50代の選択肢
皆さん、こんにちは。

その人にとって、果たしてどのようなポートフォリオが
望ましいのか。

これはなかなか難しいテーマであります。

例えば定年を間近に控えた58歳の方と、これからまだまだ稼げる38歳の
方とでは、同じ資産をお持ちでもその配分は随分と異なるはずです。

また仮に同じ58歳であっても、お子様の有無、その年齢によって
ポートフォリオは異なるはずです。

あるいはまた同じ58歳、さらには家族構成が同じであっても、例えばその
方の将来の年金への期待度や、その方の希望する生活水準によって
ポートフォリオは異なるでしょう。

本来このようなことを総合的に勘案しながらポートフォリオは
構築されるべきはずですが、どうやら現実は違うようです。

人間若いうちは多少失敗しても取り返しがききますが、特に50代以降の
方は、価格変動リスクについて十分に注意を払ったうえ、しっかりと
ポートフォリオを設計して頂きたいと思います。

リスクの計算は、いいかえれば最大損失額の予想といっていいかも
しれません、例えば皆さんが5000万円の金融資産をお持ちだとしましょうか、

仮にその80%で外貨建ての金融商品(仮にすべて外国株)を購入
してしまったとしましょう、この外国株が現地通貨建てで40%損失を出せば、
それだけで資産全体の32%を失うことになります。

5000万円×80%=4000万円(外国株運用部分)
4000万円×40%=1600万円(上記損失額)
1600万円÷5000万円=32%(損失率)


さらに同期間で仮に20%の円高になれば、480万円の損失が
加わり、損失率は約42%に広がります。

4000万円×(1-40%)×20%=480万円(これが為替差損)
(1600万円+480万円)÷5000万円=41.6%


もちろんリスクの裏側はリターンですから、上記の逆の目も
十分あるわけです、もし皆さんがこの程度のリスクは問題ないと
お考えなら、大いに積極的にやっていただきたいところではありますが、
今から年金生活に入ろうかという50代後半の方にとって、単年度で
資産全体の42%の損失は、やはり受け入れがたいものではないでしょうか。

そのような観点で申し上げれば、為替リスクもなく価格変動も小さい
円建ミドルリスクの金融資産は、この年代の方にとってかなりニーズの
高い金融商品だといえそうです。

円建ミドルリスクの資産・・・

実はこれを見つけるのはなかなか困難な作業になります。

債券はミドルリスクですが、我が国の債券利回りは残念ながら低く、
一部の低格付けの社債を除き、ミドルリスク/ミドルリターンとは
言いがたいのが現状です。

一方で日本株は確かに為替リスクはありませんが、これはもちろんハイリスク、
50代後半以降の方がポートフォリオの中心に据えるのは、ちょっと難しい
のではないでしょうか。

このように消去して参りますと、結果的に残るのは不動産系商品のみ
ということになってしまいます。

では国内不動産系商品であれば何でもいいかといえば、決してそうでは
ありません、例えばREIT・・・

REITは登場当初ミドルリスク/ミドルリターンの商品と考えられていましたが、
いまではその考え方に賛同する人はいないでしょう、REITの仕組みは
保有不動産から得られる賃貸料を、投資口の保有者に分配するだけ、原理
としては不動産の直接保有と大差はなく、これほどまでに価格が激しく変動
する理由は見当たりません。

が、そこが金融商品の不可解さでもあり面白いところ、流入するマネーは
短期保有を目的とした投機的なマネーだったため、短期的な
価格変動が理論値を超えたということなのでしょう。

短期的な売買が可能という流動性の高さが、商品の価格変動を激しくし、
かえって長期マネーが逃避するという結果になっているようです。

では流動性がREITより低い私募/公募の不動産投信はどうでしょうか、
私募ファンドの場合は、その信頼性や最低投資額の点で問題を残しますし、
公募型ファンドの場合収益率の点でミドルリスクとは言いがたい(注)
状況です。

注)住友不動産/サーフ---利回り実績は2%台なかば
東京建物/インベスト・プラス---利回り実績は2%台なかば

このように見て参りますと、不動産系商品のかなでもその本来の特質である

・為替リスクのなさ
・短期的な価格変動リスクの小ささ
・定期的なインカムゲインを得られる


このような長所をとどめているのは、消去法的に現物不動産投というものに
限定されるような気がしております。

私は現物不動産投資は「街の一部を買う」という意味合いをもっており、
その要諦は、いかにして「今後も長期にわたって繁栄を失わない街を選ぶか」
という点にあると思っております。

あと少しつけ加えさせて頂くとすれば、決して新築では買わないこと、
なおかつ賞味期限の点で築浅物件を選ぶこと、メンテナンスや入居率の
点で木造アパートは避けること、そして出口戦略は考えておくこと(といって
も首都圏で便のよいところであれば、築40年以上の木造物件でも稼動している
ようですが)・・・

そして少しだけ火事や地震が起きた場合の対処方を考えておくこと。

このあたりではないでしょうか。

いずれにしても現物不動産は50代後半以降の方にとって、
有効な金融商品であることは間違いないように思います。

では、今回はこのへんで。
(2008年11月6日)




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