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思いつくことなど
震災の当日電車が不通になり、僕は銀座から自宅まで
歩いて帰ろうと考えました。

東京から横浜まで早足で5時間ほど、結局そこで力尽き、
さらに横浜駅で5時間タクシーを待って帰宅。

思えば一夜でいろいろな光景を見ました。

深夜に人で溢れかえる歩道、
その歩道をあるく人を客引きするパチンコ屋の呼び込み、
そして店内で平然とパチンコを打っている客、
横浜駅のタクシー乗り場にできた長蛇の列、
その列の客を呼び込むシロタクの怪しいおじさん、お酒を
一杯500円で売りに来るお兄さん、

そして忘れられないのは多摩川大橋からみえた不気味な遠い火・・・

きっと石油コンビナートが燃えていたのでしょう、『オレはここに
いるぞ』と悪魔が舌をヒラヒラさせているようでした、津波も
怖かったので、僕は大急ぎで多摩川大橋を渡り切りました。

自宅に着いたのは朝の5時過ぎ、
しらじらと夜が明けはじめた頃でした。

僕はあの夜のことを一生忘れないでしょう。
(2011年3月29日)






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