3年前の新聞
皆さん、こんにちは。

私は新聞記事や雑誌のスクラップを欠かさないのですが、
時々ずっと前のスクラップを読み返すことがあります。

これをやり始めますと、ついつい時間を忘れて熱中してしまいます、
別に勉強のためにやっているという意識はないのですが、結果として
改めて学習することがその都度あります。

今回は2005年6月~7月(ちょうど3年前)のスクラップを拾い読み
しながら、思いつくまま私が感じたことを書かせて頂くことに
します。

■2005年6月1日(日本経済新聞)

『前3月期決算 最終集計 経常益26%増 25兆2189億円』

『素材価格の上昇や世界的な荷動きの活況を背景に、石油や
鉄鋼、海運の伸びが目立った』

『2006年3月期は原油高による事業コストの圧迫などで、前期比
2%増と伸びが鈍化しそうだ』


などとあります、思い返せば3年前のこの時期、原油価格は
40ドル~50ドル(今思えば安い!)に急騰、すでに上記のように
原油高騰が企業業績に与える影響が懸念されていました。

ところが実際には、その後も我が国の企業業績は拡大を続け、
2008年3月期決算における経常益総計は33兆円を超えることに
なります。

結論から言えば、我が国の企業は原油価格40ドル程度→90ドル程度
の影響を吸収しながら、なお30%以上の増益を達成したことになります、
(ただし、この間実効為替レートが13%ほど円安方向に動いていますが)。

今期(2009年3月期)の経常益は、対前年比で-5.6%減の
見通しですが、このぶんだと意外に健闘する可能性がありそうですね、
為替もやや円安に動いていますし・・・

続いて中国株について、こんな記事を見つけました。

■2005年6月7日(日本経済新聞)

『上海株指数1000割れ』
『投機資金に流出懸念 中国、バブル退治本格化』

『中国の代表的な株価指数である上海総合株価指数は6日、一時
998.23と約8年3ヶ月ぶりに1000の大台を下回った(略)下げは
2001年6月の最高値から54%に達する』


とあります、こうやって振り返りますと中国株の価格変動が、いかに
激しいかよくわかりますね、しかもこのあと僅か2年とちょっとで同指数は
6000タッチでピーク、さらにそこから8ヶ月後の現在、ピークの半分
以下の2700台に沈んでいます。

現在の同指数構成銘柄の平均PERは17倍台と、中国の成長性を勘案して
一見割安にみえますが、この国には独特のカントリーリスク(政策変更)
がありますし、またその独特のリスクが株価にマイナスに作用した場合、
このボラティリティの高さはちょっとイヤですね。

さらにスクラップ・ブックのページをめくってゆきますと、
このような記事を見つけました。

『金、内外で高値』

『米景気やEU統合への先行き懸念から投機マネーがドルやユーロから
離れ、一部が金に向かったためだ。特に歴史的にドル相場と逆相関の
関係にあるドル建て金が、ドル高にもかかわらず上昇したため円建て
金が急上昇。13年6ヶ月ぶりの高値となる異例の事態となった。』

『ニューヨーク商品取引所の金先物(期近)は、1トロイオンス438.1ドル
で3月中旬以来の高値。(略)消費税込みの国内地金小売価格は23日、
1グラム1647円。(略)地金商の店頭ではこれまで長期的なドル安観測
や資産分散の動きを背景に販売が買取を上回っていたが「先週半ばを
境に逆転し、買取が販売の3倍に膨れ上がった」(田中貴金属工業)。
高かった13年前に地金を買った投資家が含み損を解消する動きが目立つ。

(以上2005年6月24日付け日本経済新聞)


13年ぶりのヤレヤレ売りを出した人たちは、さぞやそのあと悔しい
思いをしたことでしょう・・・記事にあるように、ドル相場とドル建て
金価格は逆相関、従って(ドルが弱くなり)ドル建て金価格が上がっても、
(ドル安により)円が強くなれば、円建の金価格はそれほど上昇しない
ことになるはずでした。

簡単に言えば、ドル建ての金価格が上昇しても、円建てでみた金価格
はそれほど上がらないということです。

ところがその後のドル建て金価格と、円建て金価格を見比べてみますと。

■ドル建て金価格
・2005年(438.1ドル) (注)6/22ニューヨーク先物価格(期近)
・2008年(881.0ドル) (注)6/23ロンドン・スポット価格終値

■円建て金価格
・2005年(1647円) (注)6/23店頭スポット価格
・2008年(3126円) (注)6/23先物価格(期近)

となり、それぞれの上昇率を計算すると

■ドル建て金価格(2.01倍)
■円建て金価格(1.90倍)

とドル建ても円建ても、それほど大きな乖離はありません。


これは金がドルに対して強くなったと同時に、円に対しても強くなった
ということ、言い換えればドルも円もいっしょに金に対して減価して
いったということです、一方でこの間価値を高めたのはユーロですね、
すでに金は円/ドル相場ではなく、ユーロ/ドル相場を見ているといえる
のではないでしょうか・・うがった見方をすれば、すでに金は円を見て
いないという事かもしれません。

他にもこの時期のスクラップ・ブックを見ていると、いろいろ面白い
記事を目にします。

例えば当時ゴールドマン・サックスの会長として来日したポールソン
(現)財務長官に対するインタビュー記事・・・

あるいはあの「平成電電」(覚えています?)が年10%の高配等を
うたって募集していた匿名組合の広告・・・そして同社の監査報告書
に関する疑義を伝える記事・・・その後の破綻を伝える記事。

今読み返しても(いや今読み返すからこそ)面白い情報はたくさん
あります。

皆さんも一度スクラップをやってみてはいかがでしょうか
(古臭い!という声が聞こえてきそうですが・・)。

では、今回はこのへんで。
(2008年6月24日)




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