■景気後退期の資産運用
皆さん、こんにちは。
昨年8月以降、世界の株式市場は下降トレンドに入っていますね。
もちろん米国のサブプライム・ショックが直接的な原因であったことは
間違いないのでしょうが、それはあくまで直接的な原因であり、実は
昨年前半時点で世界の景気拡大は徐々に臨界点に近づいており、この問題が
仮になかったとしても、いずれどこかで世界の景気は反転し
下降トレンドにはいっていた、私はこのように思います。
ただサブプライム問題の原因となった米国の過剰な消費、過剰な流動性
の供給が景気変動を増幅させ、結果としてさまざまな金融商品の
価格変動の幅を大きくしたいう事はいえると思います。
いずれにしても昨年8月以降、株式を中心とした景気サイクルの影響を
受けやすい金融商品(ここでは『サイクル系金融商品』とでも呼んで
おきましょうか)を中心に保有していた投資家は、随分痛手を被られた
のではないでしょうか。
『サイクル系金融商品』という意味では、コモディティもこれに
含まれます、お金の流れにディレイがあったため、株とコモディティ
の価格ピークには約一年のずれがありましたが、基本的にはコモディティ
も『サイクル系金融商品』であることは間違いなく、世界景気の上下動
にあわせてこれからも(例えば2年から4年程度の)サイクルを繰り返すと
考えておく必要があります。
株やコモディティといった『サイクル系金融商品』は、いずれも
人間の生産活動の高度化や、それに伴った消費の拡大をうけ、右肩あがり
で価値は増加してゆくはずですが、それはあくまで長期的に見た場合の
お話しで、中期的、短期的にはこのような価格サイクルを繰り返しながら
徐々に上昇してゆくという前提でポートフォリオに組み入れるべき
でしょう。
このように考えてきますと、株であれコモディティであれ(あるいは
価格変動は小さいですが、債券であれ)私達は『サイクル系金融商品』
を保有している限り、自分達の資産の価値サイクルは避けることはできず、
長期的な資産拡大を目指すためには、価値変動という大きいな代償を
支払う必要があることが解ります。
では全ての資産運用が「価値サイクルに伴う忍耐が要求されるか」
といいますと、必ずしもそうとは言い切れません。
最も代表的な手法は、そもそも価値サイクルのない金融商品
(仮に『非サイクル系金融商品』と呼ぶことにします)を中心に
ポートフォリオを構築するという方法です。
『非サイクル系金融商品』・・・言い換えますとこれはヘッジファンド
ということになります、そもそもヘッジファンドは「景気変動を受け
なくてすむ金融商品をどうやって作れるか」という素朴なテーマが
原点となり開発された商品ではありますが、世にでて半世紀も経つなかで、
さまざまな戦略が派生し、それぞれ進化を遂げつつ現在に至っています。
比較的価格サイクルの小さな戦略として、トレンド・フォロー型
ヘッジファンドを挙げることができます、この種のファンドは
金融先物市場やコモディティ先物市場で運用していますが、投資対象
の上昇局面では買いで対応、下げ局面では売りで対応し、結果
として上げ相場でも下げ相場でも利益をあげることができる
仕組みです(ただし相場の転換点では損失を出します)。
もちろんトレンド・フォロー型ファンドにも、価格の変動リスクは
あるのですが、それは景気変動とは関係なく発生し、従って価値が
サイクリックに変動するというものではありません。
このように『非サイクル系金融商品』を活用しますと、皆さんの
資産は景気変動による価値サイクルから開放される可能性が
ありますが、一方でこれらの金融商品の投資利回りはせいぜい10%〜
20%程度、短期的な上昇率という点で、例えば2005年や2006年の新興国株
のような爆発力はありません。
実際には、『サイクル系金融商品』と『非サイクル系金融商品』を組み合わ
せて運用することが好ましいのではないでしょうか。
では、今回はこのへんで。
(2008年9月9日)
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