■次の5年
皆さん、こんにちは。
先週のG7以降、欧米で金融システム安定化の動きが加速
しましたが、一番の立役者は英国のブラウン首相ではなかったでしょうか。
彼は前ブレア政権の財務大臣として十分なキャリアもあり、金融分野は
最も得意な分野、英国内の人気は決してかんばしくはありませんが、この時期
英国の首相がブラウンだったことは、恐らく世界経済にとって幸いだった
といえるでしょう。
一時は欧州をリードするかにみえた仏大統領のサルコジに代わり、
より現実的な国ごとの個別の対応を訴え、そして自らはいち早く自国の
金融機関に対する資本注入を決める、彼のこの現実路線
に基づいた実行力が欧州各国に同様の決断を促し、そして米国世論をも
動かした・・・これが一連の事態収拾の構図だったのではないでしょうか。
今にして思えば先週のG7前後の世界経済は、誠に薄氷を踏むような
あやうい状態ではありましたが、これをもって考えうるほぼ全ての対策
メニューがそろい、とにもかくにもあとは速やかな実行を待つだけ、
そのような段階までこぎ付けることができたといえるのではないで
しょうか。
昨年7月の起点から先週末までが前半戦だとすれば、これからは
いよいよ後半戦、問題の焦点は金融から実体経済に移ってゆく
ことになります。
実体経済・・・
実体経済といっても、そのおおもとは生産や消費といった生身の
人間が行う経済活動であり、つまるところは参加者一人ひとりのセンチメント
に依存ずる部分が大きいはず。
例えば株や不動産の価格が下落し続けるような状態、あるいは
自分達がお金を預けている金融機関がバタバタと倒れるような環境では、
気分も憂鬱になりがち、なかなか消費を活発に行うというわけには行かない
でしょうし、逆にこのような金融の世界で起こる諸問題が解消に向かえば、
実体の経済面にもよい影響が及ぶということになるでしょう。
要するにセンチメントと実体経済は決して別個のものではなく、共振
しあいながら、なおかつお互いを増幅させ合っているともいえるわけです、
これが正のスパイラルに入り抑制不能な状態になれば、バブル的な経済に
至りますし、逆に今回のような負のスパイラルに陥れば恐慌状態に至る
場合がある・・・
仮にこれで金融不安が解消すれば、やがて(一般消費者を含む)市場参加者
のセンチメントが好転し、やがては実体経済に好影響を与え始める時期が
訪れることでしょう。
実体経済に好ましい影響が出始めた場合、それがまた人々のセンチメントに
反射し・・・即ちそれが新しい正のスパイラルの始まりです、このスパイラル
は必ず何らかの形で資産価値の上昇を伴うはずです。
その際すべての資産価格が一斉に上がり始めることもあるでしょうが、むしろ
それよりは極めてニッチな市場でかすかな兆しが現れ、それが徐々に
広がってより大きな市場に伝播してゆく・・スパイラルの初期ではそのような
可能性を想定しておくべきかもしれません。
例えば前回の我が国の株価上昇サイクルの初期。
2003年4月に日経平均はバブル後の最安値をつけましたが、(私は今でも鮮明
に記憶しているのですが)実は小型株市場の日経ジャスダック平均は、それに
先立つ2002年のクリスマスイヴの日に底を入れ、その後日経平均に先立って
反転しました。
さて次回のスパイラルの兆しはどこで現れるのでしょうか。
世界の片隅の新興国の株価でしょうか・・・
それとも日本の小型テクノロジー株でしょうか・・・
いずれにしてもその僅かな兆しをいち早くみつけ、そのチャンスに
賭けた人は次のサイクルの勝者になるに違いありません。
では、今回はこのへんで。
(2008年10月15日)
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