2008年型ポートフォリオを考える
皆さん、こんにちは。

明けましておめでとうございます、今年も一年どうぞ
よろしくお願いいたします。

今回は新年第一回目の配信ですので、恒例の「私が考える
2008年型ポートフォリオ」についてお話いたします。

ちなみに2007年の年初に配信した内容について興味をお持ちの方は、
下記をご覧下さい。

https://www.ginzafp.co.jp/info/070116.html

まず最初に大きな世界経済の流れについて考えてみたいと思います。

2008年の世界経済の焦点は、やはりなんといっても米国のサブプライム問題。

この問題は当初想定されていた以上に広範でかつ根が深く、今年一年は
米国をはじめ先進国では政策を総動員して、この問題への対処が迫られる
ことになるのではないでしょうか、政策メニューとしては各国の中央銀行
からの流動性の供給と政策金利の引き下げ、あるいは場合によっては、
米国で金融機関への直接的な資金注入が行われるかもしれません。

このような対症療法が打たれる結果、おそらく年後半はサブプライム問題
も一応の出口が見えてくるのではないでしょうか、ただこれら施策の副作用
として、金利は人為的に低く抑えられると同時に、市場には過剰な流動性
が供給され、世界のマネーは行き先を求めてさまざまな投資対象を物色
することになるでしょう。

ではそのマネーの求心力になるものは何なのか・・・

その筆頭ははコモディティということにならざるを得ないのでは
ないでしょうか、そういう意味で、今年は『ペーパーマネーから
実物資産への移動』が一つのテーマになるのではないかと思っています。

コモディティについては、このコラムで何度も取り上げてきましたので、
ここであらためて詳細をお話しすることはやめておきますが、原油に関して
申し上げれば、すでにいいところまで来ていると思います。これ以上の
価格上昇は世界の景気を冷やす要因となり、景気後退は原油消費量の減少
を通し、こんどは原油価格の下落要因として跳ね返ってきます、投資対象
としての原油は2007年ほど魅力はないのではないでしょうか。

一方で金、銀、プラチナなどの貴金属、小麦、トウモロコシ、大豆など
の穀物はまだまだ上昇余地が高いように思います、穀物では大豆は
1ブッシェル12ドル台にのせ、過去最高値を更新しましたが、作付面積
の点からも、消費の拡大の点からもまだ上昇余地は大きいように思います。

世の中大きく乱れる時は、貴金属が買われる時です、長らく
続いた米国の覇権に陰りがさし、ドルに代わって金の世界通貨としての
地位が復権(金本位制の復活という意味ではありませんよ)することに
なるかもしれません、既に金は860ドル台と過去最高値レベルですが、
今年は900ドルから、場合によっては1000ドルに達するかもしれません。

銀もプラチナもいいでしょう、いずれも産業用金属としての性格と、
準通貨としての性格を併せ持っており、金や穀物と同じ理由で買われやすい
一年になるのではないでしょうか、特に銀は2007年の年間上昇率が僅かに
9.5%(これに対し金は+32.2%)です、他の貴金属に比べ割安感があるよう
に思います、現在の銀の価格は15ドル台前半にすぎませんが、今年中に
20ドル台に乗せる可能性も十分にあると私は思っています。

過剰流動性と低金利によって溢(あふ)れたお金の行く着く先、その
二つ目は株ということになると思います。

ただし米国を始めとした先進国の株は、サブプライム問題の直接的な影響が
懸念され、敬遠さた状態で年初の相場をスタートしましたが、仮にこの
問題が年内で解決の糸口を掴むという見立てが正しければ、それを見越した
買いが年後半に入ってくるかもしれません。

従って先進国の株を買うのであれば年後半、「売られたところを買え」
という事になるのではないでしょうか。

これに対し新興国の株はどうでしょうか、先進国株とはやや状況が
異なり、サブプライム問題からの距離は遠いですが、米国を始めとした
先進国の個人消費が落ち込むなら、これらの諸国も先進国への輸出
を通し、負の連鎖にさらされる懸念があります、ただし、新興国には
ベースとなる経済成長力、言い換えれば国として勢いがありますので、
一時的な調整程度と考えておいてよろしいのではないでしょうか。

また、ひとくくりに新興国といってもサブプライム問題からの距離という
意味では、バラツキあります、例えば中国は輸出の20%程度を米国向けで
占めており、米国の個人消費の影響を受けやすい構造になっています。

これに対し、例えば中東はどうでしょうか、そもそも中東や北アフリカ諸国
の経済成長の原動力は消費財の輸出ではなく原油の輸出です、確かに米国の
景気が後退すると原油価格は下がるでしょうが、原油相場は個人消費と異なり
思惑や投機で動く性質があります、少なくともそれらが緩衝材となって
原油相場が形成される限り、やはり原油相場はサブプライム問題から
遠いところで価格が変動していると考えてよいでしょう、そういう意味
において中東・北アフリカ地域の株価は、他の新興諸国の株価とは
少し違った値動きをするのではないでしょうか。

加えてこの地域は米ドルへのペッグを維持しております、原油の
売却収入が急増し景気が過熱する一方で、米ドルとのペッグを維持
するため金利を下げざるを得ない状況、この状況はさらに国内の景気を
加熱させ、溢れたマネーの一部は国内の株式市場に流れ込む、このよう
な環境がしばらく続くのではないでしょうか、上記のように原油相場の
変動の激しさというリスクはありますが、今年一年というタームでみると
新興国の中では面白い投資先になるのではないかと思います。

以上のような背景を基に、今年は下記のようなポートフォリオを
想定してみました。

■コモディティ関連資産(25%)
1.貴金属系ETFもしくは現物
2.鉱山株(金鉱株、銀鉱株)ファンド
3.穀物系ETF

■新興国株(20%)
1.中東、北アフリカ株ファンド
2.新興国ロング・ショート型ファンド

■先進国株(20%)
1.資源関連株ファンド
2.環境関連株ファンド
(ただし、年前半はキャッシュで温存)

■債券(15%)
1.資源国外貨MMF

■オルタナティブ(20%)
1.トレンド・フォロー型ヘッジファンド
2.ファンド・オブ・ヘッジファンズ
3.破綻債券型ヘッジファンド


まず今年の投資環境をコモディティ優位と考え、例年よりコモディティ関連資産
のウエイトを高め25%と致しました、中心は貴金属や穀物相場に連動するタイプの
ファンド群、あるいは貴金属鉱山株も候補として挙げさせて頂きました。

株は先進国、新興国株あわせて40%、例年よりやや少なめに配分いたしました、
新興国株相場は昨年ほどの勢いはないと予想、相場の急落局面を想定し、
ロング・オンリーよりロング・ショート型ファンドを挙げております、
先進国株はいずれもテーマ性を持ったファンド群、環境や資源関連株ファンド
を想定しております、ただし、前半はキャッシュで温存し、年中盤から後半の
株価下落局面での投資と致しました。

債券は金利下落局面と考え、短期債中心のファンドを想定しております。

オルタナティブ投資は今年の変動の激しい相場環境を想定し、できるだけ
価格変動の小さいファンドを挙げさせて頂きました、特にサブプライム問題
が収束するまでは、破綻債券投資型ファンドやファンド・オブ・ヘッジファンズ
など、低リスクでかつ他の資産との相関性の低いファンドがよろしいのでは
ないでしょうか。

不動産についてですが、国内の不動産以外は新規投資は見送りということに
させて頂きました。

以上です、少しでも皆様のご参考になれば幸いです。


では、今年一年の皆様の投資の成功を心からお祈り申しあげます。
(2008年1月8日)




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