リスク抑制、日本株と相性の良い資産は
皆さんこんにちは。
このコラムで、私はよく『リスク』について書かせていただいております。

資産運用の世界でこの『リスク』という言葉を使う場合、主に価格変動の
度合いを表す指標として使われます。

ここのところのロジックについて書き始めますと、それだけでコラム一回分
が終わってしまい、今回の主題にたどり着かない可能性が高いですので、
今回はまずスタート台として『リスクとは価格変動の激しさを表す指数である』
ということを前提にお話を進めさせて頂こうと思います。

なお、この部分に興味のある方で、お暇な方は下記のサイトをご覧ください。
https://www.ginzafp.co.jp/info/16.html

一般に価格変動の激しい商品は、平均リターンが高く(ハイリスク・ハイリターン)
価格変動の小さい商品は、平均リターンも小さい(ローリスク・ローリターン)と
いわれますが、世の中には賢い人がいるのもで、高いリターンを得ながら、リスク
だけを小さく抑える方法を発見した人がいます・・・米国のハリー・マコービッツという
大学教授なのですが、この人はこの功績により1990年にノーベル経済学賞を受賞
しています。

この理論は「現代ポートフォリオ理論」と呼ばれているのですが、簡単に
いいますと、お互い異なった値動きをする金融商品を複数組み合わせること
により、資産全体のリスク(値動き)を下げながらも、一定のリターンを
確保することができる、このような考え方です。


上記で「お互いに異なった値動きをする」という表現を使わせて頂き
ましたが、その度合いは「相関係数」という数値を用いて数学的に
表現することができます。

例えば、

「日本株(TOPIX)」と「日本国債」の相関係数は-0.26
「日本株(TOPIX)」と「北米株式」の相関係数は+0.70
「日本株(TOPIX)」と「北米債券」の相関係数は+0.44

という具合に・・・

(モーニングスター社Fund Investor8月号『主要ピア・グループ相関係数』
より抜粋、なお、上記中の「相関係数」は同社選定のピアグループ間の
直近12ヶ月間の月次実績をベースに算出したものです)

このように「相関係数」は-1から+1の値をとり、+1に近づくほど
二つの資産は同じ方向に動く度合いが大きく、-1に近づくほど逆の
方向に動く度合いが強いことを示しています。

理想的には、もちろん相関係数がマイナス1の値をとる二つの
商品の組み合わせがよいのですが、なかなか自然界にはそのような
都合の良い商品の組み合わせなどみつかりません。

実際にはプラス0.5前後の商品の組み合わせでも、十分に分散効果
はあると考えてよいでしょう。

では続いて、仮に皆さんが日本株をすでにお持ちだとして、リスク低減
という視点で有効な分散投資先は何かというお話に移らせて頂きます。

まず、上記モーニングスター社の資料にもありますように、「日本の債券」
や「北米の債券」はまず候補に挙げてよいでしょう。

ただ、リターンという点ではやや物足りないものがありますので、多少
リターンをお求めになりたいのでしたら、「J-REIT」もいいでしょう。

ちなみ同じくモーニイングスター社の「ピア・グループの相関係数」に
よれば、TOPIXとJ-REITの相関係数(直近12ヶ月)は0.28となって
おり、お互いの相性の良さを表しています。

とはいっても日本のREITのリターンは年々下がってきており、現在では
3%の後半から4%の前半が中心です、多少リターンを狙いたいのでしたら
欧州の不動産投信もいいかもしれません。

例えば(指数が見当たりませんので個別の投信銘柄になってしまいますが)
ある英国の不動産投信との相関係数(直近15ヶ月)を計算したところ、0.37と
なりました、リターンも年率15%程度ありますのでいいのではないでしょうか。

コモディティと日本株の相性もよく、過去実績から求めたの標準偏差は
0.2~0.3程度と好ましい組み合わせとなっています。

ただ前回の本コラムでお話したように、ここのところの
コモディティ・インデックスはあまり良くありませんし、多少先を見渡しても、
インデックスベースのコモディティにはやや割高感があるのではないでしょうか。

他にヘッジファンドという選択肢もあります、ヘッジファンドにも立派な
指数があるのですが、実際にはファンドごと投資戦略は千差万別で、指数ベース
で相関係数を算出してもあまり意味はないような気がします。

そこで皆さんがよくご存知のヘッジファンドをいくつかピックアップし、
日本株との相関係数を計算してみました、結果は。

1.M社ファンドA と TOPIX 0.38
2.Q社ファンドB と TOPIX 0.53
3.P社ファンドC と TOPIX -0.07
4.C社ファンドD と TOPIX 0.51

(直近15ヶ月の月次実績ベースの相関係数)

となりました、ファンドAとBはトレンド・フォロー型、ファンドCは
生命保険派生商品、ファンドDはファンド・オブ・ヘッジファンズです。

ちなみに各ファンドの過去実績は

・ファンドA 年平均リターン約19%、リスク約19%
・ファンドB 年平均リターン約17%、リスク約23%
・ファンドC 年平均リターン約10%、リスク約5%
・ファンドD 年平均リターン約15%、リスク約9%

となっております、特にAやBはハイリスクですが、日本株とあわせてもつ
ことにより、資産全体のリスクをある程度コントロールできるのでは
ないでしょうか。

これらのファンドはいずれも「小富豪ヘッジファンド情報」にアップしております、
興味をお持ちの方はトップページでご登録後、ご覧になってください。
https://www.ginzafp.co.jp/

以上、リスク抑制という観点で、やや思いつくままに書かせて頂きました、
投資の際、多少お役に立つのではないでしょうか。


では 今回はこのへんで。

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