不動産はバブルか、日銀の見方
皆さんこんにちは。
昨年の大晦日は土曜日でした。
その2005年12月31日付の日本経済新聞にこのような記事が出ていました。
『不動産融資の監視強化』~日銀、バブルの芽懸念~

記事の内容は

・日銀は銀行などによる不動産向け融資の監視を強化する。
・日銀担当者が銀行や信金などに対し、融資額の伸び率、融資先の財務状況、担保価値、収益見通しなどのデータの提出を求める。
・その結果、問題と判断すれば融資残高の圧縮や金利引き上げを求める。

概ねこのような内容でした。

これは要するに、銀行が不動産業者や不動産投信などに対し、過剰な融資を行い、結果としてかつてのような不動産バブルが再現するのを、未然に防ぐ意思を日銀が示したという事です。
背景としては、国内銀行の不動産向け融資が(すでにこの時点で)対前年同期比で+44%となっており、バブル期以来の高い伸びになった事、地価は地方ではまだ低迷しているものの、大都市圏の一部ではすでにミニバブルの状態になっている、このような事があるのでしょう。
後日、日銀はこの記事の内容を否定しましたが、金融界や不動産業界では、やはりいずれ日銀はこのような行動に出るだろうと推測されてきたわけです。

私たち個人投資家にとってもこの問題は深刻です、例えば、この記事のような監視が行われた場合、不動産関連銘柄は怖くて少し買いづらいですよね、当然REITなど借り入れ依存率の高い不動産投信にとってもマイナス要因でしょう。(ちなみに日本のREITの平均的な借り入れ金依存率は50%程度です)
さらには、このような規制が仮にさらに強化された場合、せっかく持ち直してきた不動産の価格そのものにも、悪影響を及ぼしかねません。
確かに日銀は否定していましたが、いずれ(近々)そのような動きにでるのではないかと私などは思っておりましたし、恐らく業界の多くの人も、同様の懸念を持っていたことでしょう。

そこで、4/11日に行われた日銀の福井総裁の記者会見の内容です。
この会見の中で、福井さんは最近の地価の動向に対し、注目すべき話をしていますので、かいつまんで御紹介しましょう。
「不動産価格の状況は、最近発表された指数をみてもまだ中央、地方、あるいは中央のなかでも地域によってかなり開きがある状況だが、一部の地域ではかなりの不動産価格の上昇がみられるようになってきている。これは過去と比べて大きな変化だと受け止めているが、まあ、大きくいって収益還元法の中での価格の動き、健全な範囲内での動きを逸脱しはじめているとはまだ我々は受け止めていないということである」

例によって慎重な言い回しではありますが、要約すれば

・不動産価格は一部の地域では上昇を始めている。
・が、これは地価が生み出す価値が高まったから上昇しているのであり、まだまだ健全な範囲の上昇である。

ということになると思います。

日銀の総裁や副総裁のコメントは、常に注意深くみておく必要がありまが、今回の会見のコメントを見る限り、日銀には冒頭の日経新聞の(観測)記事のような、『不動産融資への監視強化』を行う意図は無いと考えてよいのではないでしょうか・・・・少なくとも今のところは。
過去においても(あのバブルの真っ只中、突然の)不動産業者への極端な融資規制が不動産価格を急落さた事件(!)がありました。
少なくとも

日銀は未だ不動産バブルではないとの考えを示した点さらにはその結果、規制を行う意図がないと読み取れる点
この2点において前日の会見は、これから不動産や不動産関連銘柄への投資を検討しておいでの方にとっては、大いに注目に値する会見だったと思います。
文脈から考えると、日銀は『暫くは不動産の価格の上昇を容認する』と解釈するのが妥当ではないでしょうか。
では 今回はこのへんで。

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