もう一つの考え方
皆さん、こんにちは。

「どの程度の期間を目安に保有すればいいですか」

よく相談者から頂く質問です。

例えばブラジル株で運用するあるファンドが購入時点から40%
上昇し、ブラジル株市場にもやや割高感が出てきたとしましょうか。

おそらくその時点での対応は、下記の2通りの
方法に集約されると思います。

まず最初の考え方としては

■すでに相関性に配慮した資産ポートフォリオを構築している。

■新興国の株は、短期中期でみて大きな変動があるが、基本的には
成長領域、長い目でみれば右肩上がりで徐々に価値は増える。

■しかも投資対象の短期の価格サイクルにあわせて売ったり買ったり
しても、思惑通りに儲けるのは難しい、であればゆったりかまえ
短期の下落はじっと我慢し、長期のリターンを取りに行く。


この考え方はたいへんオーソドックスですし、私自身も相談者の方に、
このような考えに立った資産運用をお勧めするようにしているのですが、
最近人によっては別な考え方があってもいいのではないかと思うように
なりました・・具体的には下記のようなものです。

■すでに相関性に配慮したポートフォリオを構築してはいるが、 
相場が下げるのがわかっていて、それでも敢て持ち続ける必要は
ない。

■特に新興国株など、明らかに当該国の景気サイクルに引っ張られる
投資対象の場合、ある程度、短期中期の価格変動をとらえた売買を
行う手法をとり、一方では、例えばヘッジファンドのように、
価値サイクルのない商品の長期保有とうまく組み合わせ、メリハリの
利いた運用を行うことは理にかなっている。


これは具体的にどういうことかといいますと、例えばあなたが年齢45歳、
現在の保有資産残高5000万円、目標リターン20%で運用を行っていると
して、現状のポートフォリオが

・先進国株10%
・新興国株15%
・ヘッジファンド(ミドルリスク)15%
・ヘッジファンド(ハイリスク)15%
・コモディティ15%
・債券20%
・不動産10%


だった場合、

■先進国株と新興国株は景気サイクルに乗って価値が変動するので、
3ヶ月から6ヶ月程度の比較的短期の売買を繰り返すことによって、
うまくそのサイクルをとらえることを目指す、その結果、長期的に
インデックスを上回るリターンを得ることを目標にする。

■ヘッジファンドについては、極力経済環境に影響を受けない銘柄
を中心に構成し、あくまで長期保有を前提とした運用を行うと同時に、
株、債券に対するアンカーの役目を期待する。

■コモデディティにもサイクルはあるが、コモディティには一種の
経済的混乱に対する保険機能も持たせているので、基本的には長期保有、
下がったところは我慢して維持。


例えばこのような考え方に基づいた運用です。

この考え方は、冒頭のオーソドックスで教科書的な資産運用方とは随分と
異なりますが、組み入れ資産の性格、特に価格変動サイクルの有無に着目し、
サイクルのある商品についてはそのサイクルを利用し、ある程度の短期売買
により市場平均を上回るリターンを狙う、一方で理論的に価値サイクル
のない資産については長期の保有に徹する、このようなメリハリの利いた
資産運用もあっていいのではないでしょうか。

もちろんこのような運用方法が、全ての人にとって適切というわけでは
ありません。

そもそも景気サイクルなど、世界の経済の動向を機敏に予想しなくては
なりませんし、またこの種の投資手法は売り買いのタイミングを間違い
ますと、かえって市場平均に負けてしまう可能性もあります。

それでも性格的にこのような積極運用が向いている人がいる、そして
時には教科書的なアドバイスから逸脱しても、その人の適性次第で
このような考えに基づくアドバイスが必要な場合もある・・・

最近そんな気がしています。

では、今回はこのへんで。
(2008年8月19日)




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