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■金は、はずせない
皆さんこんにちは。
昔「投資は性格だ」という言葉をある本で読んだことがあります。
これは「投資の成果は情報量やテクニックで決まるのではなく、その人の性格で決まる」
という意味です。
私は職業柄多くの個人投資家と向き合ってきましたが、この言葉は確かに投資という
ものの一面を、正しく捉えているように思います。
これを私流に言い換えるなら「投資の成果は精神力で決まる」ということになります。
一度方針を決めてしまえば、世の中のその時々の流行や余計な情報に流される事なく継続する、
そういうスタンスを維持できるかどうか、これは頭ではなく性格で決まってしまうような
気がします。
さて、何度かこのBlogで金(きん)について取り上げてきましたが、今回も皆さんと一緒に
金の価格について考えてゆきたいと思います。
ここのところ世界の商品(コモデイティ)の価格は激しく上下していますね、原油も先物市場で
一瞬80ドルをつけましたし、銅もストの影響で激しく変動しています、全般的に見て高値圏での
乱高下というところでしょうか。
このように天然資源の価格は、いずれも過去最高値近辺で推移していますが、 実はインフレを加味して考えると意外な姿が見えてきます。
例えば原油
過去において最高値を付けた時期は1985年で、その時点の価格は40ドル近辺でした。
現在の原油価格は72ドル近辺ですので、過去の最高値40ドルと比べると、確かにとてつもない
高値になってしまっているように見えますね。
とこがインフレ率を加味してみると、実はそれほどでもありません。
1985年当時と現在の消費者物価指数を比較しますと、先進国の平均で約2.36倍になっています。
当時40ドルだった原油相場はインフレ率を加味すれば、約94ドルに相当し、現在価格72ドルは
それほど高い値段ではないということになります。
同様のことが金や銅でも言えます。
金の過去最高値は原油と同じく1985年で850ドル(グラムあたり)というのがあります、これも
物価上昇を加味した現在価値に修正しますと約2000ドルとなり、現在の価格620ドルはむしろ割安
だということになります。
同様に銅の最高値は1400ドル(トンあたり)、これは1974年に記録しています、これも現在価値
に修正すると13700ドルとなり、現在の価格約7800ドルはむしろ割安だということになります。
ただ、ものの値段というものは一時的にオーバーシュートしがちですので注意が
必要です。
上記の過去最高値(原油40ドル、金850ドル、銅1400ドル)はほんの一瞬つけた最高値ですので、
それをベースに現在の妥当価格を考えるのはやや危険なように思います。
では今度は(一瞬の高値ではなく)過去の最高値をつけた年の平均価格をベースに、現在の
(インフレスライドによる)妥当価格を再計算してみましょう。
結果は
・原油 68ドル
・銅 8430ドル
・金 1430ドル |
(2006年5月30日付 日本経済新聞記事より)
このようになります、皆さんどう思われますか?
仮に当時と経済環境が同じなら、原油や銅はそこそこいいところまできているという事
になります。
一方で金はまだ上昇の余地を残している、このようにもいえるのではないでしょうか。
金の最大用途は装飾需要ですが、当時と比べインドや中国など金に対する選好度合いが
高い民族が台頭してきています、加えて基軸通貨としてのドルの信認も徐々に低下しつつ
あるようにも見えます。
しばらくは、金に対して強めのスタンスでポートフォリオを作っておいてよいのではない
でしょうか。
では 今回はこのへんで。 |
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