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マイナス金利と資産防衛

みなさんこんにちは。

先週、日銀がマイナス金利の導入を発表しました。

私たちがお金を貸す場合、通常借り手から利子をもらいます。
マイナス金利といいますので、お金を貸した側が
利子を払う状態を指します。

なんだか不思議ですね・・・お金を貸して利息を払う
なんて。

ただしマイナス金利は、私たち個人と銀行の間の貸し借りに
適用されるわけではありません。

マイナス金利は、民間の銀行などが中央銀行である
日銀に預ける当座預金に対してのみ適用されます。

ならば私たちの生活とはあまり関係ないとお思いの方も
おいでかも知れませんが、そんなことはありません。

関係大ありです。

なぜならこのマイナス金利に連鎖して、
国内のあらゆる金利が下がることになるからです。

まずよく言われるのは住宅ローンです。

例えばフラット35で35年固定金利のローンを組む場合、
今なら金利は1.48%です。

この金利は日本政府が発行する10年物国債の利回りなどを
参照に毎月見直されますので、おそらく次回3月1日から適用される
金利は下がり、過去最低を更新するのではないでしょうか。

仮に1.30%になればどうでしょうか。

皆さんがもし3000万円、35年払いのフラット35ローンを
組んだ場合、現在の金利すなわち1.48%で計算すれば、
返済額は以下のようになります。

・月々の返済額 91,561円
・返済総額 38,455,727円

では金利が1.3%に下がるとどうでしょう、
このケースでは

・月々の返済額 88,941円
・返済総額 37,356,564円

となります。したがって現状と比べ月額で2,620円、
総支払額で100万円以上も少なくて済む勘定です。

このようにお金の借り手にとっては、ずいぶんとおトク感が
出てくることになります。

一方で逆にお金を貸す場合はどうでしょう。例えば私たちが
銀行に対して行う預貯金です。

もしかしたら普通預金にも、マイナス金利が登場する
かもしれません。

皆さんピンと来ないかもですが、普通預金のマイナス金利というのは、
銀行に普通預金をしている私たちが、逆に銀行に利息を支払う状態
のことです。

もし本当にこのような状態になればどうでしょうか、
多くの預金者は馬鹿らしくてお金を一斉に引き出し、
箪笥や金庫にお金をしまってしまうかもしれません。

この場合大きな混乱が起きる可能性もあるので、おそらく銀行は
間接的な手段をとるでしょう、すなわち一定額以下の預金に対し、
手数料を課すという方法です。

表面的にはマイナスの預金金利ではありませんが、預金者である
私たちにとっては同じこと、預貯金が目減りすることに違いは
ありません。

さらに今後の物価動向にも注意が必要です、日銀は2%インフレの
目標を掲げており、今回のマイナス金利もそのための手段の
一つです。

このインフレターゲットは、一回到達すればそれでOKという
わけではなく、到達後も2%を維持しなくてはなりません。

これに対して現状はどうでしょうか。

黒田さんがこれだけ頑張っているにも関わらず、
未だにインフレ率は1%(注)にすらはるかに届いていませんし、
2%インフレ到達見通しの時期も、逃げ水のように
遠のいてゆくばかりです。

注)生鮮食品を除く消費者物価ベースです

やはりインフレ率2%はかなりハードルが高く、
今後の最もありそうなシナリオは、むこう数年我が国の
インフレ率は、0.5%〜1.5%あたりを漂うという感じでは
ないでしょうか。

この場合はちょっと厄介です、日銀はマイナス金利やQEを
解除する理由を失い、延々とマイナス金利の継続を強いられることに
なるでしょう。

つまり「マイナス金利と緩やかなインフレが同時に起きる」
可能性が高く、これは私たちにとって、あまりありがたくない
シナリオといってよいでしょう。

なぜなら物価が上がるにも関わらず、銀行に預けた普通預金
の残高が減ってゆくからです。

最後にもう一つ気になるのは財政規律のゆるみです。

政府が膨大な額の国債を発行しているのは
皆さんご存知の通りですが、金利の低下は政府にとって
むしろありがたいことだといえるでしょう。

なぜなら国債の利払いが減り、単年度で見た収支が改善する
からです。

この場合、私たちが気を付けてチェックしなければならないのは
財政規律のゆるみです、単年度の収支が改善することによって、
政府はさらに支出を増やす誘惑に駆られるでしょう。

政権は常に大衆迎合的であり、財政が改善すると
支出を増やす傾向にあるからです。

このような状態で、もし金利が上昇すればどうなるでしょうか・・・

国債の発行残高の増加に歯止めが効かない状態での、
国債利払い費の急増です。

なにしろ日本史上初のマイナス金利です、
どのような経路で金利の暴走が起きないとも限りません。

そうならないことを願いますが、
万一の場合の対処法は、私たちもいまから持っておくべき
ではないでしょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2016年2月4日)




 




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