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思いつくことなど
今回は久々にコインのお話しを少しだけ・・

海外に出ると、いろいろ文化や習慣の違いに
気づくことがありますが、コインの好みについても
欧米と日本では随分違いがあります。

たとえば銀貨です。

日本人はキレイな銀貨を昔から好んできたようですね。
銀は空気に触れると表面が腐食し、ちょっとくすんだ
黒っぽい色になります。

これを「いぶし銀」などと言って、どちらかといえば
好ましい変化とみる傾向もありますが、コインの世界では
むしろ逆で、我が国でこのような腐食は好まれてきませんでした。

ですからこのような黒ずんだ銀貨を手にした人は、
たとえば酸で洗浄したり、銀みがき用の布で表面を磨いたり
してきたわけです。

その結果はご推察のとおりで、確かに表面はピカピカと
きれいになるのですが、ルーペなどを使うとキズや溶解の痕跡が
しっかりと見えてしまいます。

対して欧米ではどうかといいますと、我が国と違って自然に
腐食された状態を好みます。黒ずみはトーンといってむしろ
珍重され、場合によってはそのトーンの色合い自体も
鑑賞のポイントとしてきたわけです。

ブルーっぽいトーン、黒っぽいトーン・・
なかには虹色に見えるのもあったりします。

この場合の腐食はコインの価値に影響せず、逆にゴシゴシ
磨いたり、酸で洗浄したりしますと、いくらピカピカになっても
一気に価値がさがってしまいます。

ところが最近では日本人も欧米の好みに感化されてきて、
洗浄や磨きを嫌うようになってきました。このような痕跡の
あるコインの価値は低く、逆に手を加えていない自然な
コンディションの良さが好まれるようになってきたわけです。

一方で過去の経緯から、我が国でそのようなコインを見つける
ことは難しく、自然なトーンの未使用品は、急速にその
価値を高めつつあるといえます。


なかなか面白い話でしょ・・・


皆さんもタンスで昔の銀貨をみつけたら、
決して磨かず洗わず、そのままの状態で大切に保管する
ようにしてくださいね。

ちなみに水洗いもキズがつくのでダメですよ〜
(2012年11月6日)







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