ホーム > T's資産運用コラム > 2012年型ポートフォリオを考える
2012年型ポートフォリオを考える

みなさん明けましておめでとうございます、
今年もみなさんにご愛読頂けるよう、より
精度の高いコラムを目指して配信して参ります。

今回は新春恒例の「今年の世界経済予想と
推奨ポートフォリオ」についてお話しいたします。

ただちょっと力が入りすぎて、随分長くなって
しまいました、お時間ない方は始めのあたりを読み飛ばして
頂き、◇◇◇あたりからお読みいただいても問題ありません。

さらにもっと時間を節約したい方は、◆◆◆から
お読みください、結論部分のくだりです。


ではまずいつものように私が考える今年の世界経済からです。



□私が考える今年の世界経済

はじめに今年の相場の焦点となりそうなことを、
いくつか挙げさせて頂きます。

1.欧州の信用不安

よくいわれるように、私も欧州で起きている信用不安は、
間違いなく今年一番のテーマになると思います。

果たしてこの問題の結末はどうなるのでしょうか。

例えばユーロへの入退場のルールを作るという考え方や、
あるいはユーロの2リーグ化、つまり強いユーロAと
弱いユーロBに分けるというアイデアなどがありますが、
これらは『ユーロの進化シナリオ』といってよいでしょう。

また逆に欧州共同債の発行や、欧州財務省の創設という
アイデアもあり、これらは『欧州一体化シナリオ』です。

もっと悲観的に考えるなら、例えばドイツや逆にギリシャの
ユーロ放棄という『ユーロ崩壊シナリオ』もあながち否定は
できません。

ただし万一そのような事態に陥ったとしても、
決してそれは欧州や、まして世界の終末ではありません。

もちろん世界経済は、一時的に大きな混乱に巻き込まれることに
なるでしょうが、混沌のなかに新しい秩序が生まれる・・・
つまり逆にそこから欧州の新しい通貨システムが生まれる
ことになるのではないでしょうか。

このように欧州問題の行方について、いくつかのシナリオを描く
ことはできますが、どのようなシナリオになるにせよ、
欧州やそれを取り巻く世界は、何らかの最終的な解決策を
見出すと私は固く信じています。

つまり欧州経済は歴史的にみた、「しかるべき位置づけ」に
戻り、やがて世界はこの問題を消化する。これが大局的にみた、
私の見立てです。

この場合の「しかるべき位置づけ」は、言い換えれば身の丈に
あった位置づけという意味で、イメージで申し上げると
成熟した先進地域として、欧州は存在感を薄めてゆく方向
ではないかと思います。

2.新興国の金融緩和と欧州の停滞の綱引き

新興国側ではインフレ懸念が後退し、また景気の減速感がみられます、
このような環境下、新興各国は特に昨年後半以降、金融緩和策への
転換を始めました。

特に注目は中国ではないでしょうか。

作年12月のインフレ率は4.1%に下がり、いよいよ当局が目指す
4%以内が視野に入ってきました、一方でGDP成長率は8%台に
下がり、物価より景気に軸足を置いた政策転換の時期が
近づいたといえるでしょう。

不動産バブルの後始末や、地方政府の不良債権問題など、
いくつかの問題点を抱えており、中国経済の波乱を予想する声も
聞こえてきますが、私は少なくとも今年一年でのハードランデイングは
想定しておりません。

中国は財政出動、金融緩和の余地ともに大きく、
そこいらはうまくチューニングできるのではないでしょうか。

このような考えて参りますと、今年の世界経済の焦点の一つは、
欧州経済の停滞を、新興国経済がどの程度カバーできるかという
点ではないかと思うわけです。

この点に関して私はやや楽観的です。

ユーロ圏のGDPは世界の20%弱をしめ、決して小さくは
ありません。

が欧州でよほど大きなショックが起きない限り、
欧州のマイナスは新興国が政策的にカバーできる範囲と見ております、
ただし欧州が世界のブレーキであることは間違ありませんが。

