■米中時代の到来
みなさんこんにちは。
『士、別れて三日経てば刮目して待つべし』
これは三国時代の中国の故事で「男は三日も会わなければ、
驚くほど成長するものである」といった意味で使われます。
最近の中国経済はまさに『刮目(目を見開いて)』してみなければ
ならないほどの急成長ぶりですね。
成長しているのは経済だけではありません、経済成長を
背景としたしたたかな外交により、国際舞台での発言権を
日々強めているようにもみえます。
彼らにしてみれば世界を覆う経済危機すらも、発言権拡大の
チャンスと映っているのでしょうか・・・
いずれにしても現下の経済危機が、結果として
彼らのプレゼンスの拡大に一役かっているのは間違いなく、
早晩世界は『米国一極体制』から、『米中両極体制』に移行して
ゆくのかもしれませんね。
新しいG2体制への移行です。
最近の中国の躍進ぶりをみていますと、私などは逆に
なぜこのように大きな潜在力と構想力を持った国が、
この100年間というもの発展途上国の地位に甘んじ、経済的に
停滞し続けてきたのか・・・むしろその点に疑問を感じ
ざるをえません。
歴史的にみれば、漢や唐という世界帝国が出現した時代、
冒頭の故事がうまれた三国時代、元や清といった異民族による
統治時代、いずれの時代をとってみても中国はまぎれもなく世界
の先進地帯であり続けましたし、常に欧亜世界の超大国
であり続けてきました。
その中国社会が清末19世紀後半以降なぜ急速に崩壊し、100年にも
及ぶ停滞期に入ったのか・・・
国家間の競争は、歴史的にみて常に発展の原動力であり続けて
きました、私はこのことと中国の停滞は無関係ではないように
思います。
欧州が中世の停滞から脱し、特に16世紀以降は欧州内での国家間競争
により経済的な成長を先鋭化させる一方で、アジアは中国という絶対的
な覇権のもと、長らく国家間の競争がなかった・・・
このような歴史的な巡りあわせと、中国の停滞は何らかの関係が
あるのかもしれません。
そのような観点で現在の中国やアジアを取り巻く環境をみますと、
現在は否応なく国家間の経済的な成長競争に参加せざるを得ない状態
にあり、そのことがここ数年の中国の台頭の一因になっているように
思います。
もしこの考え方が正しければ、今後も中国は成長を続けざるを
えず、かれらは国家としてのDNAに刷り込まれた如く、世界の
超大国を目指し、その民族的能力をフルに旋回させ続けるのでは
ないでしょうか。
中国の成長は、中国の経済構造の転換なしには実現できません。
現在のような加工品輸出型の産業構造では、国家としての独自の
成長は望めず、また同時に生殺与奪の権を輸出相手国に握られてしまう
恐れがあります。
さらに現在の中国のアキレス腱である、沿海部と内陸部の
所得の格差問題の解消も避けては通れません。
このような問題を同時に解決するためには、内陸部の所得水準
を高め、中間所得層を厚くして内需型経済に転換する必要が
あるはずです。
すでに昨年以降、中国政府は内需拡大を意識した政策運営を
行っていますが、これは単に一時的な経済対策として
とれらているのではなく、かなりの期間継続的に行われる
と思っておいたほうがよいのではないでしょうか。
現在の世界経済は、米国の個人消費の縮小(あるいは正常化か)
によって需要不足の状態に陥っています。
今後米国経済が回復しても、米国の家計は借金による
過剰消費に走らず、その結果世界経済はかつてのような水準に
戻らない、よくこのように言われますが、その点でも中国の
内需拡大は、世界に貢献をする可能性はあるのではないでしょうか。
世界が中国の個人消費に依存する構図・・・
その時、世界のパワーバランスはどのようになっている
のでしょうか。
いまの私たちには想像もできないような世界が広がっている
かもしれませんね。
では、今回はこのへんで。
(2009年4月3日)
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