コモディティ相場と中国-その1
みなさんこんにちは。

最近の世界経済の流れをみていますと、
6年前の日本を思い出さずにはいられません・・・

2001年  大手13行に対する「特別検査」開始
2002年  9月竹中金融担当大臣就任
2002年  10月「金融再生プログラム」発表
2003年  1~3月「大手行増資計画発表」
2003年  5月「りそな国有化」


大手銀行に対する「特別検査」実施後、当時のメガバンクは
自力で増資を行いましたが、りそなのみは自力で資金を調達
できず、資本注入をうけ国有化されました。

あのころの日本の経済はどん底で、社会全体が騒然として
いたのを私は鮮明に覚えています・・・ちょうど今と
同じように。

今回の米国の資産査定には賛否両論ありますが、少なくとも指摘
を受けた側では、既に増資や事業のリストラ計画を発表するなど、
素早い対応をみせており、その点においては金融システムの安定に
貢献したと評価できるのではないでしょうか。

さて問題はこの後です。

当時の我が国のように株価は底を打って、長期上昇のトレンド
に乗るのでしょうか。

それとも1998年、1999年のように『偽りの夜明け』に終わって
しまうのでしょうか。

もし『2003年底打ち型』であれば、ここが仕込みどころという
ことになるでしょう。

また『1998年偽りの夜明け型』だとすれば、勝負にでるのは
まだ早く、キャッシュを温存しておく必要があります。

私は下記の点で『2003年型』になる可能性のほうがやや高いのでは
ないかと考えております。

1.住宅価格、雇用、消費、生産、在庫など各種経済指標に明るい兆しがみえ始めた点。
2.中国の内需が立ち上がりつつある点。
3.欧米の金融機関の決算にやや回復の兆しがみられる点。
4.米資産査定の結果は割り引いてみておく必要があるが、少なくとも米銀の増資は金融システムの安定に資するであろう点。


では仮に『2003年型』の転換とみ場合、私たちはどのような
金融商品にお金を投じればよいのでしょうか。

2003年当時に遡って考えますと、いくつかみえてくること
があります。

まず新興国の株。

もちろん先進国の株も大きく上昇しましたが、株価は成長性
の投影、成長率の高い国の株価と先進国の株価では、おのずと
上昇率に差が出てきます。

例えば香港H株指数と日経225平均を比較しますと、
【2007年10月末/2003年4月末】は下記のようになりました。

・香港H株 約9.11倍
・日経225  約2.14倍

注)2007年10月は新興国株のピーク、先進国株はそれよりやや早く2007年7月がピークでした。

私は以前から中国の成長性に注目してきましたが、
中国経済への依存度が高いアセアンもいいと思います。

今回のショックからいち早く立ち直るのは、まずこれら
地域ではないでしょうか。

さらに中国の成長性との関連で世界を見渡せば、やはりコモディティ、
なかでも中国やインド、アセアンなど人口大国の成長性と
関連の深いコモディティ相場には注目しておく必要がありそうです。

コモディティのなかでまず立ち上がるのは、現在中国政府が採って
いる内陸部のインフラ整備策と直接関係がある銅、アルミニウム、
ニッケル、亜鉛などの非鉄関連。

あるいはその後彼らの消費レベルの向上に伴い、次の景気回復
サイクルのいずれかの時点でコーン、大豆、小麦などの穀物、
あるいは銀やプラチナなどの産業用貴金属が追いかけて
ゆく展開になるのではないでしょうか。

その過程で恩恵を受ける資源国・・・ブラジルやアルゼンチン
など南米や豪州、これらの国は株だけでなく通貨にも要注意です。

さてさてその相場の続きはどうなるか・・・

現在先進国中心に、大量の流動性の供給が行われていますね、
もちろんこれは目の前の危機を回避するための非常的な手段ですが、
1998年型になろうが2003年型になろうが、遅かれ早かれこの
危機を脱し、景気はやがて回復に向かうことになります。

大量に市場に供給されたマネーと景気回復の組み合わせ。

中央銀行がよほどうまく市場をコントロールしなければ、
いずれは「いつか来た道」、新興国株とコモディティ市場は
手を取り合ってバブル化する可能性が高いのではないでしょうか。

新興国株とコモディティ相場の関係は・・・
コモディティ相場はどこまで上がるのか・・・

次回はそんなお話しをしたいと思います。

では、今回はこのへんで。
(2009年5月12日)




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