■善なのか、悪なのか
皆さん、こんにちは。
最近CTAという言葉を耳にする機会はありませんか?
CTAはCommodity Trading Advisor のこと、
日本語に訳すと「商品投資顧問業者」ということなります。
もともとは、コモディティ先物市場で資金の運用を委託された
受託者をさしていたのですが、転じて今では商品先物市場や
金融先物市場で、資金の運用を行うヘッジファンドをさす言葉
として定着しています。
さてこのCTA・・・原油や穀物価格を急騰させた主犯の一人として
やり玉に上げられるケースがありますが、そもそも運用戦略と
してはトレンド・フォロー、現在の市場の方向性にそって順張りを
行っているに過ぎません、いいかえれば上昇相場では確かに上昇スピード
と上昇率(あるいは幅)を拡大させる要因になりますが、逆に
相場が下げに転じると、その市場の流れにそって売り建てますので、
今度は相場の下げ要因として働きます。
従ってCTA単独では、市場そのものを長期的に上げたり
下げたりする力(ちから)はなく、相場の方向性に勢いを与える
というだけの存在に過ぎません。
しかも、異なった思惑をもつ様々な参加者がいることにより、
市場には厚みが増し、かえって相場の上下動を小さくできるという
見方もあります。
そういう観点にたつと、CTA=悪者という考え方には少し無理が
あるようにも思います。
一方で同じくコモディティを投資対象にした金融商品に、
コモディティ・インデックス・ファンドというカテゴリーがありますが、
こちらは上記のCTAとは違い買い持ちのみのファンド、売りポジションを
持って、市場の下落時に稼ぐということは致しません、従って市場に
与えるインパクトとしては、常に上昇方向にのみ寄与するということに
なります。
ではこのコモディティ・インデックス・ファンドが、一次産品
の価格をいたずらに吊り上げる悪者なのでしょうか。
確かに原油や穀物相場を一時的に急騰させるという点で、ある意味
好ましくない存在だといえますが、一方でそのことにより、穀物増産や
新規鉱山の開発、あるいは代替エネルギーの開発といった、テクノロジー
の進化を促しているという側面もあります、さらに言えば、例えば
これら投資マネーが参入できない、鉄鉱石や石炭の相対取引においても
価格の急騰が見られるように、今起こっている資源価格の上昇には、
投資(あるいは投機)マネーだけでは説明が付かないものもあります。
さらに純粋な金融商品としてのみ見た場合、昨年8月のサブプライム・
ショック後に順調に運用成績を残したのは、結局このCTA系ヘッジファンドと、
コモディティ・インデックス・ファンドのみ、新興国株や先進国株、
あるいはREITが大きく崩れるなか、資産運用におけるアンカーとして、
機関投資家のみならず個人にも大きく貢献したのも事実です。
このような金融商品は、善なのか、それとも悪なのか・・
金融商品そのものには悪もなく、また善もなく、あるのは光と影だけ、
軽々に判断が下せないからこそ、過去3年以上にもわたり議論が続いて
いるといえるのではないでしょうか。
では、今回はこのへんで。
(2008年7月8日)
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