■世代間格差と資産運用
皆さん、こんにちは。
これから例えば半世紀という長いスパンで、我が国の経済を考えた場合、
いくつか高い確率で起こりそうな事があります。
例えば経済的な格差の拡大・・・
人はみな自分に与えられた土台のうえ、社会人としての
スタートを切ります。
高度成長期、みな戦後ゼロからのスタートでしたので、
経済面、あるいは施された教育水準の面において
それほどの格差があったとは思えません。
ひと世代30年とよくいいますが、戦後60年もたちますと
そろそろ3世代目に入ることになります。
ひと世代目はゼロからのスタートですが、2世代目になりますと、
既に親の代である程度の経済的格差がついておりますので、
受ける教育水準の面で相当の開きが出ているはずです。
さらに3世代目は、2世代目が蓄えた富をベースにスタートを
切りますので、経済的あるいは教育水準の面での格差は、ますます
開いてゆくことになります。
教育水準がその人の生涯収入を決定するとは言えませんが、
おそらく、教育水準と収入の間の相関性を否定することは
難しいのではないでしょうか。
このように考えて参りますと、今後世代が進むに従って、
ますますの富の集中と、それによる経済的格差の先鋭化が
進むのではないかと思わざるを得ません(米国のように・・・)。
以上は一人ひとりの経済格差の問題ですが、これと同時に、
世代間の経済的格差についても考えておかなくてはなりません。
例えばこれから我が国は、相当高い確率で人口減少時代を
迎えることになります、それ自体決して悪いこととは思えませんが、
世界に占める経済的地位という意味では、ある程度のマイナス要因
になることは避けられないでしょう。
私は為替は最終的には、その国の経済力を反映すると思うのですが、
もしそうであれば、長期で見ればどう考えても円安方向という
ことにならざるを得ず、円安は輸入物価の上昇を通し、日本人の
平均的な生活水準を徐々に下げることになるでしょう。
もちろん円安は悪いことばかりではなく、例えば製造業を代表とする
輸出型産業にとっては、大いにプラスに作用することでしょう、
ただ、そのことは決して全ての日本人均等に恩恵を与えるということ
ではなく、むしろより一層、格差が拡大する要因となりかねません。
私はこの国の将来は決して暗いとは思いませんが、今までの
ように大多数の人が、中流の生活を送れるというイメージは
抱いておりません、(米国までゆかなくても)ある程度の少数者
によって、この国は牽引されてゆくことになるのではないでしょうか・・
考えてみれば、我が国の国力がピークを迎えた1990年代の終盤に
現役を引退した世代が、前の世代や次の世代と比べ、豊かな老後を
送れるのはある意味で当然のことであり、その現役時代、自らの
プライベートを犠牲にして大いに働いた対価として、受け入れられる
べきことなのかもしれません。
裕福で格差の小さいリタイア世代と、今後徐々に経済的格差が
顕在化するであろう現役世代、しかも平均値としてみた場合
の富の剥落・・・
このようなやや憂鬱な将来を目前にして、果たしてこの国では
どのような経済現象、あるいは社会的な現象が起こるのでしょうか。
「子孫に美田を残さず」といい、自らの蓄財を子供に承継する事を
日本人は戒めてきましたが、現在のように親世代、子世代の間の
経済的ギャップが激しい特異な時期においては、むしろ
「子孫に美田を残す」事のほうが正しい選択なのかもしれません。
あるいはこの事が、英国や欧州型の資産運用スキルの向上に
繋がるかもしれませんし、世代を超えた資産継承にまで
発展するのかもしれません。
いずれにしても、資産運用という地道で骨の折れる作業が、
日本でしっかりと根付くきっかけになればいいのですが・・・
では 今回はこのへんで。
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