前みそながら
昨年も結構その通りになりました・・・)。


http://www.ginzafp.co.jp/info/100114.html



最後になりましたが、今年一年の皆様の投資の成功を心より お祈りしております。


では今年もよろしくお願いいたします。

(2011年1月12日)





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