3.米国経済のゆくえ

欧州や新興国に焦点が当たる一方、今年の米国は例年ほどの
存在感はありませんが、それでも世界GDPの1/4ほどを占める
米国を無視するわけにはゆきません。

昨年央、ちょうど日本の震災以降、しばらく停滞感がありましたが、
年末に近づくに従って、米国経済に明るさが出て参りました。

米国のGDPがプラスに転じたのは、リーマン・ショック後の
2009年7-9月期ですから、これで40ケ月ほどプラス成長が
続いていることになります。

この間の成長は緩慢ではありますが、ドル安や金融緩和策、
あるいはあまりに深かったリーマン・ショックからの
自然反転効果もあったでしょう。

今年はもちろん欧州停滞の影響を受けるでしょうが、
仮に欧州がゼロ近傍の成長で踏みとどまるなら、さきほどの中国同様、
米国経済は引き続き緩やかな回復をみせるのではないでしょうか。


◇◇◇

4.総括

以上を敢えて一言でまとめますと、今年の世界経済の
焦点は、

「欧州債務不安による下向きの圧力を、欧州以外(特に新興諸国
と米国)が防ぎうるか」

ということになろうかと思います。

欧州問題の帰結を予想することは難しいですが、
もっとも可能性の高いシナリオは、年央あたりまでに
上記1で示したいずれかの解決策を欧州は見出すというもの
ではないでしょうか。

従って私が予想する今年の世界経済は、

欧州経済の成長はゼロ近傍で踏みとどまり、
そのマイナス部分は新興国を中心とした他地域の成長でカバー可能、
従って世界経済は鈍化しつつも成長する、

というイメージです。

では引き続きそのような前提に立って、
今年の相場について少し考えてみたいと思います。


□先進国株

世界経済の緩やかな回復をうけ、日本株と米国株は上昇する。
昨年先進国で唯一株価が上昇した米国株は、欧州不安が強い年前半は
ボックス圏で推移、年後半には欧州問題の収束見通しが立ち、
上昇幅は拡大するとみています。日本株も復興需要が見込めますので、
米国株とほぼ同様の値動きを予想しています、あえてレンジを
申し上げれば、年末日経平均10,000円台載せを期待しています。

一方で景気停滞感の強い欧州株は期待薄、少なくとも年の
前半は下落基調が続くでしょう。

戦略としては、欧州株は長期投資という意味でも除外、
私は基本的に先進国株インデックスの組み入れを好みませんが、
あえて組み入れるとすれば、年前半の下げたところでの新規購入が有効
ではないでしょうか。

□新興国株

昨年の下落率は、総じて先進国より大きくなりましたが、
これは特に、年央まで引き締め基調にあった金融政策の影響が
大きかったと思います。

今年は緩和的な金融政策に転じますし、新興国経済は鈍化しながらも
一定の成長は見込めるでしょう。昨年の反動もあり、ことしの
新興国株はマズマズの上昇を期待できるのではないでしょうか。

ただ特に年前半は、たびたび起きるであろう欧州発の不安の
影響で急落する場面も想定しておくべきでしょう、戦略としては、
年の前半急落したところを買いで臨みたいと思います。

エリアとしては金融緩和余地が出てきた中国、そして内需が強い
インドネシア、洪水からの復興のタイ、その他ASEANも潜在力が大きく、
長期投資の仕込み場と見ております。

□コモディティ

今年の注目の一つは原油ではないでしょうか、
昨年末のイラン核開発疑惑問題で、また中東情勢が緊迫化しつつ
あります。

イランによってシーレーン封鎖が本当に行われたとしたら、
原油は2008年高値の1バレル=147ドルを超えてくる可能性も
あるといわれています。

もちろんその可能性はあるのでしょう。が、私はイラン問題の
帰結予想は、あるいみでギャンブルに等しいと思っています。

当たれば50%のプラス、外れれば50%のマイナスと
いったところでしょう・・・ギャンブル好きの方にとっては、
面白い勝負になるかもしれませんが、私はこのように丁半バクチ的
な運用を、個人がやるべきではないと思っています。

従って原油はポートフォリオから外したいと思います。

その他コモディティについては、株と同じく年央までは
ボックス圏で、年末に近づくに従って上昇傾向が明確になって
くるのではないでしょうか。

ただしセクターによって、固有の動きをするのは例年と
同様です。

例えば農産物。

このセクターは、景気よりむしろ天候の影響を
受けやすいのが特徴です。

2010年に一旦おさまっていたラニーニャ現象が、
昨年末以来また発生の兆候があります。

既に南米で乾燥傾向がみられるようで、これをうけ昨年末以降
穀物価格は再び上昇過程にあります。

ここ数年の世界の気候を振り返りますと、やや短い安定期と
強い変動期が交互にやってくるというサイクルに入っているようにみえ、
これも温暖化現象となんらかの関係があるのかもしれません。

