株とヘッジファンド
皆さん、こんにちは。

前回は『金と株』に分散投資した場合、皆さんの資産の(価格変動)
リスクを小さくする効果があるというお話しをさせて頂きました。

ちょうど今の相場のように、世界の株価が一斉に値下がりするという
局面では、皆さんは「資産を増やすこと」よりむしろ「資産価格の下落
を防ぐこと」のほうに、関心をお持ちなのではないでしょうか。

その一つの方法として、確かに前回や前々回に御紹介したような
金・銀を始めとしたコモディティ(商品)への投資は、有効な策では
ありますが、今回もその流れで「ヘッジファンドを活用したリスク抑制法」
についてお話を致しましょう。

まず最初にあるヘッジファンドの、直近12ヶ月分の月次実績を
御紹介いたします。

・+2.6%(2006年11月)
・+3.0%(同12月)
・+2.5%(2007年1月)
・+4.6%(同2月)
・+1.2%(同3月)
・+1.6%(同4月)
・+1.5%(同5月)
・+1.5%(同6月)
・+3.0%(同7月)
・+0.2%(同8月)
・+1.2%(同9月)
・+3.4%(同10月)
(直近12ヶ月のリターンは+27.3%、リスク5.7%)

このファンドはロンドンに拠点を置くT社が運用する
Wファンド(注1)で、いわゆる『ファンド・オブ・ヘッジファンズ』
と呼ばれるファンドに属します。

(注1)ファンドの実名は伏せさせていただきます。

通常ファンド・オブ・ヘッジファンズは、異なった値動きをし易い
ヘッジファンドに分散投資し、自らの価格変動リスクを抑える手法
を採りますが、このファンドの場合も、現在約40銘柄のヘッジファンド
に分散投資を行い、株や債券など他の資産の動きとは関係なく、
安定的なパフォーマンスを上げることを目標としております。

ファンド・オブ・ヘッジファンズの場合、ファンド・マネージャーは
自らは運用を行わず、個々のファンドの選択を通し、いかにして全体として
リスクを抑えつつ高いリターンを上げるか・・・これが主な仕事になります。

このファンドWの場合、米国のサブプライム関連商品をショート(空売り
する)ファンドなどを組み入れていたことも奏功し、ご覧のように
今年の2月/3月、あるいは8月の株式ショック時にも、月次の
パフォーマンスはプラスを維持しました。

ご参考までに同じ時期の日本株の月次リターンを、TOPIXを例にとって
挙げさせていただきますと

・-0.9%(2006年11月)
・+4.9%(同12月)
・+7.5%(2007年1月)
・+2.4%(同2月)
・+2.2%(同3月)
・-0.7%(同4月)
・+3.2%(同5月)
・+1.1%(同6月)
・-3.9%(同7月)
・-5.7%(同8月)
・+0.5%(同9月)
・+0.2%(同10月)
(年間騰落率は+0.2%、リスク10.0%)

とこのようになります。

このTOPIXの動きと、上記ファンドWのパフォーマンスを比べて
いただければ、なんとなくファンドWの目指すところがお解り
いただけるのではないでしょうか。

ちなみにTOPIXとファンドWの相関係数を計算してみますと0.29と
なり、日本株とファンドWの相性のよさ(注2)を示しています。

(注2)ここでいう相性の良さとは「相関性の低さ」、さらに
申し上げれば、皆さんの「資産価格の上下動を小さくする
効果」を意味しております。

ヘッジファンドはよく、ハイリスクでかつハイリターンの商品だと
誤解される場合がありますが、そもそもヘッジファンドは、
『(価格変動)リスクをいかにして抑制するか』ということをテーマ
に考案された金融商品だともいえます。

もちろんヘッジファンドの50年以上の歴史の中で、その本来の目的から
離れ、リターンの追求を主目的に運用されるファンドもありましたが、
それでも、いまだにヘッジファンドに一貫する運用テーマの一つは
「(価格変動)リスクの抑制」といってもいいでしょう。

ただ、数あるヘッジファンドの中で、本日御紹介したファンドWの
ように、その本来の目的を成就しつつあるファンドもあれば、あきらか
にうまくいっていないファンドもあります。

今年の2月や8月、そして今回のような株式相場のクラッシュ時は
むしろヘッジファンドの良し悪しを見極めるよい機会なのかもしれ
ませんね。

そして質の良いヘッジファンドを適度に資産に組み入れた場合、
今回のような株式下落局面で、皆さんの資産価値の下落に、一定の
歯止めの効果が得られるのではないでしょうか。

では 今回はこのへんで。
(2007年11月20日)




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