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過剰な借り入れにご用心

みなさんこんにちは。

僕の事務所には、いろんな問題や悩みを抱えた方が
お見えになります。

本来ファイナンシャルプランナーなどという職種は、
一般の方の生活とは縁遠く、例えば近所のショッピングセンターで、
保険の相談をするのとわけが違います。

きっと僕の事務所にお越しになる方は、
何度もお悩みになったうえでお越しいただいている
のではないかと思います。

ですから皆さんからお受けするご相談は、どれをとっても
重みのある内容ばかりです。

そんななかでも、「どうしてあげたらいいのかな・・」といつも
悩むのは、一棟物のマンションをほんのわずかな頭金や
フルローンでお買いになった方からのご相談です。

なかには数件もお持ちの方もいて、悲壮な面持ちで
お越しになる方もいらっしゃいます。

以下は典型的なケースです。

・物件価格2億円
・都内の新築の木造アパート
・都心から遠く、最寄駅からも徒歩10分ほど
・戸数20戸
・フルローン、変動金利3.5%
・手取りベースの収益率5.5%

空室や修繕など想定しても、キャッシュフローはプラスなので、
一応経営としてはやってゆけそうなのですが、長い目で見れば
いろいろ心配事も出てきます。

一番気になるのは金利の上昇です、今の様な低金利下ですら
3.5%の変動金利なのですから、例えば長期金利が2%まで上がったら、
いったいどうなるのでしょう。

この場合この変動金利も間違いなく2%ほど上がり、この
事例では5.5%ほどの利払いが必要になるはずです。

仮に空室や修繕費が想定内に収まったとしても、
キャシュフローはマイナスになるでしょう。

東京の都心部では長期的に賃貸ニーズは高いと思いますが、
この物件のような立地だとそうはゆきません、想定している
以上に空室が増え、収益率が下がる可能性が高いと思います。

修繕の点でも木造物件は不利です、築20年もすればアチコチ
傷んできますし、空室を埋めるため頻繁にリフォームが
必要になるでしょう。

その結果キャッシュフローのマイナス幅は年々拡大し、
物件の売却に追い込まれかねません、売却資金でローンの返済が
できればいいのですが・・・

そもそもまともな銀行が、木造アパートにフルローンを
付けないのには理由があります。

将来キャッシュフローが悪化し返済不能に陥る可能性が高いからで、
それを避けるため彼らは少なくとも2〜3割の自己資金を要求します。

逆にいえばその程度の自己資金を用意し、銀行から低利の
融資を受けない限り、一棟物アパートや一棟物マンションの
経営は破たんする可能性が高いといえるでしょう。

一方で不動産屋は売ってナンボです。

5000万円の自己資金がある人には2億円の物件を
売ろうとしますし、2億円あるひとには10億円の物件を
売ろうとします。

「低金利の今がチャンスです」をセールストークにし、
自己資金ゼロの人にすら、無理な不動産経営を勧めるケース
も珍しくありません。

売ることによって彼らの商売は完結しますので、
そのあと買い手がどのような目にあおうが関係ありません。

そもそもご自分にとって、それほどのレバレッジが本当に
必要なのかどうか、よくお考えになったうえで不動産投資を
行っていただきたいと思います。

ご自分のライフプランを想定し、
それに基づいて必要なお金を計算すればわかることですから・・・

 

では今回はこのへんで。

(2016年3月2日)




 




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