|
■少子高齢化と日本の地価
皆さんこんにちは。
世の中には、いろいろな不確定要因があります。
インフレ率、金利の動向、経済成長率、周辺諸国の経済状況・・・
私たちが将来の日本の姿を想像する場合、このように不確定要因
に満ちた数値を前提として使用しますので、当然そこから導き出される
結論も、結局のところ主観に満ちたものになりがちです。
ところが人口動態予測に基づく「少子高齢化」予想だけは、極めて
高い確率で起こると考えられています、なぜならば、例えば今年生まれた
世代は60年後に間違いなく還暦を迎えるといったように、将来の
確定要件が多く、恣意的に数値がゆがめられる要素が少ないからです。
(ただし、出生率予想については度々恣意的な推計が行われる場合が
ありますが・・・)
では、このほぼ間違いなく訪れる少子化・高齢化の結果、将来の日本は
どうなってしまうのでしょうか、世の中で一般的に言われて
いるように、経済成長率の鈍化や産業の空洞化によって、
日本の地位はどんどん低くなってしまうのでしょうか・・・
例えば現在の人口分布どおりに、どの地域も人口が一律に30%減少しますと
確かに生産性が低くなり、経済成長率も低下してしまう可能性も
あるかもしれません。
でも、果たして都会の人口も田舎の人口も一律30%減少してしまう
ということが、現実に起こりえるのでしょうか。
企業は効率を追求するように宿命付けられています、企業同士が
地理的に密接することにより、間違いなく効率は高まり、生産性も
アップします、しかも都心は交通・通信網・物流などインフラも整って
います。
言い換えれば好む好まざるに関わらず、企業は企業の密集地に集まって
来ざるを得ないということになります。
その結果、都心への人口集中化はますます進み、生産性の向上と
と共に成長率もある程度は維持される、むしろこれがメインのシナリオ
ではないでしょうか。
その一方で、地方はますます過疎化が進むことになるでしょう。
ただ、これも考えようによってはチャンスかもしれません、
現在の日本は農業に目を向ければ、どうやら極めて異常な国のように
思います。
例えば、日本の農家の一戸あたりの平均耕作地は1ヘクタール台で、
英・独・仏の数十分の一にすぎません、また就労人口に
占める農業従事者の比率は米国より高く、オーストラリアとほぼ同等、
それでいてカロリーベースの自給率は僅かに40%程度に過ぎません。
(この部分「日本経済新聞」9/18付け記事より一部引用)
要するに農業が極めて生産性の低い産業になってしまっており、
さらに悪いことに、その農業に多くの人的な資源が拘束されている
ということなのでしょう。
これは、長らく続いた零細農家保護政策の弊害だと思いますが、
これから私たちが国全体のグランドデザインを考え直す過程では、
農業への株式会社参入規制を撤廃するなど、農業をもっと生産性の
高い産業に組み立てなおす必要があるのではないでしょうか。
(私は、必然的にこのような方向に進まざるを得ないと思いますが)
そしてこのことは、企業の都心集中によって空いた地方の土地や、
余った農業就労者の有効活用へと繋がって行きます。
特に中国やインドなど人口大国が今後ますます豊かになると予想され、
農業は単に国内需要を満たすだけでなく、彼らへの輸出品としても有望な
産業に育つ可能性もあります・・・現に日本のコシヒカリや高級リンゴ
などが中国や台湾で既に人気だそうです、このことも多少なりとも将来の
我が国の経済成長にプラスに働くかもしれません。
これからの地価は、その土地が生み出す付加価値によって決定されます。
仮にこれからの少子高齢化時代においても、日本の都心の生産性が高まり続ける
のであれば、根本的に都心の土地は買いということになりはしないでしょうか。
では 今回はこのへんで。 |
|