2009年の日本株をどうみるか
皆さん、こんにちは。

ちょうど昨年の今頃も、「変化はチャンス」というタイトルで、
昨年の日本株の見通しを書かせて頂きました。

どうもこの季節は、一年の見通しについて書きたくなるようで、
今回も、一年ぶりに今年の日本株について書かせて頂こうと思います。

前回も申し上げましたが、私は基本的には株価は企業業績を反映して
形成されると思っています、もちろん一時的に過熱や売られ過ぎはある
でしょうが、それはあくまで一時的なこと、長い目でみれば、株価は
企業業績の投影だと思っています。

我が国の企業業績について考える場合、やはりなんといっても
世界経済の動向、特に米国と中国の経済には細心の注意を払う
必要があるでしょう。

今年年初に配信させて頂いたコラム「2009年型ポートフォリオを
考える」でも書かせて頂きましたが、私は米国経済のメインシナリオは、
2010年前半に底を打ってそこから徐々に回復、中国については米国に
やや先立って回復とみております。

従って今回は、そのようなシナリオに沿って(前回と同じく)いくつ
かの可能性を挙げながら考えてゆきたいと思います。

■楽観シナリオ(確率20%)
オバマ大統領就任直後から、米国のセンチメントは急回復、
新大統領が打ち出す効果的な景気対策が奏功し、米国の住宅価格は
2009年央には底を打ち徐々に反転に向かう、個人消費も年後半から
徐々に回復、米国は2009年第3四半期(2009年7月から9月)から自律的
な景気回復軌道にのる。

中国も4兆元の景気対策プランに続き、利下げ、個別の産業活性化政策など、
大規模なカードを矢継ぎ早に切る、2009年央を起点に再び経済成長に点火、
2009年を通じてみれば年率8%以上の経済成長を達成。

欧州の景気回復は米中に比べ、やや遅れるものの、アセアン・南米など
新興国は米中に続いて景気回復軌道にのる。

これらを受け、我が国でも2009年末を底に徐々に企業業績に
回復の兆しがみられることになるが、2010年3月期(2009年4月から2010年
3月)を通してみれば、年度前半の不調がひびき、前年なみの決算に終わる。
一方で翌2011年度は、海外景気回復と円安転換が進み、輸出主導で+30%の
急回復をみせる。

上記のようなシナリオで、我が国企業のEPS(一株あたり利益)を
下記のように考えてみました。

・2009年3月期 514円(日経予想より)
・2010年3月期 514円(上記どおり2009年なみと考えた)
・2011年3月期 668円 (10年度比でプラス30%と考えた)


例によって株価は企業業績を9ヶ月先取りし、日本株のPERを
15倍として日経225予想致しますと。

・2009年初は一時的に7800円割れもありえる
・しかしその後は企業業績の回復を先取りした買いが入り、春先から
徐々に回復、年末にかけジリ高、一時的に11,000円に乗せる場面も
ある。


■標準シナリオ(確率50%)
オバマ大統領就任直後、一時的にセンチメントが改善する場面も
あるが、米国の実体経済を回復させるには至らない、しかしながら
8000億ドルを越える経済対策と、FRBによる(実質)ゼロ金利政策は、
徐々に米国経済を底上げ、2010年第1四半期(2010年1月から3月)には、
景気回復軌道にのる。

中国は4兆元の景気対策をはじめ、矢継ぎ早に内需拡大策を実施に
うつすが、経済収縮の速度が速く、特に年前半は経済成長が著しく
鈍化する。年後半には徐々に回復の兆しがみえるが、2009年の
経済成長率は6%程度まで減速する。その後は順調な回復軌道に乗り、
2010年は再び年率10%程度の成長となる。

このような世界経済の状況をうけ、我が国企業の業績は2010年3月期
(2009年4月から2010年3月)概ね低調、前年対比でさらに5%程度の
減益となる。一方で翌2010年に入り、年初には米中をはじめ、世界景気
の回復に支えられ企業業績は底入れ、2011年3月期(2010年4月から
2011年3月)は回復に転じ、対前年比で20%程度の増益となる。

