格差は悪か
注)この記事は2007年10月27日に書きました。

皆さん、こんにちは。

小沢さんの本音がどこにあるか・・それは別にして、
民主党が『格差是正』を看板に選挙に勝ったのは事実です。

あれ以来、どうも世の中は『格差是正』に反論しにくい空気
が充満し、小泉さん時代の構造改革路線が完全に過渡期を迎えた、
このように感じるのは私だけでしょうか・・・

確かに過度の格差は社会を不安定にし、治安やモラルの低下
などの点で問題があるとの考え方は間違っていないように思いますし、
何より貧富の差は日本人の感性にあまり馴染まないということも
あるのでしょう、そのようなこともあってか、どうも『格差是正!』と
声高に叫ばれては、面と向かってそれに反対することもままならず、
「ある程度の格差は目をつぶり、構造改革を進めてゆこう!」とは
なかなか言い出しにくい雰囲気になってしまっているのではない
でしょうか。

でも私達はここで『格差是正』の意味とそれが経済に与える影響について、
立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。

物事には必ず裏と表があります、私達一人ひとりが『格差是正』の裏面
に何が書かれているのか、その点をしっかりと理解し、なおその上で
『格差是正』の優先順位を『構造改革』の上におく必要があるのかどうか、
冷静に判断する必要があるのではなでしょうか。

そもそも人間が経済的な営みを続ける限り、格差をゼロにすることは
不可能ではないでしょうか、経済的な成果である富が、それぞれの
能力と努力の成果物であることを考えますと、人それぞれ能力や努力
の度合いにおいて差がある限り、その成果物に差がついて当然という
ことになります。

日々生まれる成果物の差は僅かであっても、それを積み上げて行きますと
その差は日を追って拡大してゆきます、ちょうどこれは複利計算に似て
いますね、年利2%で富を増やせる人と、年利10%で富を増やせる
人とでは、その差は日を追って拡大してゆくことになります。

逆に申し上げれば、それだけの富の格差が出るから、人間は持てる
能力を日々研鑽し、努力を続けるということになるのでしょう。

では格差の是正とは一体何なのでしょうか。

それは私達一人ひとりが研鑽と努力の結果獲得した成果物(富)の
一部を一旦吸い上げ、国という機構が構築したロジックで再分配する
ということです。

仮に人間に富を増やしたいという欲がなく、富が増えようが減ろうが
関係なく精一杯研鑽し、努力するというこでしたら、おそらく
格差を是正するどころか、再分配の結果たとえ格差がゼロになっても、
社会全体の生産性は高く維持できるでしょう。

でも悲しいかな人間には欲があり、欲がある限り『格差是正』は、
能力のある人たちの研鑽し努力しようとする気を萎えさせます、
あるいは彼らは国境を越え、海外に流出してしまうかもしれません。

このような社会を皆さんはどうお考えになりますか?

国民一人ひとりが努力研鑽しないのですから、当然国としての経済活動
は停滞することでしょう、その結果税収は間違いなく落ち込みます。

一方で弱者救済の名の下、財政支出のタガがはずれ、この国の財政赤字
はますます拡大するというスパイラルが生じるでしょう、そのような
状況の中、国民は全体として貧しく、かつモラルは低下し、場合に
よっては逆に治安が悪化してしまうということにもなりかねません。

最悪の場合、煽り系の誰かがよくいうように、財政破綻、ハイパーインフレ
という事態をも想定しておかなければならないのかもしれません。

以上が私が考える格差是正の本質と経済に与える影響で、格差是正
の裏側には上記のように経済に与える悪影響が明記されている点、私達は
肝に銘じておく必要があるのではないでしょうか。

それでもなおかつ私達は、『格差是正』を『構造改革』の上に位置づける
のでしょうか。

私はいつも思うのですが、そもそも日本人(いや人間か)は格差なしに
努力研鑽し続けられるほど成熟してはいないのではないでしょうか・・・

私達の数代あとの子孫達は、富への欲望を抑制でき、全体とし
て富を拡大しながらも、富の再分配を自然に受け入れてゆく、
そのような素晴らしい社会をこの国で創っているのかもしれませんね。

それまでは富の再分配(格差是正)と富の拡大は両立できず、
であれば非常に残念なことではありますが、私達は『構造改革』による
富の拡大をまずは優先させざるを得ない、このように私は思うのですが
いかがなものでしょうか。



では 今回はこのへんで。





このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。

totop