50歳以上お勧めのポートフォリオ
皆さん、こんにちは。

人はどうしても定年退職というものが見えてきますと、資産運用という
観点では保守的にならざるを得ないようです。

私の事務所にお越しの相談者の方でも、資産の元本は極力減らしたくないが、
それでも一定のリターンは欲しい、このようにお考えの方が
大勢いらっしゃいます。

このような方向けに、金融機関が考えだした商品として

・元本(あるいは元本に対して110%など)確保型の変額年金保険
・元本確保型のファンド

などがあり、いずれも一定の支持を得ているようです。
確かにこのような商品は、元手を減らしたくないという投資家の
希望は満たしてはいますが、一方でその仕組みの複雑さ(仕組みの
複雑さは、往々にしてコスト構造の複雑さ=高コスト につながり
ますが)ゆえ、ある程度知識を持った投資家は敬遠しがちな商品でも
あります。

ところが、このような市販の商品を使わなくても、リスク(最大損失率)
をコントロールしながらも、一定のリターンを狙いに行く方法が
ほかにあります。

大まかに申し上げて、以下の二つの方法を挙げることができます。

1.異なる値動きを示す複数の金融資産への分散投資
2.割引債の活用による、最大損失額の設定

これらについては、このブログで何度か取り上げてきましたが、
あらためて簡単にご説明いたしますと、1は例えば株に対して債券、
コモディティに対して不動産といったように、異なる方向に値動き
する成長資産を組み合わせるという考え方です。

仮に資産Aと資産Bが全く逆の値動きを示し、かつ双方年率10%で成長して
ゆくと仮定しますと、資産A50%、資産B50%から成るポートフォリオは、
全く上下動(リスク)なく美しく年率10%で成長してゆくことになります。

自然界ではこのように理想的な資産の組み合わせはあり得ませんが、
株に対して債券、コモディティに対して不動産やヘッジファンドという
ように(少なくとも)理論的に相関性が低い金融商品を組み合わせ
ることにより、資産全体のリスクは下げることができます。

このあたりの考え方は、弊社サイトの「資産運用」で解説させて
頂いておりますので、興味のある方は一度ご覧ください。

『ミドルリスク・ハイリターンのポートフォリオを作る』

次に2の割引債の活用により、リスクを下げる(というか正確には
最大損失額を確定してしまう)方法ですが、これも以前この
メルマガでお話ししたことがありますので、掻い摘んで御紹介いた
します。

我が国の金利は低く、仮に国債に投資した場合、その利回りは
10年物で1.7%程度でしょうか、ところがこれは世界的に見れば
異常な事態でありまして、先進国では3%~6%程度が一般的です、
仮に10年物の米国割引債(ゼロ・クーポン債)に今1000万円投資
した場合、10年後には(仮に10年後も為替が動いていなければ)
約1560万円程度(税引き前)になります。

(*注:割引債=額面から割り引いた価格で発行され、満期時に額面で
償還される債券、ただし保有期間中の利払いはない)

米国債ですので、米国が破綻しない限り、購入時点で10年後の
(米ドルベースでの)価格が確定されることになり、資産の中の
一定額でこの割引債を購入することにより、資産全体の最大損失額
を確定してしまうことが可能になるわけです。

現在、我が国の金利水準は低く、個人が購入できる割引債もありませんので、
残念ながら円建てでこの仕組みを作ることはできません、従って
これはあくまで外貨建てベースのお話しです。

それでも例えば10年というスパンでみるとどうでしょうか、これから
の日本は低成時代が続くことは避けがたく、その場合前回お話しした
ように円が今より強くなるという心配(!)はあまりないように思います。

であればこの方法は確かに、損失確定の有効な手段といえるのでは
ないでしょうか。

実際の資産運用の場面では、1と2の方法を合わせて使うことに
なります、例えば現在3000万円お手持ちの50歳の方が、60歳時点で
最低でも元本の80%(米ドルベースで)を確保しながら、かつ
年率7%のリターンを目指す、このようなことが可能になるわけです。

具体的には、例えば

1.3000万円のうち約半分の1550万円でゼロクーポンの米国債
(2016年償還)を購入する。

2.残り1450万円を積極運用部分とし、下記のような成長資産に
分散投資する。

・新興国株500万円(仮に年率平均リターン13%)
・日本株200万円(同6%)
・ヘッジファンド300万円(同15%)
・コモディティ250万円(同15%)
・世界不動産投信200万円(同10%)

このようなポートフォリオを挙げることができます。

この場合、2016年時点でこの米国債に投じた1550万円は、10年後に約
2400万円(税引き前)になり、これだけで当初の元本3000万円に対し、
80%が確保されたことになります。

またこのポートフォリオの平均リターンは8.37%と計算でき、
この場合、10年後には当初の3000万円を約6700万円に増やす
ことができます。仮に20%の税金を納めたとしても、5960万円
程度の資産を残すことができます。

(*注:為替レートは動かないと仮定)

もちろん、積極運用部分は相関性に配慮して分散していますので、
リスクは適度に抑制されてはいますが、それでも積極運用部分を
全て失う可能性もゼロではありません、不幸にしてそのようなメに
あった場合でも、上記のように元本に対して80%、即ち2400万円
を確保することができるしかけです。

この仕組みを使いますと、皆さんそれぞれのライフプランにあった
元本確保割合と、目標リターンを自由に設定することができます。
(もちろん、元本確保割合を上げると、リターンは下がる傾向に
はありますが)。

バリエーションとして例えば

1.3000万円のうち、約2300万円で米国ゼロクーポン債を購入。
2.残り700万円のうち、350万円を新興国株ファンド、350万円をヘッジファンドに投資。

このようなアロケーションも面白いのではないでしょうか、この場合
元本確保割合は120%、目標リターンは年率6.79%となります。

これはどういうこといいますと、当初の3000万円は10年後に最低でも
3600万円を確保しつつ、平均的な想定で約6000万円に増えるということを
意味しています。

(*注:為替レートは動かないと仮定、税引き前ベース)

このようにリスクを限定しながら、一定のリターンを狙うポートフォリオ
を自分で作ることはそれほど難しいことではありません。

年齢的にリスクをとることが難しい方は、一度このような方法について
お考えになってもよろしいのではないでしょうか。

当事務所でも多少お力になれると思いますので、相談をご希望される方は
ご一報ください。

info@ginzafp.co.jp

では 今回はこのへんで。

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