もしこの仮説が正しければ、世界の気候は再び2009年型の
強い不安定期に入る可能性があるのではないでしょうか・・・
この見立てがた正しければ、農産物は仕込み場です。

あと一点だけ貴金属についてみておきましょう。

いつか申し上げた記憶があるのですが、金(Gold)には
『ちょうどいい湯加減』のようなものがあると私は思っています。

適度の信用不安は金にとってプラスですが、例えば2008年の
リーマン・ショックや昨年末の欧州不安のように、極度な緊張は
金価格にとって逆にマイナス要因です。

そのような観点で今年の市場をみますと、年の前半は欧州問題の
振幅が大きく、金にとってやや辛い時期ではないでしょうか。

ただし欧州問題が収束に向かえば、また『ちょうどいい湯加減』
に戻ることになるでしょう。私は欧州後も構造的に世界経済の混沌は
続くとみておりますので・・・

従って金に関して言えば、年間を通し、1500ドル以下で徐々に買いを
いれたいところです。

プラチナと銀も買い場を探したいと思います、
歴史的にみて現在のプラチナ<金は異常で、欧州景気の
停滞もしくは後退を相当強く織り込んでいるといってよいでしょう。

いずれかの時点での欧州回復を見通し、
プラチナは我慢強く持ちたいとろです。万一欧州問題の収束が
持ち越されたとしても来年があります。

銀はここのところ30ドル前後のボックス圏ですが、
こちらも金回復と読むなら、近々買い場が訪れるでしょう。
場合によれば今年のいずれかの時点で、50ドルを越えてくる
可能性もあるのではないでしょうか。静かに買い場を探したい
と思います。


□不動産

米国や日本の不動産は、大きな期待はできないものの、
賃貸料収入狙いの長期保有は、資産の質的分散の観点や、
相続資産の評価圧縮という観点で好ましいでしょう。

特に我が国は財政ひっ迫から、相続税の課税強化や
消費税の引き上げが視野に入っていますので。

また世界が仮に欧州不安を克服できたとしても、
先進国サイドで蓄積された財政不安マグマは、その成長性の
低さゆえ、常に日米欧のどこかで噴出する可能性があり、
今後も世界はその影におびえ続けることになるでしょう。

米国か、再び欧州か、それとも日本か・・・

次ぎの信用不安がどこで起きるか予測は出来ませんが、
そのリスクに対して、常に一定の分散が要求され続ける
ことだけは確かでしょう。

質的な分散と、地理的な分散。

そのような観点からもペーパー上のマネーではない、
現物不動産の保有は有意義ではないでしょうか。

不動産に関しては、今年のポートフォリオという意味では
なく、常に保有を意識して頂きたいと思います。

□ヘッジファンド

ヘッジファンドも質的な分散効果という意味では、
重要な部品ではないでしょうか。

ただしヘッジファンドであれば何でもよいという意味では
決してありません。先のリーマン・ショック時をみても、
流動性の枯渇から破綻や解約停止に追い込まれたファンドが
いくつもあります。

今回のショックに備えるのであれば、当時の運用実績を
よく調べること、なおかつショックに耐えうる運用構造に
なっているか否か、その当たりの見極めが重要では
ないでしょうか。

そのような観点で、マネージド・フューチャーズは
候補の一つといってよいでしょう。


□債券

私は基本的に債券を組み入れることを好みません、
特にマネーの逃避先となってきた先進国の国債は、既に利回りが
低く魅力を感じません、一方で我々日本人の場合、債券が持つ
リスクの上に、いわば二階建構造をなす為替の変動リスクを
しっかりと引き受けるわけで、どう考えてもリスク・リターン
のバランスがとれているとは思えません。

ただし円安反転狙いから、MMFなど短期の債券を買うことは
理にかなっていると思います。


□為替

正直申しあげて私は短期の為替相場を予想する能力は
ありません。が、それでもあえて申し上げるとすれば、年前半は
米ドルと円が買われやすい環境が続き、年末に近付くに従って、
徐々に逆の力が働きやすい環境になると考えています。

米ドルに関して、さまざまな意見を耳にしますが、
私は米国の経済は(少なくとも日欧に比べ)高い潜在力を
維持していると思います、2013年には利上げモードに入る
可能性があり、今年の後半あたりから、徐々に米国買いが
始まる可能性があるでしょう。

