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アンティークコインと現代コイン

今回は現代の金貨について少しお話しいたします、僕は時々現代のコインについて質問を受けます、その大半は「投資対象としてのみた場合、現代コインは期待できます?」といった内容のものです。

このご質問に対する答えはちょっと気を使うのですが、「よほど特殊なコインでない限り、値上がりは期待できないでしょう」ということになってしまいます。

ただし厳密に申し上げれば、すべての「現代コイン」が寂しい結果になるわけではありません。現代コインに将来性があるか否かは、以下のような条件に左右されます。

  1. そのコインの鋳造枚数
  2. そのコインが発行された国
  3. そのコインのデザインや描かれた人物

1970年以降に発行された現代コインのなかに、例えばフランスで作られた“ピエフォー(Pieforts)”というジャンルのコイン群があります。これらのコインは通常のコインの倍の厚さで、ずっしりとした重量感があります。余談ですが同国では既にルイ13世の時代から、このピエフォーを作っており、その系譜を今も引き継いでいるわけです。ちなみにルイ13世のピエフォーはめったにお目にかかれませんが、市場に出てくるたび売値が上がっている希少なコインで投資する価値は十分あるでしょう。

フランスという国はコインの世界ではある種の重鎮で、一般にこの国のコインには高い人気があります。この“ピエフォー”の魅力は、なんといっても発行枚数の少なさです、例えば1975年から1980年にかけて発行された50フラン金貨には、わずか50枚しか発行されなかった年もあります。デザインも1800年代に発行された銀貨の復刻で、なかなか重厚なデザインで人気があります。2017年1月に開催されたオークションで、1977銘のこの50フラン金貨が、130万円を付けたのには僕も驚きました。2015年にこのコインが都内コイン商で70万円ほどで売られていたのを覚えていたからです。購入された方にとって良い投資になったことでしょう。ちなみに倍厚だけあって重量も100グラム以上、大変重厚感のある金貨です。このように、国、発行枚数、デザインの3拍子がそろったコインの場合、たとえ1970年代以降の現代金貨でも、人気化して価格が上昇するコインもあるわけです。

これに対して近年のイギリスの現代コインで起きた相場の急騰と、その後の急落は注目に値するでしょう。ここ数年でコイン市場に参入したコイン商(私がよく言う「あおり系コイン商」です)がネットや書籍などで派手に投資をあおった結果、7500枚も鋳造された1999年銘の「ダイアナ妃追悼記念金貨」のPR70(完全未使用品)が、一時200万円以上といった信じられない価格で店頭で販売されていたことがありましたが、そのような操作された相場がいつまでも続くはずはありません。現代コインの場合、過去にも時々このように「あおり系コイン商」による相場操作もありましたので注意が必要です。

一方で同じ希少な現代金貨でも、ものによってはまったく蚊帳の外におかれ、今後も投資対象にならない金貨もあります。例えばニウエやツバルなどの小国(すみません!)が、次から次に発行する記念金貨です。例えばクック諸島が発行してきた日本の皇室の記念日にまつわる金貨たち・・・、そうです、よく新聞で大きな広告を打っている金貨です。発行枚数は一般に数百枚程度とむしろ少ない部類に入るのですが、その鋳造意図がミエミエで、購入するのはよほど知識がない限られた人達だけです。このような外貨獲得意図ミエミエの記念金貨は、たとえ今後100年もっていたとしても、おそらく地金の価値以上で売れることはないでしょう。

では現代コインと、近代コインの境界線はどのあたりにあるのでしょうか。人によって意見の分かれるところではありますが、僕はちょうど下写真のペルー100ソルあたりが、現代コインの最初の世代ではないかと思っています。

下のコインはペルーが1950年から1970年にかけて発行した金貨で、さきほどのフランスのピエフォーほどではありませんが、かなり重量感のある金貨です。重さはなんと約46グラム、金の純度は90%ですので、地金の価値だけで20万円ほどもあります。

デザインは上記のように表面は女神像で、これは同国のコインで昔から用いられてきた人気のデザインです、裏面もなかなか精緻でこちらは同国の紋章です。さらにこのコインの特徴は発行枚数の少なさで、すべての年号を併せても僅かに9万枚ほどに過ぎません。例えば1921年から1947年にかけ、ご近所のメキシコで発行されたほぼ同サイズの50ペソという金貨があるのですが、こちらの鋳造枚数はなんと約800万枚です、この100ソル金貨の鋳造枚数の少なさが解るでしょう。

さらに面白いのは鋳造枚数の年によるバラツキです。例えば1952年の126枚、1958年に至ってはわずか101枚の発行を数えるのみです。他に1953年や1957年、1968年、1969年、1970年なども500枚前後の鋳造にとどまります。

ペルーのコインは、全体でみてさほど人気のあるほうではありませんが、なにしろ上記のように希少性は抜群です、コインの世界には「女神像」を好んで集めるコレクターもおり、デザインの面でもまずまずの人気といってよいでしょう。

ではこのコイン。現在の相場はいったいどの程度なのでしょうか。面白いことにほとんど評価されていません。例えば発行枚数500枚前後の1953年や1957年、1968年、1969年、1970年のコインですが、この辺りでも未使用のMS63クラスが40万円以内で入手可能です。繰り返しになりますが、この金貨の地金の価値はおよそ20万円です。

このコインは先ほど申しましたように、どちらかと言えば現代コインの仲間とみられており、今のところはそのような見方に立って売買されているからではないかと僕は思います。

ただしこのコインもいつまでも現代コインにとどまっているわけではありません。年の経過とともに、私たち同様コインも年を重ねます。よく考えてみれば初年号の1950年銘は、すでに鋳造後65年も経過しているわけです、いずれこのコイン達も、現代コインとしてではなく、アンティークコインとして評価される時が来るでしょう。

その時に1952年の126枚、1958年の101枚当たりは、いったいどの程度の価格をつけるのか・・・僕には見当もつきません。1952年や1958年の入手は既に困難ですが、上記1953年以下の希少年銘は、いまでも比較的入手容易です、僕はきっと良い投資になると思っています。

 

 

 

 






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