キウイの食べすぎにご用心
皆さんこんにちは。
私達日本人は、どうも高金利国の通貨が好きですね。
なかでもニュージーランド・ドルは日本人の大得意、現在ニュージーランドに国外から入ってくるお金の大半は日本からのものだそうです。

この日本人のニュージーランド・ドル好きの理由は

・高金利(現在の政策金利は7.25%)
・高格付け(長期国債の格付けはAAA/S&P)
・高い国際競争力(2004年は第4位、経営国際研究所発表)
・安定した財政状況(黒字を継続)
・豊富な天然資源。

というところでしょうか、これだけ並べれば日本人のニュージーランド・ドル好きにも納得させられてしまいそうですね・・・・現に2000年に41円をつけた同通貨は2005年12月には高値86円をつけ、現在でも81円台をキープしています。

でも、私達は本当にこのままの勢いで投資を続けていいのでしょうか?
モノゴトには必ず裏と表があります、私達は大切なお金を投資する場合、他の大勢の意見に左右されず、しっかりと状況を分析し自らの判断で動かなくてはなりません。

話は変わりますが、皆さんは1月19日にニュージーランドの中央銀行など、金融当局者の代表団が来日し、日本の証券会社等を訪問したのをご存知でしょうか。
翌日の新聞では確か日本経済新聞が「マーケット・ウオッチャー」欄の中で、ほんの小さく取り上げていただけでした。

要件はニュージーランド・ドル建ての債券の発行自粛要請だったそうです。

時代も随分と変わったものですね、一国の金融当局者が自国への投資自粛を促すなどというお話は私は聞いたことがありません。
これは前代未聞の出来事といえるかもしれません、直後、同通貨は円に対し2円ほど安くなりましたが、その後はほとんど話題に上ることもなく・・・
現在では再び81円台に戻しています。

さて、皆さんは彼らのこの動きをどう解釈しますか?
まず、今回彼らががなぜこのような異例の動きをせざるを得なくなったか、その理由を考えてみましょう。
一つには、同通貨が高くなりすぎ、輸出の減少、経済成長の鈍化を招きつつあるということです。
昨年度の同国の経済成長率は対前年で半減し、今年は景気後退には至らないまでも、さらに成長率の鈍化が見込まれています。

一方で同国の経常赤字(財政赤字ではありませんよ、財政的には黒字です)は拡大基調です。
ロイターの報道(1/27)によれば、「S&Pは27日、ニュージーランドの格付けについいて、経済の不均衡によって格下げのリスクが高まっているとの見方を示した。ただ、現在の格付けを直ちに変更する考えがないことも明らかにした。ソブリン格付けディレクターのブレンダン・フリン氏は『同国の対外債務と経常赤字の大きさが懸念要因だが、政府の財政状況が非常ににしっかりしており、現在の格付けに満足している』と述べた。」とのことです。

要するに、財政的には安定しているが対外債務と経常赤字が大きくやや懸念が持たれるということでしょうか。
このまま同通貨高が継続した場合ますます経常赤字は拡大し、場合によっては国債の格下げの可能性がある、二つ目の理由はここにあるりそうですね。同国にとって現在の最高格付けから転落する恐怖は相当のものなのではないでしょうか。仮に今の為替水準のまま格下げを迎えることになった場合、急激かつ大幅な通貨安を招きかねません。

では、今後の同通貨はどう動くのでしょうか。
ここに1/30付け「日経金融新聞」の記事があります。
タイトルはズバリ「NZ投資にご用心」(JPモルガン・チェース シニア・通貨ストラテジスト ポール・メゲシー氏)です。

本記事によりますと、『同通貨は今年、世界でも最も大幅に下落する通貨の一つになると我われは見ている』とし、その原因として下記の4点を挙げています。

1.他国の中央銀行が(金利を)引き締めを続けるなかで、同国の中央銀行が成長率の低迷とインフレ減速を受けて、積極的に金利を引き下げると見られる点。

2.同通貨は、いったん下落に転じたら、急落すると予想される。
理由としては今年と来年に債券の償還がかなり増える(償還は昨年の三倍半)ことがあげられる。

3.当社(JPモルガン・チェース)の貿易加重平均指数によると、同通貨は世界で最も過大評価された通貨の一つである。

4.同国の対外収支は極めて危険な状態にある。経常赤字でみても外国投資家に対する純債務でみても、世界で最も高い水準にある。

ちなみに同通貨は95年から97年初めにかけて対円で60%近く上昇した後、その後3年半で50%下落(同記事より)しています。
取引ボリュームの小さい通貨は、僅かな環境の変化でも大きく上下動しますので注意が必要です。

特に証拠金取引をおやりの方は、テクニカルな日々の動きだけではなく、通貨のファンダメンタルズも注視しておいたほうがいいのではないでしょか。

最後に1/20日に同国の副首相兼財務相のカレン氏はロイターに対し、下記のようなコメントを寄せていますので、ご紹介しておきましょう。

『日本人投資家を対象にNZドル建て債券のリスクを説明したのはNZドルの為替レートを引き下げるためで、その効果が出ているようだ』
『こうした債券を購入するに当たっての為替リスクが、完全には理解されていないという感触があった。一部の投資家は、NZドル高が以前よりずっと長く続いていると理解していなかった』
『NZドルは、いまだ長期的に見た合理的な水準より過大評価されている状態で、昨年初めに20年以上ぶりの高値となる1NZドル=約0.75米ドルを付けてから、小幅な下落しかみせていない』


キウイの食べすぎにはご用心

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