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サイクル理論に基づく資産運用(後編)
皆さん、こんにちは。

前回は、世の中には景気のサイクルにひっぱられる金融商品
(例えば株など)と景気サイクルの影響を受けにくい金融商品
(例えばトレンド・フォロー型のヘッジファンドなど)があり、
それらを適度に分散保有することにより、皆さんのヒヤヒヤ感
(これを「価格変動リスク」といいます)をある程度抑えながらも
なおかつ一定のリターンを狙うことができる、そのようなお話しを
致しました。

今回はその続きで、前者(「サイクル性金融商品」)と後者
(「非サイクル性金融商品」)を混ぜて持った場合、実際にどのよう
な効果があったのか、それぞれ代表的な銘柄の過去実績を使って
シミュレーションしてみようと思います。

まず「サイクル性金融商品」の代表としてNYダウ指数を使わせて
頂くことに致します。

NYダウは2000年1月のITバブル崩壊以降下げ続け、2002年の10月に
底を打って反転、そこから上昇を続けピークは007年10月となりました。

上記の2000年1月~2007年10月を1サイクルと考えれば、その間の
大雑把な指数の流れは

・ピーク 2000年1月 11,722
・ボトム 2002年10月 7,286
・ピーク 2007年10月 14,164


となります、さらにこの間の年次のリターンを計算しますと

2000年 -6.2%
2001年 -7.1%
2002年 -16.8%
2003年 +25.3%
2004年 +3.2%
2005年 -0.6%
2006年 +16.3%
2007年 +6.4%


となります、仮に皆さんが資産の全て1000万円で2000年初に
NYダウ平均に投資したとすれば、皆さんの1000万円は上記のような
割合で増減し、その結果現在の手持ち残高は約1145万円となります。

ちなみにこの間の複利ベースの平均リターンを計算してみると
+1.7%となりました。

では次に「サイクル性金融商品」の代表としてM社のトレンド・フォロー
型ヘッジファンドの運用成績についてみてみましょう。

期間は上記NYダウと同じく2000年~2007年までです。

この間の年間の運用成績を並べてみますと

2000年 +19.9%
2001年 +19.7%
2002年 +11.4%
2003年 +22.3%
2004年 +5.1%
2005年 +16.8%
2006年 +6.4%
2007年 +19.6%


となり、上記同様に1000万円でスタートすると2007年末時点で3064万円、
この間の複利平均リターンは15.0%となります。

では仮に上記「サイクル性資産」と「非サイクル性資産」を半分づつ
保有すると、この間の皆さんの資産はどのように推移したでしょうか。

下記は2000年初に500万円づつで両者を購入し、まったくリバランスを
行わなかった場合の資産額の推移です。

2000年(469万円+600万円=1069万円)
2001年(436万円+720万円=1156万円)
2002年(363万円+802万円=1165万円)
2003年(455万円+981万円=1436万円)
2004年(470万円+1031万円=1501万円)
2005年(467万円+1204万円=1671万円)
2006年(543万円+1281万円=1824万円)
2007年(578万円+1532万円=2110万円)

注)例えば2000年の469万円はダウで運用部分の年末残高、600万円部分は
トレンド・フォロー運用部分の年末残高 というようにみてください。


上記結果からも明らかなように、このようなポートフォリオで運用
した場合、2000年~2003年に至る株価下落局面でも資産は増加して
おります(上記には含めておりませんが、2008年の株価急落局面でも同様
に資産の増加が見られます)。

ただ例えば2008年時点のポートフォリオをみても明らかなように、
どうしても「非サイクル資産」部分のウエイトが高まり、結果として
資産の大半が「非サイクル資産」で占められることとなり、
非常に歪(いびつ)な状態になってしまいます。

では次に「サイクル資産」「非サイクル資産」のウエイトを何年かに
一度リバランスすればどういうことがおきるでしょうか、ここでいう
リバランスとは元の50:50に戻すということですが、これをタイミング
よく行えば資産間のアンバランスを調整できるだけでなく、資産全体の
リスク/リターンを改善することも可能です。

例えば上記2000年~2007年を3つのブロックに区切り、
各ブロックの最終日に50:50へリバランスしてみましょう。

2000年(469万円+600万円=1069万円)
2001年(436万円+720万円=1156万円)
2002年(363万円+802万円=1165万円)
ここでリバランスし、それぞれ582.5万円で再スタート

2003年(730万円+646万円=1376万円)
2004年(753万円+679万円=1432万円)
2005年(748万円+793万円=1541万円)

ここでリバランスし、それぞれ770.5万円で再スタート

2006年(896万円+820万円=1716万円)
2007年(953万円+981万円=1934万円)

とこのようになりました、リバランスを行わず放っておいた場合の
2007年の資産残高が

2007年(578万円+1532万円=2110万円)


でしたので、資産の増え具合はやや見劣りがしますが、それでも
NYダウに100%投資した場合に比べリスク/リターンとも大幅な改善が
みられますし、同時に「非サイクル性資産」が持つ特有のリスク
(即ち「信用リスク」)を一定に抑える効果もあります。

また上記は「サイクル性資産」の持つ価格サイクルを3年と仮定して
(3年ごとの)リバランスを行いましたが、他にも例えば「どちらかの
ウエイトが65%を越えればリバランスする」というやり方もアリ
でしょう。

あるいは経験的に「サイクル性資産」はNYダウのような先進国の株より、
ボラティリティが高くても成長性の高い新興国株のほうが好ましい
ように思います(これは「サイクル性資産」のボラティリティの高さを
「非サイクル性資産」が補完してくれるからです)。

細かいお話しをし始めるときりはありませんが、少なくとも
今までみてきましたように、皆さんの資産を「サイクル性資産」と
「非サイクル性」資産に分散投資し、なおかつ定期的にリバランスを
行うという投資スタンスは有効ではないかと思います。

皆さんも一度取り入れてみてはいかがでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2008年12月9日)




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