ユーロの逆張りも面白いと思いいますが、資金に余裕の
あるかた限定です。

他の通貨で魅力を感じるのは豪ドルとカナダドル、
スイスフランの行方にも注目しております。

新興国通貨は今年も振幅の激しい展開になると思います、
人民元は事実上のペッグを継続しながら、ドルに対する
変動幅を拡大すると予想されます。昨年前半はやった
レアル連動債など、高金利通貨連動ファンドは避けた方が
無難ではないでしょうか。


◆◆◆


以上少し長くなりましたが私の相場見通しでした、最後に今年の
ポートフォリオについてまとめさせて頂きます。

毎年申し上げていますように、これは一つのサンプルで、
実際にはお一人お一人の経済状況やライフプランによって異なります、
あくまで一つの考え方としてご理解ください



□2012年型ポートフォリオ


・先進国株(10%)

1.米国株ETF
2.日本株ETF
3.豪州株ファンド

・新興国株(20%)

1.ASEAN株ファンド
2.インドネシア株ETF
3.タイ株ETF
4.中国株ETF

・コモディティ関連資産(20%)

1.貴金属ETF
2.農産物ETF
3.コモディティ分散型ETF

・債券(0%)


・不動産系資産(20%)

1.日本不動産現物
2.米国不動産現物
3.日本REIT


・オルタナティブ(30%)

1.マネージド・フューチャーズ
2.中国/日本美術品

今年は株、コモディティなどサイクル性資産のウエイトを
合計で50%と、昨年の70%に比べより小さくしました。

これは特に年前半に予想される欧州不安の深刻化によって、
資産の変動リスクを抑制するためです。

株はいつものように極力ETFを使い、先進国では
欧州を外し、日米豪中心です。

新興国株は欧州経済の影響が小さいASEAN中心で、
金融緩和余地が大きな中国も加えました。ただし全体でも
20%と昨年より10%程度低めにしています、リスクをとれる方は、
短期の含み損覚悟で30%程度まで上げてもよいでしょう。

コモディティも昨年の推奨30%から、10%減らしました。

金、銀、プラチナ中心の貴金属ETFがメイン、
他に農産物ETFもあげさせて頂きました、農産物ETFに関しては、
欧州不安や景気変動の影響を受けにくく、時間を分散しながら
粛々とお買いになって頂ければと思います。

債券は投資妙味小さく、今年は思い切ってゼロとさせて
頂きました、日本国債は為替リスクないものの、利回りに
十分な信用リスクが織り込まれているとは思えず、今年も
除外です。

逆に非サイクル資産を昨年の30%から一気に50%まで高め、
欧州不安への備えと致しました、内訳は不動産20%と
オルタナティブ30%です。

不動産はREITは小さく、現物を中心に考えております。

REITは確かに最終的に現物不動産を組み入れたものですが、
レバレッジの高さと、価格変動の激しさから現物不動産に対する
補完的な位置づけとさせて頂きました。

米国不動産は、地域によっていよいよ下げ止まりが
みられるようになって参りました、特に円で評価した場合、
2006年高値の1/3程度で買える物件もあります、銀行に
よる差し押さえ物件など、思わぬ安値で買えるチャンスが
あり、買い場到来とみております。

オルタナティブは30%で、昨年から10%引き上げです。

中心はマネージド・フューチャーズで、これは2008年
リーマン・ショック時に、その安全性と有効性が実証済みです。

昨年に引き続き中国の美術品を挙げさせて頂きましたが、
ここは昨年に比べやや妙味が薄らいでいます、中国の美術品は
昨年すでに暴騰しており、また今年は中国の不動産相場の
調整の影響もうけ、一時的に相場が崩れる可能性もあるでしょう。

ただ長期でみますと、いずれマネーが還流する可能性が高く、
こちらも補完的位置づけとして挙げさせて頂きました。




以上少し長くなりましたが、新年恒例の2012年型ポートフォリオに
ついて書かせて頂きました、少しでも皆さまのご参考になれば
幸いです。


ご参考までに昨年の年頭ポートフォリオに関するコラムは以下
です、興味がある方は覗いてみてください(手前みそながら
昨年も大きくははずしませんでした・・・)。


http://www.ginzafp.co.jp/info/110114.html


最後になりましたが、今年一年の皆様の投資の成功を心より
お祈りしております。


では今年もよろしくお願いいたします。
(2012年1月12日)




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
totop