コモディティ・・ヘッジファンド・・思いつくままに
皆さん、こんにちは。

いつも何かテーマを持って書き始めるのですが、今回は特にテーマ
を絞らずにコモディティ相場やヘッジファンドについて、思いつくままに
書いてみたいと思います。

今年の原油相場を振り返りますと、昨年の相場といくつも共通点
があるなと感じます。

みなさんご記憶でしょうか・・・昨年(2005年)は米国に大型ハリケーンが
次々に上陸し、原油相場が一時70ドル台後半をつけましたね、
その後は、需給が一時的にゆるみ下落基調、冬場は50ドル台で底を
うちました。

現在の原油相場はご存知のように、一時の50ドル台からやや戻し、60ドル
台の前半で推移していますが、夏場の高値から今に至る相場の動きは、
なんと昨年のそれと似ていることでしょうか。

ここのところ原油相場はヘッジファンドなど、投機的なマネーに
翻弄されているようですが、基本的にこのような投機は相場の値動き
を増幅させる力は持っていても、相場そのものを長期にわたって上下に
引っ張り続けるほどの力は持っていません、したがって、本来の相場レンジ
から乖離すると、どこかで元のレンジ内に戻そうとする力が働くようです。

2005年から直近に至る原油相場を見ていますと、どうも本来のレンジは
60ドルから70ドルあたりにあって、投機的なマネーが時折上下に相場を
伸縮させている、このようにみえます。

相場の動きには上下動の激しい時期、比較的緩やかな時期がありますね。

例えば、今年の原油相場は激しい上下動のあと、大きなトレンド転換
がありました。その後は徐々に上下の振幅が小さくなりつつ、11月のトレンド
反転を迎えた・・・振り返ってみると今年の原油相場はこのような
流れでした。

原油相場は数あるコモディティ相場の一つに過ぎませんが、マーケットの
サイズや他のコモディティに与える影響という観点では、ある意味
コモディティの代表の一つといってもよいかもしれません。

さて、上記のような今年の原油相場の流れの中、コモディティ関連の
ファンドはどのような値動きを示したでしょうか、今このタイミングで
振り返ってみておくことは、仮に私達が今後も引き続きコモディティに
投資をするのであれば、大いに意味があると思います。

まず、コモディティ関連ファンドを大きく

1.コモディティ系ヘッジファンド(トレンド・フォロー型)
2.コモディティ・インデックスファンド

の2つに分けて考えたいと思います。

まず1ですが、このテの商品は複数の商品先物市場(もちろん、原油も
含まれています)や金融先物市場(株、債券、為替など)で運用する
ファンドですが、市場の値上がりに賭ける商品ではなく、市場のトレンド
に賭けるタイプの商品です(もう少し詳しく申し上げれば、相場の上げ下げ
に関係なく、トレンドさえ続けば利益を上げられますし、トレンドが
反転すると損失を出す仕組みです)。

一方で2はコモディティのインデックスに連動するタイプの商品、
従って、基本的にはコモディティ相場の動きに忠実に連動して、価格が上下
致します。

では、それぞれ今年一年どのように動いたか見てみましょう、1については
特に今年5月あたりまでは、コモディティ相場全体の急騰に伴い、やや
急峻ながらも明確なトレンドが出たため、ファンド達も基本的には上昇した
のですが、なかにはスーパーファンドのようにこの急峻なトレンドについて行けず、
不調に終わるファンドもありました。

6月以降は大幅なトレンドの反転と、上下の振幅の拡大により
各ファンドも急降下、10月に次の上昇トレンドが出るまでは、下げ
基調が続きました。

2については、今年5月にCRB指数が過去最高値を記録したように、
インデックスの高騰を受け、ファンドも好調に推移しましたが、そこが
ピーク、その後、指数は9月に底をうつまで下げ続け、10月からの
急速な反転に沿って各ファンドも値を戻しつつあります。

*CRB指数:CRB社が毎日算出する代表的な商品指数、1967年=100として計算

以上が今年のコモディティ関連ファンドの動向ですが、あらためて
このように見てきますと、双方の価格の相関性がみてとれて面白いですね、
例えば今年の5月あたりまでは、ヘッジファンドもインデックスファンドも
非常に調子よく上昇していました。

が、5月を境にして双方下落に転じます、ただ、現象として同じ下落でも、
下落の理由は異なります。

1が下落した理由は相場の反転とボラティリティ(上下動)の拡大でした、
これに対して2が下落した理由は相場の下落そのものでした。

また、10月に双方反転していますが、これもそれぞれ理由があり、1が
反転した理由は主にコモディティ市場での適度なトレンドの復活、2が
反転した理由はコモディティ指数そのものの反転再上昇でした。

このように仔細に見てまいりますと、今年はコモディティ系ファンドに
限定しますと、インデックス連動型ファンドもトレンド・フォロー型の
ヘッジファンドも極めて似通った値動きを示した一年だったと言えそうです。

ただし、これは今年一年限定の傾向といえます、例えばCRB指数の動きを
長期のスパンで見ますと

・1980年の340ドル台を頂点に、2001年末に200ドル割れまで長期下落
・2002年から反転上昇し現在に至る

というように2001年末を境に、それ以前は長期下落傾向、それ以降は
長期上昇傾向という流れになっています。

これに対しトレンド・フォロー型ヘッジファンド(最も長い運用キャリアを
追跡可能なM社のAプログラムで代表させますと)は1991年の設定以来、
CRB指数が底値をつけた2001年までの各年の年間リターンは

・1991年(+21.9%)
・1992年(+1.7%)
・1993年(37.8%)
・1994年(+2.6%)
・1995年(+33.8%)
・1996年(+30.9%)
・1997年(+22.8%)
・1998年(+48.2%)
・1999年(+2.0%)
・2000年(+18.8%)
・2001年(+18.8%)

となっております、この間CRB指数は上記のようにほぼ一貫して
下げ続け、この11年間の通算でおよそ15%程度のマイナスとなっています。

このように見てまいりますと、今年一年のコモディティ・インデックスと
コモディティ系ヘッジファンドに見られる相関性の高さは、少なくとも
ここ10年間程度のなかではむしろ特異なケースだったといえるのでは
ないでしょうか。

引き続き、これら2資産への分散投資はアセット・アロケーション構築上
それなりの意味があると私は考えています。



では 今回はこのへんで。

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