■人口減少と人口集中
皆さん、こんにちは。
人間の営みについてあれこれ考えてゆきますと、どうも、
人間という生き物は群れを作りたがる動物だということに、
今更ながら気がつきます。
さらに、なぜ人間は群れて(あるいは集団を形成して)生活して
きたのかと考えますと、それはやはり効率を高めるためだという
ところに行き着かざるを得ません。
例えば穀物栽培の黎明期・・・
土地を耕し、種を植え、害虫を駆除し、収穫する・・・
このどこを切り取ってみても、一人で作業を行うのは効率
が悪く、近隣の者たちと集合体を作り、手分け分担して
作業を行ったほうが、生産性を高められたであろう事は明白です。
あるいは森に入って獲物を得る・・・
この作業についても同様で、獲物を脅すもの、追いかけるもの、
先回りして射止めるのも、このような分担が行われて初めて
食に足る獲物の確保が可能になった事でしょう。
私達人間が作る社会は時とともに進化し、複雑化してはきましたが、
人間が大勢が集まることにより生産効率を向上させ、その生産性向上
によって富を蓄積し繁栄を築いてきた、このような根本的なところは
変わっていないように思います。
言い換えれば、人間の歴史は一貫して「集まること、群れること
による生産性向上の歴史」ではなかったかなどと思うわけです。
そのような観点で今の日本を見ますと、いくつか興味深いこと
に気付きます。
例えば現在、首都圏、名古屋圏、関西圏といった都市部に
徐々に人口が集中しつつありますが、この現象はある意味で
自然の流れ、一箇所に集中することにより生産性を向上させようと
する、人間に元から備わった知恵に導かれているようにも思えます。
そもそも生産効率を上げるため、都市に集中して住んでいる
わけですから、都市生活者と地方生活者に所得の格差はあって
当然です、現在「都市と地方の格差」が政治のアヤになりつつ
ありますが、上記のような観点でこの問題を考えると、都市と地方を
同列にしたものの考え方は(大げさに言えば)、人間の
進化の過程に逆行する政策のように感じるわけです。
私達はまず、この「都市への集中」を止めてしまえば、
集中により得られる果実、言い換えれば「効率」が阻害されるという
ことをしっかりと認識しなくてはならないのではないでしょうか。
これから人口の減少はほぼ確実に起こるわけですが、人口減少下でも
国としての競争力、即ち生産効率を下げなくて済む方法は
ただ一つ、むしろ積極的な「都市への人口集中」とそれに
みあった「都市のインフラ整備」という事になるはずです。
その上で地方は地方で地方にあった産業を育て、都市からの
資産配分を当てにせず生きてゆく方法はあると思います。
例えば農業、日本の農家の耕地面積は狭く、ここではかえって
集まることが生産性を低くしているように見えます、大昔は
人間の労働力が生産性向上の主な手段でしたが、現在では
人の代わりに農機具や農薬、化学肥料などを用いることにより、
人を密集させずとも生産性を高めることが出来ます。
農業の分野に置いて、大規模農家を育成したり、株式会社がより
参入しやすい施策を打つことにより、日本の農業の生産性は
高まり、世界の中での競争力も強めて行くことが出来
るのではないかと思いますし、現在の「都市と地方の格差」問題は、
このような地方の自助努力を促す方法で、解決してゆくことが
望ましいのではないかと思います。
その結果、地方では適正な数の従事者で健全な農業や漁業を運営し、
一方で都市には政策的に人口を集中させ、その効率性で国際競争に挑む、
このようなシナリオは描けないものでしょうか・・・
では 今回はこのへんで。
(2007年10月23日)
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