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■ちょっと気になる住宅ローンのお話し
皆さんこんにちは。
・1.76%
・2.41%
・3.31%
・4.51%
・4.46% |
皆さんこの数字を何だと思われますか?
この数字は「日本経済研究センター」が予測した、2006年から2010年までの
我が国の長期金利(新発10年国債利回り)の予測で、2005年12月1日付の
「日本経済新聞」に掲載されたものです。
実際には2015年までの予測もされており、2015年時点では5.04%
となっておりました。
この数字、実は住宅ローンを「変動金利」や「固定金利期間選択型ローン」
で組まれていらっしゃる方にとっては、非常に衝撃的なものです。
「固定金利期間選択型住宅ローン」という商品は、当初の一定期間のみ低利の
固定レート(現在1.85%程度が多いようです)が適用され、その後は定期的に
適用金利が見直されるというタイプの商品です。
恐らくこのメルマガをお読みの皆さんの中でも、多くの方が契約されて
いらっしゃるのではないでしょうか。
(契約者の方はご存知だと思いますが)仮に上記の推測どおりのペースで、
今後金利が上昇してゆくとすれば、結構深刻な問題が起こります。
「日本経済研究センター」理事長の深尾光洋さんが、2006年10月24付けの
「日本経済新聞」(「経済教室」)に寄稿した記事によりますと、例えば
今から9年後の「変動型住宅金利」は、『現在の市場金利から算出する将来の
予想金利に、住宅ローンのリスクプレミアムを足すことで推測できる』とし、
その数値は4.6%~4.8%と予想しておいでです。
現在の「変動型住宅金利」は大手行平均で2.375%ですから、今後10年程度
で2.2%~2.4%程度上昇すると予想しているわけですね。
さらに同記事で深尾さんは、その場合の契約者による月次の返済額の
負担増と、総支払い利息を下記のように計算しています。
□すべてのケースに共通の設定条件
当初金利は2%、借入金額3000万円、借り入れ期間35年、当初5年間の
月次支払いは99.4千円で固定、5年経過後ごとに支払額は見直し。
●ケース1
・2年目以降も「変動型住宅金利」は2%で終始
・その場合、月次支払いは99.4万円で最終回まで変化なし
・この場合の総支払い利息は1,173万円 |
●ケース2
・2年目以降、「変動型住宅金利」は3%に上昇するが、その後は3%のまま変化なし
・その場合、月次支払いは118.4万円で最終回まで変化なし
・この場合の総支払い利息は1858万円 |
●ケース3
・2年目以降、「変動型住宅金利」は5%に上昇し、完済まで5%の状態が継続
・その場合、月次支払いは163.8万円で最終回まで変化なし
・この場合の総支払い利息は3,492万円 |
いかがでしょうか、先ほど御紹介したように「変動型住宅金利」は
深尾さんの計算で4.6%~4.8%です、最悪の場合は「ケース3」
程度の支払い増を想定しておかれた方がよろしいのではないでしょうか。
この場合、住宅ローンの支払い総額は「ケース1」に比べ2000万円強増
えることになります。
借り入れ金額が3000万円ですので、借りれ金に対しては70%以上
の支払い増加要因になってしまいます。
これに対し、「フラット35」に代表される「固定金利住宅ローン」は
当初の支払額は確かに大きいですが、今後仮に金利が上昇すると考え
れば有利な商品でもあります、同じく10月24日付け「日本経済新聞」
記事では、仮に「変動型住宅金利」(現在の平均値は2.375%)が
5年以内に3.7%以上に上昇するのであれば、「固定金利期間選択型ローン」
より、「フラット35」で借りた方が有利と試算されています(ただし、
35年返済の場合です)。
「変動型住宅金利」が3.7%の世界では、おそらく長期金利(10年債利回り)
は4.0%程度でしょうか・・・冒頭の「日本経済研究センター」の予測に
よりますと、今より3年後の2009年には、早くも長期金利は4.0%を超えて
4.51%まで上昇するとされております。
私自身は「日本経済研究センター」の予測より、金利上昇のスピード
は緩やかに進むとは思っていますが、それでも長期金利4%台
(言い換えれば「変動型住宅金利」3.7%)は、それほど先のお話
ではないように思います。
これから35年という長いスパンで物事を考えた場合、どう考えても
金利の上昇は避けて通れないですね、現在の金利水準は歴史的に見て
異常な水準にあるといえます。
住宅購入を勧めるほうは(売りたいがため)変動金利型ローンを勧めます、
また購入者側も「少しでもいいウチに住みたい」という欲求に勝てず、
どうしても変動金利型(あるいは「固定金利期間選択型」)を選びがちでは
ありますが、そもそも異常な金利水準をベースにした住宅購入は、どこかで
無理をしているに違いなく、その無理は、将来の金利正常化の中で徐々に
表面化してゆくことになるのではないでしょうか。
金利の上昇は一般的には景気の拡大を伴います、従って、ある程度は
皆さんの収入も増えてゆくと考えられます、が、それでも住宅ローン
の支払利息が2000万円も増えてしまえば、ちょっと挽回するのは
難しいのではないでしょうか。
やはり今は、変動金利の低さを利用して過大な住宅投資を行うのではなく、
固定金利を想定した、身の丈にあった住宅購入お考え頂いたほうがよいのでは
ないでしょうか。
では 今回はこのへんで。 |
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