上記のようなシナリオで、我が国企業のEPS(一株あたり利益)を
下記のように考えてみました。

・2009年3月期 514円(日経予想より)
・2010年3月期 488円(上記どおり2009年対比で-5%とした)
・2011年3月期 586円 (10年度比でプラス20%と考えた)


例によって株価は企業業績を9ヶ月先取りし、日本株のPERを
15倍として日経225を予想致しますと。

・2009年初は一時的に7500円割れもありえる
・その後も企業業績回復の兆しがみえず、日経平均は8000円から
9000円程度のレンジで推移する。年末近づくにつれ、徐々に翌年への
期待が膨らみ、年末は一時10,000円を試す場面もある。


■悲観シナリオ(確率30%)
オバマ大統領就任で材料出尽くし感、新大統領が打ち出す経済対策も
即効性はなく、米国景気は底入れのきっかけをつかめない。政府は
追加的な経済対策を迫られ、年央にかけさらなる財政支出を決断、
しかしながら米国の景気底入れは2010年に持ち越される。2010年に入り、
ようやく住宅価格は反転、同年央に米経済は持ち直しの兆しをみせる。

中国政府による大規模な経済対策も即効性に欠け、2009年の中国経済の
成長率は4%程度にとどまる、しかしながら2010年に入り、内需に持ち直し
の兆しあり、さらに同年央には対米を中心に輸出が底入れ、その後
中国経済は徐々に回復軌道にのる、2010年を通してみると8%程度の
巡航速度まで回復する。

このような状況下、2009年度の我が国企業の業績も、なかなか回復の
兆しをみせず、2010年3月期(2009年4月から2010年3月)は、対前年比で
マイナス10%と2年連続の減益となる。2010年度に入っても、外部環境
に大きな変化はないが、年後半にかけ米中への輸出にやや回復の兆しが
見え始める。ただ年度前半の落ち込みが足を引っ張り、2011年度
(2010年4月から2011年3月)を通してみれば、10%程度の増益にとどまる。

上記のようなシナリオで、我が国企業のEPS(一株あたり利益)を
下記のように考えてみました。

・2008年3月期 514円(日経予想より)
・2009年3月期 462円(上記どおり2009年対比で-10%とした)
・2010年3月期 508円 (10年度比でプラス10%と考えた)


例によって株価は企業業績を9ヶ月先取りし、日本株のPERを
15倍として日経225を予想致しますと。

・2009年は年初よりさえない展開、同年央にかけ一時的に7000円を
割る場面もある。
・その後も企業業績回復の兆しがみえず、2009年の日経平均は7500円から
9000円程度のレンジで推移するが、年末にはやや明るい展望が開ける。
・2010年は年初から下値を徐々に切り上げる展開、年末に向けて11,000円
に乗せる場面もある。


とこんなふうに見ております。

まとめますと
■楽観シナリオ(確率20%)

・2009年初は一時的に7800円割れもありうる。
・しかしその後は企業業績の回復を先取りした買いが入り、年央から
徐々に回復、年末にかけジリ高、一時的に11,000円に乗せる場面も
ある。


■標準シナリオ(確率50%)

・2009年初は一時的に7500円割れもありうる。
・その後も企業業績回復の兆しがみえず、日経平均は8000円から
9000円程度のレンジで推移するが、年末にかけて翌年に関する
やや明るい見通しが浮上、年末は一時10,000円を試す場面もある。


■悲観シナリオ(確率30%)

・2009年は年初よりさえない展開、年央にかけ一時的に7000円を
割る場面もある。
・その後も企業業績回復の兆しがみえず、2009年の日経平均は7500円から
9000円程度のレンジで推移するが、年末にはやや明るい展望が開ける。
・2010年は年初から下値を徐々に切り上げる展開、年末に向けて11,000円に乗せる場面もある。


という感じです。 少しでも皆様のご参考になれば幸いです。

では、今回はこのへんで。
(2009年1月20日)




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