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怖いシムズ理論

みなさんこんにちは。

えびす顔で経済を語る好々爺。

安倍さんが総理になってから、量的緩和政策の理論的な
支柱であり続けてきた浜田さん(注)。

注)内閣官房参与、浜田宏一。アメリカのエール大学で
  名誉教授。量的緩和によるインフレ誘導を主導。

4年間にわたる量的緩和にもかかわらず物価が上がらない
現実をみて宗旨替えしたようで、最近はシムズさん(注)の
「シムズ理論」にご執心なようですね。

注)クリストファー・シムズ、ノーベル賞経済学者でアメリカ
  プリンストン大学教授、「物価水準の財政理論」の著者

なんでも『今のような超低金利下では、量的緩和によって
物価を上げることはできない』のだそうで、この『シムズ理論』に
浜田さんも目からうろこが落ちたそうです。

でもこのロジック、
なんだかヘンではないでしょうか?

そもそもインフレに誘導するため、低金利誘導と量的緩和は
セットで考えられてきたはずです。

低金利下で量的緩和が効かないというなら、『ハナから量的緩和
など意味が無かった』と言い換えるべきではないでしょうか。

さらに危険なにおいがするのはこの『シムズ理論』です。

ここでもう少しシムズ理論を見ておきますと、
概ね以下が骨子だそうです。

・今のように超低金利下では金融政策(即ち量的緩和)は効かない
・デフレ脱却には政府が(野放図に)財政を拡大すればいい
・その結果貨幣に対する信頼性が低下⇒インフレが起きる
・インフレの結果、政府の借金の実質価値は下がる

つまりインフレによって国の借金の価値を下げるという理論で、
インフレ税につながります。

この考えを突き詰めれば『国民の貨幣に対する信認を低下させるが、
その信認低下をちょうど良い加減なところで止める』ということで、
『ちょうど良い加減』なところで止まらなければ、それこそ
ハイパーインフレと超円安で奈落の底です。

はたしてちょうどいい湯加減にインフレを誘導することなど
できるのでしょうか・・・人ごとだと思って無責任なことを
いってもらっちゃあ困ります。

われ先に貨幣から逃げようとする人間の集団心理を、
ちょうど良い加減なところでとどめることなど、
できるとはとうてい思えません。

それでなくても政治家には常に財政拡大への
誘惑があります。

仮に政治家や評論家が『シムズ』理論を持ちだし、
政府が野放図に財政を拡大すればいったいどうなるでしょう。

特に浜田さんのように責任ある立場の方は、
過去の歴史をよく勉強し、発言には十分に注意して
頂きたいものです。

また『間違っていました』では、
取り返しのつかないことになってしまいます。

時間はかかりますが、構造改革によって生産性を
上げるほかに選択肢はないのだと私は思います。

 

では今回はこのへんで。

(2017年3月14日)




 




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