■サイクル理論に基づく資産運用(前編)
皆さん、こんにちは。
世の中の大方の金融資産は、何らかの形で景気サイクルの影響を受ける
宿命を持っています。
例えば株。
基本的に株価は景気サイクルにシンクロして大きく上下動しますね、
例えば現在のような景気後退期には長期の下落トレンドに入り、そして
どこかで底を打つ、景気が回復に転じれば株価は上昇トレンドに入り、
やがてまたどこかで反転する、株価は景気サイクルにやや先行して動きますが、
基本的には、景気が描く大きなサイクルに沿って変動することになります。
あるいはコモディティの価格も同様です、景気が拡大し需要が増えますと
コモディティの需給が締まり価格は上昇しますし、今のような景気後退期
には需要が減って価格は下がります。
一昔前のように国によって景気のサイクルがずれていれば、
アチコチの国の金融資産に分散投資しておけば、それらの循環を相殺する
こともできたのでしょうが、現在のように世界中の国々が同じタイミングで
景気循環を繰り返すなら、結局はいろんな国に資産を分散しておいても結果は
五十歩百歩、皆さんの資産は世界共通の景気サイクルに沿って、大きく収縮
を繰り返すことになります。
では世の中に景気サイクルに引っ張られない金融商品など存在する
のでしょうか・・・
例えば債券。
債券の価格は(通常の)景気拡大期には下落し、景気後退期には逆に上昇
する傾向にあります、従ってサイクルはあるが株やコモディティなどと
反対の方向に動きやすいといえるわけです。
そういう意味で債券は皆さんの資産の収縮を和らげる効果はあると
いえるのですが、残念ながら期待リターンの点で物足りず、(余程の
資産家や高齢者ならいざしらず)なかなかポートフォリオの中心に据えにくい
商品ではないでしょうか。
では本当の意味で景気のサイクルに引っ張られないような金融商品は
ないのでしょうか・・・
そういう観点で世界中を見渡して参りますと、ごく僅かではありますが
見つけることは可能です。
例えばトレンド・フォロー型のヘッジファンド。
注)トレンド・フォロー戦略については、弊社サイト「資産運用」
をご参照下さい。
https://www.ginzafp.co.jp/info/060328.html
M社の旗艦プログラムなどがこれに該当しますが、例えば同プログラムの
昨年7月ショック時以来、今年10月まで15ヶ月間の累積リターンは+35.5%
となっております。
前回の株価下落時(2000年のITバブル崩壊から2003年春ごろまで)にも
トレンド・フォロー型ヘッジファンドは、株価に影響されず上昇しつづけ
ましたが、今回のように強い下落圧力がかかっている間にも同様の動きを
示したという点で、その運用手法の優位性が証明されたといえるのでは
ないでしょうか。
ただこれらのファンドにも注意が必要な点がいくつかあります。
例えばこれらのファンドの運用は、一般的にコンピュータ・プログラムに
よって完全に自動化されているのですが、その中身はいわばブラックボックス、
外部から窺い知ることはできません。
あるいはなかには規模の小さい運用会社のファンドもあり、信用リスクを
意識した投資姿勢が求められる場合もあります。
また海外のファンドの場合、特に情報がなかなか入手しにくい場合も
ありますし、レポート等が英文で書かれておりますので英語が不得意な
方にとってはとっつきにくいかもしれません。
さらにはサイクルが無いといっても、それは価格変動がないという意味
ではなく、むしろ月次の価格のブレという点では株と同等か、それ以上
のものもあります(ただ株と異なるのは、月次レベルではブレながらも
右肩上がりの上昇を見せるという点です)、従って保有中はそれなりの
ヒヤヒヤ感が伴います。
このようにいくつかの短所はありますが、それを理解したうえで、
このような景気変動のサイクルの影響を受けにくい金融商品を、
一定額組み入れることはそれなりに有効ではないかと私は思います。
実際には株やコモディティ、債券などの価格サイクルがある
商品(私は「サイクル性金融商品」と呼んでいますが)と、上記の
ように価格サイクルが見られない商品(「非サイクル性金融商品)を
適度にミックスし、さらに「非サイクル性商品」が持つ独特のリスク
(信用リスクなど)を抑制する意味で、いくつかの銘柄に分散して
保有することが好ましいのではないかと思います。
次回は「サイクル性金融商品」と「非サイクル性金融商品」を
分散保有した場合の効果シミュレーションと、さらに定期的に
それらの保有率をリバランスした場合の効果について考えてみます。
では、今回はこのへんで。
(2008年11月26日)
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