ホーム > T's資産運用コラム > 米中貿易戦争と株価
米中貿易戦争と株価

みなさんこんにちは。

先週アメリカのトランプ大統領は、
中国からの輸入品に対して関税をかけると
発表しました。

そのむかし日本とアメリカで起きた、
一連の日米貿易摩擦を思い出さずにはいられません。

新興の国が経済的に急発展する場合、
既存の経済大国との間で起きるこのような経済摩擦は、
きっと避けて通れないプロセスなのでしょう。

思い起こせば日本とアメリカ間の貿易摩擦は長く続きました。

1950年代の繊維製品に始まって、その後カラーテレビ、
半導体、牛肉とオレンジ、自動車へと対象は移ってゆきました。

特に記憶に残っているのは自動車で、
アメリカは伝家の宝刀スーパー301条を発動、
高級日本車への100%関税を発表し、
これに対し日本はWTOに訴え対抗しました。

それでも日本とアメリカの場合、
この問題を協議で決着しようとする意識が強かったようで

・プラザ合意による円安是正
・日米構造協議
・同包括経済協議

など、政府間レベルでの協議や調整にとどまらず、
民間企業レベルでも

・日本企業による輸出自主規制
・日本企業による現地生産の拡大

など日本側の経常黒字を減らす努力を積み重ねました。
主に日本側の努力によって・・・

その結果、幸か不幸か貿易不均衡は正常化に向かいましたが、
それがわが国にとって果たして幸いだったのかどうか・・・

振り返ってみれば経済覇権国であるアメリカに、いいようにされた
だけという見方もありますし、現にその後わが国は、
低成長に苦しんでします。

その原因がすべて貿易摩擦での日本側の譲歩によるとは
言いませんが、今にして思えば少なくとも一因にはなっている
ように思います。

以上の経緯をふまえ、今起こりつつあり米中貿易戦争に
ついて考えるとどうでしょう。

構造的には日米と同じく新興経済と既存の経済の対立ですが、
日米のケースと決定的に違うのは、どうやら中国は日本ほど
お人よしではなく、しかも軍事的な覇権まで視野に入れている点
ではないでしょうか。

つまり中国は、日本のようにアメリカに対して遠慮する必要が無く、
必ず報復的な行動をとるということです、つまりやられたら
やり返すです。

ただしだからといって中国が徹底抗戦するとも思えません、
なぜなら経済的に見て米中は一蓮托生だということを、
中国はよく知っているはずだからです、少なくとも現段階で、
彼らは経済的にアメリカに勝てると思っていないのでは
ないでしょうか。

一方でトランプさんのほうはどうでしょう。

たしかに予測不能なところはありますが、
予測不能に見えるのは、行動に信念の裏付けがなく、
その時々の利で動くからだと思います。

その観点から米中経済摩擦を見るとどうでしょう。

輸入関税の適用は、自国産業からの支持を得る一方で、
中国側の報復により、農産業や航空機など中国への輸出で
稼いできた産業は大きなダメージを受けます。

このような利害を天秤にかけながら中国と交渉し、
いかに有利な条件を引き出すかがトランプさんの胸の内では
ないでしょうか。

つまりアメリカも中国も、お互いを徹底的にやっつけるということなど
考えておらず、落としどころを図りながら交渉を続けることに
なると僕は思います。

ただしその道のりが遠いのは、日本とアメリカの間で起きた貿易摩擦が、
半世紀近くも続いたという歴史を見れば明らかです。

先週以降また世界の株価は大荒れですが、
いずれ株価はこの問題の超長期化を見越し、
その変動幅を縮小してゆくことになるのでは
ないでしょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2018年3月26日)




 




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
totop