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もう一つの格差
皆さん、こんにちは。

仮にこのようなルーレットがあればどうでしょうか。

「赤で勝てば2倍、黒で勝てば掛け金の半分がもらえる」

ギャンブルに例えるのが不謹慎という事でしたら、こういうのは
どうでしょうか。

「大学の入学試験、国語の点数だけ2倍でカウント、他の科目は
半分で計算」

最初の例では赤が有利ですので、全てのギャンブルの参加者は
赤に賭け、後の例では受験者は国語を重点的に勉強することになる
でしょう。

国会議員の選挙も似たようなところがあります。

時々一票の格差の問題が(思い出したように)話題になることが
ありますが、例えば島根や高知といった地方と、神奈川や兵庫と
いった都市部では、一票のもつ価値に最大5対1ほども開きがあります。

もし、この状態を政党が冷静に分析し、当選議員数の獲得を
最大の目標とするならば、一票の重みの大きな地域、
(即ち地方)に有利な公約を掲げればよいということになります。

先日行われた参議院選挙、農家に対する所得補償を公約した民主党は、
目覚しい結果を得ました。

もちろん、民主党の勝因は(報道されているとおり)他にもいろいろ
あったのでしょうが、それでも一人区23勝6敗という結果を
みる限り、マニフェストの中でこの部分が特に大きな効果があった
ことは間違いないでしょう。

この所得補償、確かに農家にとっては(一時的には)
好ましい政策には違いないのでしょうが、この国全体のことを考えた場合
どうなのでしょうか、あるいは農家自身にとっても、長い目でみて、
本当に効果のある政策といえるのでしょうか。

もうこれ以上、次の世代に借金を押し付けるわけには行かず、国全体
として使えるお金の総量に限界がある限り、そのお金を最も効率よく
使うことでしかこの国の将来は描けません。

にも関わらず、このような公約を打ち出した民主党・・・

その民主党に問題があるのでしょうか。

政党の最終的な目標が、政権を取ることにあるとすれば、
その目的のため、現在の状況を最大限利用しようという
戦術を(純粋な戦術論としては)あながち非難することも
できません、いやむしろ、戦術的には正しいとさえいえるのでは
ないでしょうか。

そもそも民主党が、なぜこのような地方の一人区の議席を獲得するための
戦術をもち出したか・・・そういう根本的な部分について考えますと、
それはやはり冒頭の一票の格差問題に行き着かざるをえません。

都会と地方の『一票の格差』の問題は、都会と地方の『所得の格差』問題の
影にかくれ、あまり報道されることはありませんが、よくよく考えて
みると、国の経済政策に大きく影響をあたえるという観点で、とても
重大な問題点を含んでいるように思います。

この問題が解消されない限り、これからも、地方の議席獲得を戦術的な
目的とした政策が両党から出され、へたをすればルーレット勝ちたさに、
一昔前のバラマキ競争が復活しないとも限らず、このまま放置しておけば、
この国は経済政策を誤り、その結果、競争力を失い将来に禍根を残すこと
になりかねません・・・

選挙当日や選挙後の報道、あるいはインターネットをみても、この
『一票の格差』問題が話題になることはありませんでした・・・、地味で
視聴率を稼げないからマスコミは取り上げないのでしょうか、それとも
何らかの配慮が働いているのでしょうか・・・

最後に主な先進国にみられる一票の格差をご紹介致します。

米国   下院1.4倍以下(ただし上院は各州2議席で固定)
フランス 1.5倍以内
ドイツ  最大2倍
イタリア 1.22倍以下





では 今回はこのへんで。





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