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■意外と上がらない長期金利
皆さんこんにちは。
今から2、3年ほど前でしょうか・・・
『最後の○年』、『預金封鎖』、こんな刺激的なタイトルの本が
本屋のあちこちに平積みされていたのを私は憶えています。
このような本の著者の意図がどこにあったのか、あるいは本当に
我が国はこれらの本に書かれているようなヒドイことになってしまうのか、
私なりに考えた事を本にも書かせていただきましたし、折に触れこのサイト
でも紹介させて頂きました。
このような本の著者が、これからも同様のタイトルで本を書き続け、そして
自らの目的を達成し続けることができるかどうか・・・今とても微妙な状況
になってきているのではないでしょうか。
皆さんは現在の我が国の財政状態について、どのような認識をお持ちですか?
確かに数年前までは国や地方の借金は、維持可能なレベルを通り越し、
しかも毎年(いや毎日)異常な勢いで増え続けていたのは事実です。
ただ、ここ1年ほどは微妙に状況が変わってきたのではないでしょうか、
例えば2005年度の税収は当初予算の49兆円を5兆円も上回りましたし、
今年度の予算では、国債の新規発行額が5年ぶりに30兆円を下回りました。
消費税切り上げ論の成り行きをみても、一時5%程度とする考え方が
有力でしたが、今ではせいぜい2%、なかには消費税切り上げ不要論
も聞かれるようになりました。
要するにここ数年で、随分と明るい兆候が見え始めたわけです。
では、なぜこのように状況が好転したのでしょうか。
まず企業の業績が拡大を続けている事が第一点、企業の経常利益は
過去最高を更新中です、二つ目は現政権が積極的に歳出削減に取り組み、
将来もさらに削減を継続する方針を明確にした点。
この二点に集約できるのではないでしょうか。
もちろんこれで、我が国の将来の財政や経済はばら色だというわけには
ゆきませんが、少なくとも数年前と比べ随分状況が改善したのは
事実ですし、方向性も間違っていないと言えそうです。
さて前置きが長くなりましたが、これからはお金のお話です。
このような財政状況の改善や今後の方向性を反映してか(もちろん、
他にも要因はあると思いますが)、このところ長期金利はむしろ
低下傾向にあります。
今後も国債の発行が抑えられることになれば、長期金利の上昇は緩やか
なものになるでしょう。
長期金利の上昇速度が遅いということは、そこに投資のチャンスが
いくつか生まれることになります。
例えば、企業は設備投資のコストを低く抑えられ、その分積極的
に設備投資を行い、結果としてそれが循環的に企業業績を押し上げる
ことになるでしょう。
この場合日本の株は買いということになります。
あるいは低利で調達したマネーは、もうしばらく不動産に流れ続ける
かもしれません、この場合不動産は買い、不動産ファンドへの投資も
有効な手段だということになります。
不動産だけではありません、低コストのマネーはいろいろな投資機会
を探しながら、あちこち徘徊します・・・
ゴルフ場、ホテル、美術品・・・しばらくは買いということになるの
ではないでしょうか。
このように挙げてゆきますと、一昔前のバブル時代の記憶が蘇ってきますが、
各種指数を冷静に見ますと、未だバブルと呼ぶには早いようですね。
ただし、勝負の『おり時』は常に冷静に判断したいものです。
では 今回はこのへんで。 |
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