新興国株に変調の兆し
皆さんこんにちは。
ここ数年、世界的に新興国の株に対する投資が盛んに行われてきましたね。

米国でも新興国の株式ファンドの残高は、過去最高水準に達していますし、もちろん、日本でもBRICsや東欧の新興国株で運用するファンドへ随分お金が流れ込んでいて、こちらも過去最高水準です。
私などは少しアマノジャクな性格ですので、少し買われすぎのような気がしています。
実際仔細に世の中を見渡しますと、ほんの僅かではありますが変調の芽をいくつか見つけることが出来ます。

例えば、中東。
中東諸国の株式相場はこの2月中旬当たりから大幅に調整しています。
サウジ・アラビア、UAE、エジプトなど、ここ2年程度で4倍から6倍程度に上昇してきたこれらの国の株式相場は、この一月で20%程度一気に下落しました。

他にもアイルランドの通貨クローナの大幅な調整、ブラジル・ロシアあたりでも市場が冷え込む兆しが見え初めているとのことです。(日経金融新聞 3月17日 CSFB ジャイルズ・キーティング氏)
ニュージーランド・ドルも弱含んできました・・・・

では、一部の新興国の相場の崩れは、これらの国の固有の問題なのでしょうか、それともこれが新興株式市場全体の転換点になるのでしょうか。
私自身は、この中東の株式相場の崩れは、世界的なお金のながれの変化を先取りしたものではないかと思っています。
米国の利上げは4.75%もしくは、悪くても5.0%で打ち止めと一般的に考えれれて来ましたが、ここのところ思った以上の景気の底堅さが確認され、最近では5.5%まで上昇するのではないかという見方も出てきました。

欧州に目を移すと、ドイツをはじめとした主要国で景気の回復が見られ、欧州中央銀行も今後利上げを継続しそうな勢いです。
もちろん、我が国でも量的緩和の先にいよいよ金利の復活が、具体的なスケジュールとしてテーブルに上がりつつあります。
今まで日本や米国、欧州の金利の低さを嫌って、新興国にあふれ出していたお金の流れがストップする可能性がある、そう診てとったヘッジファンドなど、機動性の高い投資家が先取りして動いた。
今回の中東や一部新興国相場の変調には、こういう側面があるのではないでしょうか。

では、今後この流れは他の国に広がり、新興国相場全体の大きな流れとなるのでしょうか。
ここで、日経金融新聞の3/17付け記事の上記ジャイルズ・キーティングさんの見方を御紹介しておきます。

1.新興国の株式市場・債券市場は4月~6月に大幅な調整局面を迎えるが、そこは逆に買い場である。

2.理由は二つ、一つ目は先進国(特に米国)の金利先高感は行き過ぎているきらいがある、米国の住宅需要は低迷し、金利先高感を抑える可能性がある。

3.理由の二つ目は、世界の株式相場が割高とは思えないこと。MSCIの世界株式指数の予想PERは15倍に未たず、割高まで買われているとは思えない、また、世界中を見渡しても全体的に経済見通しは良好で、よほど大きなショックに見舞われない限り、今年の企業業績も好調を維持しそうだ。

(以上 筆者抜粋および加筆)

要するに、
一時的な米国を始めとした先進国の金利先高懸念によって、一部の小規模な市場で調整が起きている、今後この流れは新興国全体に及ぶ可能性が高いが、そこが絶好の買い場。
実際には米国の金利は懸念されているほど上昇しないし、新興国の企業業績は好調を持続する、結果として調整は一時的でその後は再び上昇に転じる。
と、このようにお考えなわけです。

これは単に一人のエコノミストの見方に過ぎませんが、参考にすべき点が含まれているのではないでしょうか。
私自身も米国の景気はそこまで強くなく、政策金利5.5%は少し強すぎるように思います。
また、日本の金利のほうもガンガン上げるという感じではないので、一時的な過剰反応のように思います。

ただ、過剰反応するのもまた相場、ここしばらくは新興国の株は少し様子見スタンスで行こうとも思っています。
特に米国の政策金利の行方には、最大限の注意を払いながら・・・

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