2008年の投資テーマ
皆さん、こんにちは。

今年も押し詰まってきましたので、今回は来年の投資テーマに
ついて(またまた)思いつくまま書かせて頂こうと思います。

まずは、サブプライム問題と新興国株への投資について。

OECDはこの問題の関連損失の総額を、最大で33兆円に達すると
試算しています、これに対し先日(2007年12月10日)、スイスの
UBSが発表した評価損計上額(約1.1兆円)を加えても、いまの
ところ、欧米系金融大手が計上した累積損失は8兆円に止まっています。

言い換えれば、これからさらに20兆円以上の追加損失の計上が
どこかのタイミングで発表される可能性があるという事、これは
どう考えても世界の金融システムの不安定要因とならざるを得ない
のではないでしょうか。

一方下記のような明るい兆しも見え始め、今年一年続いた市場の
動揺も、ようやく出口が見え始めた観があります。

・中東やアジアの政府系ファンドによる金融機関への出資
・米国政府によるローン保有者への救済措置
・FRBによる利下げ

今年年末から来年前半は、欧米の銀行の損失計上と、上記3点セット
のせめぎあいが起こり、市場は上にも下にも振れ易い状況が続くの
ではないでしょうか。

米国には(日本のバブル時と同様)、金融機関への公的資金の注入
という最後の手段がありますので(それを使うかどうかは別にして)
いずれ、このサブプライム問題は終息に向かうと考えられますが、
問題は、これら不安定要因と安定化要因が共鳴し、その結果として

1.この問題が米国の『実体経済』に対し悪影響を及ぼすのか。

2.もし『実体経済』に影響を与えるとすれば、それが世界の、特に新興国
の実体経済にどの程度波及するのか。

この2点に対す判断が、来年の世界経済や株価の行方を占う上で、
最もな重要ポイントではないかと思います。

私は今この時点では、この問題が米国の実体経済に悪影響を及ぼすことは
避けがたいと考えていますが、(上記3点セット+αの貢献度を考えると)
その期間は比較的短く済むのではないかとも思っています。

もし仮にこの問題が深刻化しないとすれば、新興国に対する波及は軽微で
すみ、その場合は新興国株の見通しは来年も決して暗くはなく、特に
人的資源が豊富なアセアン、穀物生産力や天然資源の豊富さで優位な
ラテンアメリカ、オイルマネーによる活況に沸く中東や北アフリカ地域・・

このようなエリアでの株式投資が有効ではないかと思っています。

来年の投資テーマの二つ目をあえて挙げるとすれば、それは
『ドル相場とコモディティ』ということになるのではないでしょうか。

今回の米ドル安は、果たして米国の凋落を予見した趨勢的なものなのか、
それともサブプライム問題に起因する一時的なものなのか・・・

見方は分かれていますが、私自身は両方あると思っています。

即ち長期的米ドル安のトレンドと、短期的ショックによるドル安局面が
重なって、現在の米ドル安が起こっているのではないかというように・・・

もしそうであれば、この問題が快方にむかう(であろう)来年の
ある時期からドルは反転し、一時ドル高方向に向かうという見方が
メインのシナリオ、ただしそれも一時的で、その先の将来を見渡せば、
ドルは円とともに価値を下げてゆくのではないかという気がします。

ドルに代わって信任を得るのはコモディティ、それも貨幣の代替機能を
もつ貴金属ということになるのではないでしょうか、ただ金については
今年一年間の上昇率が既に27%に達しており、来年もこのペースで上昇し
続ける可能性は低そう・・代わって同じく貨幣代替機能に加え、産業用金属
の性格を併せ持つ銀に注目が集まるかもしれません、ちなみに銀の年初来
の上昇率は9%強、金銀レシオも50倍台半ばに拡大中です。

貴金属以外ではやはり穀物に注目せざるを得ません、冒頭のように
新興国の経済が引き続き好調に推移するなら、穀物に対する需要が
今年より小さくなるとは思えません、加えて米国や中国を中心にますます
環境問題がクローズアップさせるでしょうから、穀物のエネルギー利用も
拡大し続けると考えるのが素直ではないでしょうか。

一方で今年はオーストラリアで旱魃が起き、小麦の生産量が減りましたが、
来年はどうでしょうか・・・農産物ですから自然まかせの部分が多く、生産高
という点ではなかなか予想は困難です。ただ今年並みの生産量
を前提とするなら、穀物相場はさらに上昇とみておいていいのではない
でしょうか。

私が初めてこのコラムで穀物に関して書かせていただいたのは、確か2006年9月
だったと記憶しております、当時はまだ穀物が投資対象として見られる
ことはなく、穀物系ファンドのような商品もみあたりませんでした・・・

あれから1年以上経った今、穀物系のファンドがいくつかみられるようになり、
私達個人も容易に投資することができるようになりました、来年も引き続き
穀物は投資テーマとしておもしろいのではないでしょうか。

では 今回はこのへんで。
(2007年12月12日)




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