【提案1】
現在お手持ちの現預金1億円のうち、当面の生活に必要な資金を残したうえで投資用不動産を購入するというプランです。当面の必要資金を2000万円と考え、投資額は8000万円としました。
【プランの詳細】
本案の投資対象は首都圏および関西圏の築浅中古ワンルーム・マンションと致しました。例えば首都圏の物件を例に挙げますと、築10年程度20m2前後の築浅物件で、おおよそ1800万円程度で購入できます。一般的にこのような物件の手取りベースの収益率は、年率で4.5%ほどとなります。関西圏の場合、価格は20%程度安くなりますが、収益率は首都圏物件とほぼ同等です。
地震等の災害リスクも考慮し、このような首都圏と関西圏への分散投資は確かに一つの考え方です。本案の場合、具体的には首都圏物件3戸、関西圏物件を3戸とさせて頂きました。
内訳 首都圏物件 1800万円×3戸=5400万円
関西圏物件 1400万円×3戸=4200万円
購入したこれら物件にから得られる賃貸料収入は以下のとおりです。上記のように首都圏および関西圏の築浅中古物件から得られるリターンは、年率ベース(オーナーの手取り)で5%強が標準ですが、保有期間中の空室や一時的な修繕持ち出しなど、余裕をみて長期的なリターンを年4%とみました。
◆賃料収入
9600万円×4%=384万円
本案では購入した不動産を、二人のお子様に譲らず、そのままB様に保有して頂くという前提で考えました。上記賃料収入は、将来の相続税支払いや、B様の相続財産の増加を緩やかなものにするという配慮から、贈与税基礎控除の範囲のなかで、お二人に暦年贈与されることに致しました。
B様のお年は66歳、女性の平均寿命までご存命と考え、向こう22年にわたりお二人に110万円ずつ贈与されると考えますと、その総額は220万円×22年=4840万円となります。
賃料収入との差額(384万円−220万円=164万円)は、B様の生活費としてお使い頂くことにしました。
◆想定される相続税の納税額
一方で将来想定される相続税の試算は以下です。
9600万円×35%=3360万円(賃貸用不動産の相続税圧縮効果後の想定評価額)
さらに将来のB様のキャシュフローの予測から、相続時点の現金を2000万円、加えて株式等の持ち高を2000万円と想定致しました。
従ってB様の相続資産額は、以下のように想定致しました。
3360万円(賃貸不動産)+2000万円(現金)+2000万円(株式等)+7000万円(ご自宅不動産)=1億4360万円
これに対して相続税の基礎控除額が4200万円ですから、課税対象資産額は1億4360万円−4200万円=1億160万円となり、その結果、本案における相続税額は1600万円程度ですむと想定できます。
◆本案の効果
上記のようにまず相続税の支払い額を3000万円から1600万円に圧縮することができます。
さらにご自身で毎年160万円の賃貸料収入を得ながら、お二人のお子様に無税で贈与できる額の合計が向こう22年で4840万円となります。
【提案2】
提案1で不動産をB様保有とし、賃貸料収入の一部をお子様に贈与されましたが、本案は、購入された不動産をお二人のお子様に生前贈与されるプランです。
【プランの詳細】
本案ではお二人のお子様に、それぞれ3戸ずつの投資用マンションを生前贈与して頂きます。この場合の贈与税に関しては、贈与された不動産の相続税評価額が35%に圧縮可能と考え、それぞれ4800万円×35%=1680万円と想定致しました。相続時課税制度を使いますと、2500万円までは贈与時点が非課税(相続時点で相続財産に含めて課税されます)ですから、この時点では贈与税はかかりません。
一方でお二人のお子様の手元には毎年それぞれ4800万円×4%(計算根拠は案1と同じ)で192万円の収入が入ることになります。得られた賃貸料収入は、すでにお二人のお子様のもので、今後どれだけ積み上がっても、相続税の対象にはなりません。
◆想定される相続税の納税額
本案における将来想定される相続税の試算は以下です。
生前贈与時点に遡った相続税評価額は、上記のようにお一人当たり1680万円ですので、お二人合計で3360万円となりました。
さらに将来のB様のキャシュフローの予測から、相続時点の現金を1000万円、加えて株式等の持ち高を2000万円と想定致しました。
この結果B様の相続資産額は、以下のように想定致されます。
3360万円(賃貸不動産)+1000万円(現金)+2000万円(株式等)+7000万円(ご自宅不動産)=1億3360万円
これに対して相続税の基礎控除額が4200万円ですから、課税対象資産額は1億3360万円−4200万円=9160万円となり、この場合の相続税額は1400万円程度ですみます。
◆本案の効果
まず相続税の支払い額を3000万円から1400万円に圧縮することができます。
さらにお二人のお子様に無税で時価9600万円の投資用不動産を生前に贈与することができます。
この資産はお子様たちのご家庭に、長期的な金銭的な安定をもたらすことになるはずです。
一般にマンションなど鉄骨構造物の寿命は60年以上といわれておりますが、余裕をみて50年程度とみておくべきでしょう。これに対し購入される物件は、築10年程度の築浅の物件を想定しております。従って今後40年程度は継続してお子様お二人のご家庭に現金収入をもたらしてくれるはずです。これらの収入は、お二人のご家庭に生活費して使うもよし、もし生活に余裕があれば、株や現物の貴金属などへ積立投資を長期にわたって行えば、お二人の豊かな老後の支えとなることでしょう。お子様が得られる賃料収入を、毎年190万円ずつ40年間ためるだけで、お二人あわせて1億5200万円以上の資産形成が可能です。節税を図りながらお子様達の資産形成を実現できるプランになっています。