ホーム > 連続読みもの(抜粋版) > 1−2.価格変動リスクとは何か
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■価格変動リスクとは何か

長期投資が万能なのか・・このテーマについて考える前に、果たして長期投資の本質とは一体何なのか、
この点ついて少し掘り下げて考えてみたいと思います。

人間が作り出すあらゆる相場には上下動があります、
例えば皆さんがお手持ちのA社の株が、一日で3%も上がった、あるいは3%も下がった・・これが上下動です、
ではこの相場の上下動によって人間の感情はどのように変化するでしょうか、
例えばA株は非常に変動が激しく、日々10%程度の幅で上下を繰り返す、
一方でB株は変動が少なく一日の変動幅はせいぜい1%程度しかない、
このような2銘柄のいずれかを皆さんが持っているとしましょう。
もしA株を持っていたとしたらきっと皆さんは毎日株のことが気になり、
仕事が手に付かないばかりか、眠れない夜を過ごすことだってあるに違いありません、
一方でB株を持っていたらどうでしょうか、きっと皆さんは平穏に毎日を過ごせるのではないでしょうか。
このように相場の上下動の激しさと、保有者の精神状態は密接に連動しており、
相場の変動が激しければ激しいほど保有者の「ハラハラ感」は強まることになります。

投資の世界では、この上下動の激しさのことを「価格変動リスク」(あるいは単に「リスク」とも)と呼び、
このリスクこそが「ハラハラ感」の正体なのです。

このリスクという概念は今後のお話のなかで重要な意味を持ちますので、ここで詳しくご説明を致します。

まずはじめに投資の世界では、このリスクを数値で表現することができます、
例えば「この投信はリスクが10%、リターンが15%です」といった具合です。
ではこれはどういうことを意味しているのでしょうか、まず下記グラフをご覧下さい。

このグラフの横軸は年間のリターン、縦軸は発生する回数(起こりやすさ)を示しています、
グラフでは年間リターン15%のところが山の中心で、
それより左側にゆくほどリターンは小さく、右側にゆくほどリターンは大きくなります、
この投信の平均リターンは年率15%ですので、グラフは年間リターン15%の部分がもっとも高く(起こりやすく)、
その左側は左にゆくほど低く(起こりにくく)、同様に右側も右に行くほど低く(起こりにくく)なっていることを意味しています。
つまり年間のリターン15%のところが最も起こりやすく、
それよりリターンが大きくなる確率も、小さくなる確率も徐々に低くなるわけです。

次にリスクとリターンの関係です、先ほどのようにこの投信は年率15%のところが最も起こりやすいのですが、
この15%を中心に左右に「リスク一つ分」(この場合は5%)ずつ展開したエリア(グラフの斜線部分)に
約68%の確率で収まるということになります、
少しややこしいですが、逆に言えば「リスク一つ分」とは約68%をカバーできる範囲を示しているわけです。
要するに平均リターンである15%を中心に、そこから「リスク一つ分」(この場合5%)引いた値(15%−10%)即ち5%から、
逆に「リスク一つ分」を足した値、即ち25%(15%+10%=25%)の範囲にほぼ2/3の確率で収まるとお考え下さい。

上記事例ではリスクを10%として計算しましたが、仮にもっと小さな値、例えば5%だったとすればどうでしょうか。

(グラフ:1−4)は先ほど同じ条件で、リスクだけを10%から5%に下げたものです、
ご覧頂いておわかりのように68%をカバーする(即ちリスク一つ分の)エリアが
(グラフ:1−3)に比べ狭くかつ高くなっていることが解ります、
先ほどの例で、この投信の年間リターンは5%〜25%の間に約68%の確率で収まっていましたが、
今回の例では10%〜20%と狭い範囲のなかで、この68%が起きるというわけです。

では前者の【リスク10%/リターン15%】という投信と、
後者の【リスク5%/リターン15%】という投信、皆さんならどちらをお選びになりますか、リターンはどちらも年率15%です。
大雑把なイメージでいえば、前者は−5%の年があれば+35%の年もあり、年度ごとのバラツキが激しい投信です、
これに対して後者は悪い年でも+5%はある、その代わりどんな良い年でもせいぜい25%程度しかとれない、
比較的値動きのおとなしい投信です。

先ほど「ハラハラ感」の正体は価格変動リスクだと申し上げましたが、
一般に人は(よほどギャンブル体質の人はいざ知らず)価格変動を嫌うとされています、
従ってリターンが同じ15%であれば、何も好んで価格変動の激しい(リスクの高い)金融商品を
購入することはないということになるわけです。


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