お宝ローンを大切に
皆さんこんにちは。
世の中には一見当たり前だと思われることでも、よくよく考えてみると怪しいことが沢山あります。
よく巷でファイナンシャル・プランナーが「余裕資金が出来たら、すぐさま住宅ローンの繰上げ返済をしなさい」などといいますが、これなども疑ってかかったほうがいいかもしれません。

例えばこういうお話です・・・
現在は年利2.5%程度の固定金利で、35年の長期ローンを組むことが出来ますよね。

考えてみれば、この(借り手から見て)極めて有利な条件は、ここ数年の日本が「デフレ」「超低金利」「ゼロ成長」といった、過去世界でもまれにみる経済環境にあったから実現した特殊な状況だとも言えるわけです。

一方で現在の日本は、過去に行われた政府の持ち家政策が尾を引いており、『持ち家を担保にした住宅ローン』に対して極めて寛容な社会でもあります。
住宅ローン以外で、このような高額・長期・低利の固定ローンなど到底考えることなどできませんよね。
私達は長らくこのデフレ、超低金利の日本に慣れきってしまっていて、現在の住宅ローンの有り難味を感じなくなっていますが、後から振り返ってみれば『あの時はチャンスだったな』と後悔することになるのではないでしょうか。

もしかすれば、現在の住宅ローンは『お宝ローン』なのかもしれませんね・・・

以前、キャリートレードのお話をさせて頂いたことがあります。
キャリートレードというのは、金利の低い国で調達したお金を高金利の国で運用する事により、利ざやを稼ぐ手法です。
仮に、現在の日本という超低金利国で調達した(借り入れた)お金を、「将来の高金利の日本」で運用すれば、これは時間差を利用した一種のキャリートレードと言えるのではないでしょうか。
もっとも、「将来の高金利の日本」と言ってもオーストラリアやニュージーランドのイメージではなく、せいぜい現在の米国程度(長期金利が4%台)というイメージだと思います。
でも、2.5%で調達したお金を4.0%で回せたら御の字ですよね、しかも為替リスクは一切ありません。

ちなみに、政府が明日(1月18日)発表する経済財政の中期見通し「改革と展望」によりますと、2011年度に長期金利は3.9%まで上昇すると予想されています(日本経済新聞 1月14日の記事より)。
もし、この見通しどおり5年後の日本の金利が4%近くまで上昇するのであれば、せっかく手にした『お宝ローン』を返してしまうのは実にもったいなお話です。

例えば個人向け国債のようなノーリスクの資産ですら、3%台でまわることになるわけですから・・・・ 以前、私は著書の中で住宅ローンの繰り上げ返済を勧めたことがありますが、いよいよ利上げが射程圏に入ってきた今、そろそろこの考え方を捨てたほうが良いと感じています。
ただし、(超おおざっぱに申し上げて)年率2.5%程度以上で資産を運用する自信がない方には、やはりお勧めすることはできませんが・・・

言い換えれば、是非皆さんに資産運用のスキルを磨いていただき、このまたとないチャンスを十分に活用していただきたいとも思っています。

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