コモディティをどう取り込むか-2
皆さん、こんにちは。

今回は前回に引き続き、コモディティへの投資について考えて
みたいと思います。

そもそもなぜコモディティが有望な投資対象といえるのかといいますと、
大まかに申し上げて2つほどの理由を挙げることができます。

まず第一に、株や債券など他の資産との(値動きの)相関性が
低い点です。

このコラムでよく「リスク」についてお話しますが、投資の世界で
いろいろある「リスク」にうち、最も警戒しなくてはならないのは
価格が大きく変動するリスク、資産運用の要諦は『価格変動リスクを
抑えながら、いかにして高いリターンを上げるか』にあると
いえます。

「価格変動リスク」を下げるためには、互いに逆方向に動く資産を
うまく組み合わせていかなければなりませんが、過去のコモディティ
の値動きをみますと、伝統的な資産である株や債券との相関性が低く、
お手持ちの資産のなかに、コモディティを一定額組み入れることにより、
皆さんの資産の価格変動を抑制する効果があります。

例)過去5年のデータ(モーニングスター社資料より)

日本株と金価格の相関係数  0.24
日本株と原油価格      0.02
米国債と金価格       -0.35
米国債と原油価格      0.05

(相関係数は-1から+1の値をとり、-1に近づくほど逆方向に動く性質が
強いことを示しています)

コモディティを所有することの二つ目の効果は、長期的にみて
高いリターンが期待できる点にあります。

BRICsと呼ばれる新興国、次に連なる新興諸国の人口増加と富裕化の
流れ・・いわれ始めて久しいですが、人間に豊かになりたいという
根源的な欲求がある限り、この流れはそう簡単に止まるとは考えにくく、
しばらくはこの流れに乗っかっておいてよいのではないでしょうか。

以上のように、コモディティは皆さんの資産のリスクを抑制する点
においても、リターンを高める点においても効果が高いと考えられ
ますが、今回は「コモディティを投資対象にしたヘッジファンド」
について少しお話をしようと思います。

もちろん「コモディティを投資対象にしたヘッジファンド」も
コモディティを一定額組み込んでいますから、広く
『コモディティへの投資』といってしまえなくはありません。

例えば皆さんご存知のマン社のAHLプログラム、このプログラムは
確かに原油や金属など、コモディティ(商品)先物市場でも運用
を行っていますが、主な投資対象はむしろ株や債券、為替などの
金融先物市場、全体の60%以上をこの金融先物市場で運用しています。

従って、AHLプログラムが「コモディティを対象にしたヘッジファンド」
に分類されていたとしても、中身をみればコモディティの占める割合
は、実はそれほど多いとはいえません。

次に運用の手法はどうでしょうか。

AHLは、確かに一定額をコモディティ先物市場で運用してはいますが、
その投資手法はトレンド・フォローという売りと買いの組み合わせ、
現在の相場の方向が上昇中であれば買いで対応し、逆に相場が下向き
であれば売りで対応します。

ファンドとしてはコモディティ相場が上昇しても、下落しても
利益を出すチャンスはあるのですが、コモディティの絶対価格と
ファンドの基準価格は連動しません、例えば原油が80ドルになったから
といって、このファンドの基準価格が高くなったり、逆に原油が
50ドルになったからといって、ファンドの価格が下がったりする
わけではない点を理解したうえで投資を行う必要があるでしょう。

ですから、仮に皆さんがマン社のAHL系のファンドをお手持ち
だとしても、厳密な意味では、それはコモディティを
資産ポートフォリオに組み込んだとはいえない、このように考えて
おく必要があります。

もし皆さんがファンド経由でコモディティを資産に組み込むの
でしたら、それは上記のようなトレンド・フォロー型の
ヘッジファンドではなく、鉱山株ファンドや貴金属ETFや穀物ETF、
あるいはコモディティを対象にした、ファンド・オブ・ファンズ
を選ばなければならないという事になります。

それが難しければ、手近なところで資源関連の日本株個別銘柄
でもいいでしょう。

いずれにしても、このようなコモディティ系金融商品を、一定額資産
に組み込むことにより、皆さんの資産のリスク/リターンは改善
することになるのではないでしょうか。



では 今回はこのへんで。





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