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トレンド・フォローと商品指数
皆さんこんにちは。
ここしばらく私は資産運用のご相談依頼に対して、コモデイティ(商品)を何らかのカタチで組み入れることをご提案するケースが多くなりました。

ひと昔前は株・債券を中心とした伝統的な資産だけで、こと足りていたのですが、最近では、金融手法の高度化やコモデイティ相場の上昇に伴ない、コモデイティや不動産などの代替商品を資産の中に取り組む必要性が高まっているように感じます。
私はいつも資産運用では、相関性の低い成長資産を組み合わせることが大切ですよ、と申し上げていますが、その観点からもコモデイティを一定額アロケーションの中に組み込む事は有効だと考えています。
今回は、そのコモデイティの取り込み方についてお話したいと思います。

皆さんは『トレンド・フォロー』という運用手法をご存知でしょうか?

これは、よくヘッジファンドが用いる運用の手法の一つです、この手法は一種のテクニカル手法でして、現在の相場のトレンドが今後も継続するという前提の下に、先物の売り買いを行うものです。
仮に原油相場でトレンド・フォロー運用を行う場合、今後原油相場が上昇すると考えるなら、先物を買うわけですね。反対に、今後のダウントレンドを予測するなら、先物を売っておけばいいわけです。
このようにして、相場の上昇・下降に関係なく、トレンドのみを予測して売買を行う手法、これが『トレンド・フォロー』です。
トレンドというのは多分に心理的な要因で形成される場合が多く、その結果一度生まれたトレンドは(本来あるべき価格形成との乖離が一定レベルに達するまで)継続する傾向が見られます。
『トレンド・フォロー』という手法は、こういった相場の継続性(慣性)を利用した運用手法だともいえるわけです。

ではこの『トレンド・フォロー』型手法を採用するヘッジファンド、具体的にはどのようなマーケットを投資対象にしているのでしょうか。
例えば代表的なファンドでマン社やスーパーファンド(旧クアドリガ社) のファンドについてみますと、

・コモデイティ(具体的にはエネルギー関連商品、畜産物、貴金属など)
・金融市場(株・債券・金利・為替)

というように、商品系先物市場、金融系先物市場に幅広く分散投資を行っております(ファンドのよってウエイトは違いますが・・・)。

さて、ここからが大切なところです。
よく、マンやスーパーファンドといったトレンド・フォロー型のファンドに投資しているから、コモデイティを取り込んでいると誤解していらっしゃる方も多いのですが、上記のように実際には

・コモデティだけではなく、金融先物商品もとりこんでいる
・トレンド・フォローですので、コモディティの値動きをストレートには反映しない

この2点において、コモデイティをストレートに取り込んだとはいえないということになるわけです。

もちろん、これらのファンドは株・債券といった伝統的な投資商品とは異なった値動きをしますので、ポートフォリオ上の分散効果は十二分にあるのすが、皆さんが純粋にコモディティの値動きを積極的に取り込みたいとお考えなら、これらの選択はあまりよくないということになります。
もし、皆さんがこのような目的でファンドを選択するのであれば、『商品インデックス・ファンド』をお勧めしたいと思います。

例えば、RICIなどはいかがでしょうか。
(注)RICI:Rogers International Commodity Index

RICIはジム・ロジャーズさんが1998年に作った、商品インデックスで、毎年同氏によって適宜組み替えが行われています。
他にも

・Goldman Sachs Commodity Index
・Dow Jones AIG Commodity Index
・CRB Commodity Index

などの商品インデックスもありますが、、過去のリスク/リターンから総合的に評価するなら、やはりRICI連動型のファンドがいいように思います。

ここで、RICIとトレンド・フォロー型のヘッジファンドであるスーパーファンドAの、過去の年度別リターンの推移を見てみますと
【RICI】上から順に1998年から2005年までの年間データ

・-11.1%
・41.8%
・26.1%
・-18.8%
・34.1%
・32.0%
・20.8%
・19.6%

平均リターン(年率換算)+19.1%
リスク(標準偏差)21.7%

【Superfund A】上から順に1996年から2005年までの年間データ

・-10.3%
・20.7%
・62.6%
・25.4%
・23.2%
・18.8%
・38.4%
・24.3%
・11.0%
・-3.3%

平均リターン(年率換算)+19.9%
リスク(標準偏差)20.4%

となります、ちなみに1998年以来の両ファンド間の相関係数は-0.25となり、やや弱い逆相関性がみられます。

商品相場が継続的に下落した場合、RICIはもちろん下がりますがトレンド・フォローであるスーパーファンドはむしろ上昇する性格を持っています、相関性の低さは、恐らくこのあたりに理由があるのではないでしょうか。
サンプル期間が短いので、十分な比較とは言いにくいですが、仮にこの傾向が今後も継続すると考えるならば、これらの

・トレンド・フォロー型のファンド
・商品インデックス連動型のファンド

の組み合わせは、好ましい結果を生むといえそうです。

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