■この国の農業は・・・
皆さん、こんにちは。
世界の国々を見渡してみますと、それぞれ国ごと得意分野
があるのに気がつきます。
英国や米国などアングロ・サクソン系の国は金融が得意分野
ですね、彼らにじかに触れますと、もちろん個人的な素養も
無視できませんが、その背後にある、長い歴史で培われてきた、
金融に対する一種独特なものの考え方に感銘を受けざるを得ません。
あるいはこの二国にオーストラリアを含めてしまってもよい
かもしれません。
欧米と一括りにしてしまうケースが多いですが、ヨーロッパの国の
得意分野をみますとそれぞれ個性豊か、フランスは芸術、イタリアは
ファッション、ドイツはモノ造り・・いわゆる大国と呼ばれている
国は、それぞれ独自の得意分野があり、それが今の経済の基盤と
なっているようです。
逆説的に言えば、そもそも成熟度の高いこれらの欧米諸国が、
世界の中で今だに大きなプレゼンスを維持できるのは、それぞれ
得意分野を持っているからなのかもしれません。
これに対し、近年急速に成長してきた新興国に目を向けますと、
これらの国々に、取り立てて特徴のある得意分野を見つけることは
できません。
中国やインド、ベトナム、のように人的な資源をテコに成長する国、
ロシアやブラジル、インドネシアのように、たまたま地面の下に
埋まっていた天然資源をよりどころに成長する国・・・
極端に言えば、人口が増えるのは(ある程度)自然の成り行き、
資源が豊富なのも言ってしまえばたまたまのラッキーで、今のところ、
その国独自の得意分野によって経済成長を遂げているとは
言えません。
もちろん人的資源にしても、天然資源にしても無限ではありません、
遅かれ早かれいずれは枯渇する宿命にあり、そのときに備えて
その国が拠って立つ得意分野を育成しなくては、いずれは
次に来る新興国によって、とって代わられるのは明白です。
歴史を振り返りますと、20世紀前半の新興国米国は、金融と農業に
活路を見出しました。20世紀後半の新興国ドイツの場合、それは
モノ造りでした。
米国やドイツなどのように、うまく行った国もあれば、一方で、
アルゼンチンやスペインなど、うまく行かなかった国もあります。
では、日本はどうなのでしょうか。
日本の場合、得意分野はやはりモノ造りではないでしょうか、
あるいはモノ造りをもっと広く解釈して、農業まで含めてしまっても
いいかもしれません。日本産のリンゴやモモ、ブランド米などは
既にアジア諸国に輸出され、高級食材として人気だそうですね。
そもそもモノ造りと農業は共通点が多く、農産物を一種の
プロダクトと考えれば、製造工程の改良、コスト削減、不良率の
低減など、日本人が得意なモノ造りの技術を転用し、高付加価値、
高品位の独自のプロダクト(農産物)を製造することは、それほど
難しいことではないように思いますし、恐らくそのようなプロダクト
は、豊かになったアジアの国々で、好んで消費されるように
なるのではないでしょうか。
これは、工業製品の分野で、付加価値の低い製品をアジア諸国から
輸入する一方、高品質な製品・部品を海外に輸出する構図と同じです。
ところが残念ながら、今のところ農業の分野に置いて、このような
モノ造りのノウハウが活用されることはなく、農業はあいかわらず国の
保護政策の下、おおきな非効率に支配されているようです。
そもそも産業の一つに過ぎない農業だけを、なぜこれほどまでに
保護する必要があるのか、しかもその保護政策は、日本の農業の
の発展に少しも役に立っているように見えません・・・
私達は、もっと私達が持っている潜在的な能力を信じていいのでは
ないでしょうか。
今日本の農業に求められているのは、中途半端な保護ではなく、
開放と改革によって、本来持っている私達のモノ造りの能力を、
どうやって農業分野で活用するか、このような視点ではないでしょうか。
いずれにしてもこの国は、他の国に比べ少しでも付加価値高い、
あるいは品質の高いモノを作って行くことでしか、生き残れない
ように思います・・・やりようによっては、そのモノの
なかに農産物を含めることができるのではないでしょうか。
選挙が近づくと、あいもかわらぬ農業保護策が飛び出しうんざり
ですが、そろそろ本当にこの国の将来のことを考える、腹の据わった
政治家が出てこないものでしょうか・・・
では 今回はこのへんで。
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