天は落ちてくるか
皆さん、こんにちは。

中国の古代「杞」という国の住人に、たいそう心配性な男がいて、
いつも空が崩れ落ちてきそうな不安にとらわれ、夜もねむれない日々を
おくっていたそうです、それを心配した友人は「この空は絶対崩れ落ちる
ことはない」と懇々と諭し、その男の不安を何とか取り除いてあげた
そうな・・・ご存知「杞憂」の由来です。

思えばこの杞の国の住人の2500年後の子孫達は、ずいぶんと
楽観的になってしまったものです。

昨年の後半以来、中国政府は自国の株式市場の加熱に対し、警戒感を
強めてきました、中国の場合、株価の加熱を抑制する手段として

1.預金準備率の引き上げ
2.短期金利の引き上げ

これに加え、適宜

3.政府要人による発言

をオプションとしてミックスして対応しているようですね。

預金準備率については2006年度は3回にわたり合計1.5%引き上げ、
さらに今年に入って既に4回、合計2.0%引き上げています。

一方金利のほうはといいますと、2006年は4月と8月にそれぞれ
0.27%づつ合計2回、今年も3/17で同じく0.27%の利上げを実施ずみ
です。

また今年に入って度々政府要人が、株式市場の加熱感、割高感に
ついてのコメントを発しています・・・・

にもかかわらず、市場のほうは一向に歯止めが利かず、上海総合株価指数
ベースでみて、既に年初来45%以上の上昇となっており、5/8時点では
4000を目前にする展開、そしてこの数字は、前回の中国発のミニクラッシュ
直前の指数を、すでに25%以上回る水準に達しています。

おそらく世界中の投資家は、この中国株の加熱感を大きな不安をもって
見つめていると思いますし、何より一番警戒を強めているのは、
中国政府なのではないでしょうか。

一方で、この世界的な懸念に対する一番の楽観論者は、「杞の国」の
子孫達自身のようにみえます。

我が国にもかつて同じような過去がありました、が、当時の日本と現在の
中国の最大の違いは、政府がこの問題の重大さに気づいており、すでに
上記のような対策を講じ始めている点ではないでしょうか。

中国の証券市場は(今のところ)、海外の投資家には一部を
除き開放されていません、従って、株は(かつての日本がそうであった
ように)PERやPBRといった世界共通の指標を無視し、センチメント
だけで買い上げられてしまう傾向にあります、現在の中国(本土)市場株
の平均PERは50倍台の半ばに達しようとしていますが、このように
閉鎖された世界においては、指標は加熱の抑止力として
働かない可能性があります・・・何分中国人が近代初めて経験する
バブルですので、それもやむを得ないのかもしれませんね。

中国政府の抑止策が勝つか、「杞の国」の子孫達の欲望が勝つか、
この問題は私達日本の個人投資家にとって、決して他人事では
ありませんが、前回のミニクラッシュの時、あるいは昨年5月の
クラッシュの時に私達が経験したように、あらゆる相場は
「本来のあるべき価格」に最終的には収斂します、その点をしっかりと
見極め「裏付けのある資産に投資する」「広く分散して資産をもつ」、
このような姿勢さえ堅持すれば、それほど大きな不安に悩まされる
必要はないと思います。

その上で、お隣の国民が投資の世界でも成熟した隣人になるのを、
余裕をもって見守ってゆきたいものです・・・



では 今回はこのへんで。





このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。

totop