ワールド・クラスの資産運用
皆さんこんにちは。
最近では野球やサッカーなど、世界レベルに徐々に近づいている競技がありますね、素晴らしい事だと思います。
一方で金融の世界を見てみると、世界、特に欧米とのレベルの差は今だに歴然としているように見えます。
長く護送船団方式で金融界が守られてきたことが、まだ尾を引いているのでしょうか・・・それとも元々競争を嫌う日本人の国民性がそうさせているのでしょうか。
一つの証券会社がヒット商品を出すと、他社からコピー商品が続々出てくる、まったくこれの繰り返しです。

SRIファンド、元本確保型ファンド、ラップ・アカウント、好配当ファンド、毎月分配型ファンド・・・挙げればきりがありません。
このような云わば『はやりモノ』を次から次に投入し、その都度新しいセールス・トークを考え、全社一斉に量販体制を敷く。

こういうことを繰り返してきた結果、銘柄数は腐るほどあるのに、どの証券会社に行っても似たような商品ばかりが並んでいて、同じような商品ばかりを勧められる、こういう状況になってしまっているのではないでしょうか。
日本の投資家にとっては、とても不幸な事だと思います・・・
よく日本の金融商品の手数料は高いと云われますね、私も全くその通りだと思います、ただ、その商品が手数料見合いの『仕事』をしっかりとしていれば、それはあながち問題だとも思えません。

例えばオフショアのヘッジ・ファンドなどを見れば、購入手数料5%成功報酬20%などという商品はザラにあります・・・
私自身は日本のファンドの問題点はコストではなく、むしろ『商品の多様性』にあると思っています。
例えば、私たちが投資家向のためにポートフォリオを構築する場合、リターンもさることながら、リスクのほうを重視いたします。

これはどういうことかといいますと、例えば皆さんが1000万円の資産をお持ちだとして、この資産が年間+70%にもなるけど、-50%にもなるという事でしたらいかがでしょうか。
平均すると年率+10%ですが、一年で資産が半分に減ってしまうと精神的にきついですよね。
投資の世界ではこの上下動のことをリスクと呼ぶ(場合が多い)のですがやはり手持ちの資産は全体としてはリスクを低く抑えなけれなりません。

リスクを低く抑える方法は2つあるのですが、そのうちの1つは『異なった値動きをする複数の資産への投資』です。
日本の証券会社で販売している金融商品のみで、ポートフォリオを構築しようとすれば、(似通った商品が多いので)どう頑張っても分散効果を十分に得ることはできません。
確かに、例えば日本株を対象としたファンドの中にも、大型バリュー、大型グロース、小型グロース、小型バリュー・・・いろいろあります。

新興国株ファンドも銘柄は随分増えてきました。
ところが大きな目で見た場合、似通った商品が多く、それぞれの商品に個性がないので、結果として(例えば今のような世界同時株安のような局面は)一斉にやられてしまうという状況になってしまうわけです。
一転して欧米を見てみますと、多様でユニークな商品がたくさんあります。
前回御紹介したトレンド・フォロー型のファンドなどもそうですね。
投資対象が上がっても下がっても関係なし、一定のトレンドさえ出ていればリターンを上げることが出来ます。

他にも

・新興国株のロング・ショート運用
・新興国債券のロング・ショート運用
・世界中の不動産株を対象としたファンド・オブ・ファンズ
・米国の生命保険の中古市場(買取市場)で運用するファンド
・タイのレジャー用地のみに投資するファンド
・元本確保率が100%を起点に徐々に逓増してゆくファンド
・英国の学生寮だけに投資するファンド

など本当に多種多様です。

一例ですが上記の「新興国株ロング・ショート」はロンドンに拠点を置く、ある会社が運用する商品ですが、毎月のレポートでロングとショートの両ポジションを国ごとに開示しています。

本ファンドの2006年3月のレポートによりますと

・台湾 買いポジション(8.3%→6.6%)、売りポジション(0%→0%)
・インド 買い(0%→0%)、売り(0%→6.6%)
・オーストリア 買い(0%→0%)、売り(4.5%→3.8%)
・ハンガリー 買い(11.3%→6.2%)、売り(0%→0%)

注)カッコ内左側は前月、右側は当月のポジション

など国別に、毎月機動的に買いと売りのポジション調整を行っている様子が見て取れます(特にインド株を6.6%と大幅に売り建てているのが興味深いですね、何か感じるものがあったのでしょうか・・・)。

ちなみに、このファンドの運用開始以来の年度別成績は、2000年より順に
+2.56%(2000年10月からの3ヶ月のみ)
+28.67%
+29.73%
+37.61%
+35.89%
+34.52%
+18.54%(2006年4月までの4ヶ月間実績)

となっており、通算では年間リターンは33.0%、リスク14.2%の成績を収めています、ロング/ショート型にしては十分な成績を残しています(残念ながらこのファンドは募集を締め切っていますが)。

【注釈】 『ロング・ショート』
割安銘柄の買いと、割高銘柄の(カラ)売りを組み合わせた運用手法、結果的に対象マーケットの上下動の影響を受けにくいという特性を持ちます。ただし、実際にはロング(買い)にウエイトを傾けている場合が多い、いずれにしても対象マーケットの値動きに依存せず、ファンド・マネージャーの手腕による部分が多い運用手法といえます。

詳しい情報をお知りになりたい方は、弊社『小富豪ヘッジファンド情報』(無料会員制サイト)にご登録の上、ご覧下さい、トップページ右側から入れます。
https://www.ginzafp.co.jp/ 以上は一例ですが、このように世界に目を広げると多種多様なファンドがあります。

日本国内で購入できる(いわゆる市販の)ファンドのみでポートフォリオを構築しますと、おのずと分散投資という観点では限界がありますが、このようなオフショアの金融商品を取り込むことにより、皆さんの資産はさらに安定度を増すのではないでしょうか。
では 今回はこのへんで。

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